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未来に残したい洋楽&邦楽の名曲

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水色の朝 - 松田聖子 【バラードの名曲】

【邦楽バラードの名曲】


水色の朝






Epi-21

 1983年6月11日(土) 中学3年の一学期
 午後7時半過ぎ


 その日の夜、マレンを送る帰り道、
 しばらく黙り込んでた彼女は少しだけ複雑な微笑みを浮かべながら、やがてボクを見つめた。

「あたしさぁ、カミュちゃんの家にいつか一緒に住んでもいいのかなぁ?」

 そういった彼女の口元に浮かんだ微笑が、なんだかやけに儚(はかな)く思えた。

「ウチ? 別にいいんじゃない」

 少しだけ語尾をゆるませボクは笑ってそう答える。 彼女の言葉が意味するところは、なんとなくだが理解できた。すると、突然マレンは不安そうな顔をして、

「――ウチのお母さんね、来週、精密検査するみたいなんだけどさぁ」

 と、小さな声でつぶやいた。

「えっ? 検査って病気の検査ってこと?」

 ちょっと驚き、ボクは訊ねる。

「うん。まだよくわかんないけど、……お母さんさぁ、少し前からなんだかすごく疲れやすかったみたいでね、こないだ病院に行ったんだけど、……血液検査の結果が悪かったんで、もう一回ちゃんと検査するみたいなんだよ」

 そういうと、マレンは大きな瞳を曇らせた。

「まぁ、たぶん大丈夫でしょ。オレも最近疲れやすいし」

「……大丈夫だよ、ね?」

 と、みずからを説得するようマレンは付加疑問系でそうつぶやいた。が、その言葉に含まれたわずかな不安がきっかけとなって、急速に膨らみはじめたネガティブな空想が、マレンの笑顔を跡形もなく心の内へと吸い込んでいってしまうような、――なんだかそんな気がしたボクは、彼女を引き戻そうと慌てて言葉を探し出す。

「まぁ、もしさぁ、――」

 とっさに、そういってはみたけど、次の言葉がすぐには思い浮かばない。あとに続くボクの言葉がなんであれ、お母さんの検査結果が悪かった場合の慰めになるだけだろうと思ったからだ。――マレンも、しつこくその先までを聞こうとはしなかった。

「カミュちゃんは、アタシのこと好き?」

 ふいにマレンは話をそらす。

「え? あぁ、……たぶんね。」

「あたしはね、……ずっとカミュちゃんが大好き。――」

 いつもの、そんな他愛ないやりとりにさえ奇妙な空白が断片的に混じり込む。
 南からの潮風が彼女の長い黒髪や制服のスカートを「さらさら」と、優しく揺すった。
 うしろで手を組み、ボクの少し前をゆっくり歩きながら、やがてマレンは、わずかに口調を変化させた。

「アタシね、もしかしたら来年から働こうかなって、ちょっと思ってるんだよねぇ。だからね。もしいつかアタシと結婚してもカミュちゃんの迷惑にはならないと思うよ」

 そういうと、ボクを見つめて彼女は微笑んだ。

 いまの言葉が、「マレンは高校へ行かない」ってことを意味するものなのか、すぐ聞き返そうとしたんだけれど、その意味を訊ねるよりも先に「結婚」というふた文字が、一瞬なんだかものすごく重たいものに感じられ、ついボクは言葉に詰まってしまう。別にマレンと結婚するってことが嫌だったわけではない。けれど、その響きがやけに重たかったんだ。

(もし去年のクリスマスの夜ならば、きっといますぐここで結婚の約束なんて簡単にできたんだろうな。……そういえばあの感情は、また最近、すっかり影を潜めてしまった気がする)

 もしマレンと一緒に暮らすのなら、それでもいいとは思ったが、「結婚」というリアルな言葉を含む返答がどうしてもこの場ですぐにはできなかった。さっき感じた「重たさ」は、彼女の人生そのものの重さだったのだろうか? それともボクの人生に対する微かな不安の表れだったのだろうか。――

「将来、なにをしようか」なんて、まだ一度も真剣に考えたことはない。けれど、「彼女がボクのそばからいなくなってしまう」なんてことも、いままで一度も考えたことなどはない。

(まぁ、もしさぁ、……)

 途中までいいかけて、やめてしまったさっきの言葉。……もしあのままの勢いで続けてたなら、きっと、こういってたことだろう。

(まぁ、もしさぁ、どんなことになってもね、川澄のことはオレが守るから! だからなにも心配しなくていいよ)って。――

 決してその場しのぎの慰めなんかじゃなくって、限りなくそれがボクの本心に近い言葉のはずなんだ。けれど、そうかと思えば、「やっぱり、いますぐ結婚するかどうかなんて決められない」というためらいが、「ふつふつ」と沸きあがってくる。

「結婚してもいい」って思う気持ちと「まだ結婚なんて決められない」と思う気持ち。――相反する、そんな二つの想いが「ぐるぐる」と心のなかでまわり続ける。
 もし、いますぐそのどちらか一方の答えに決められなくても、

「マレンと一緒に暮らしてもいい」

 っていう想いだけは同じだったはずなのに、どうしても、そのときボクにはなにも答えることができなかった。――――


【2012.04.14 記事原文】

ボクが中学時代、やはりひとり熱狂的な聖子ファンの友人がいた。
当時、洋楽カブレしてたボクは、全く興味なかったが、
アルバムを無理やり貸されたので、仕方なく聴いてみた。


そんな中で、ものすごく曲から情景が浮かんだのが
この「水色の朝」だ。
今聴いても名曲だと素直に思う。


ほぉ~財津さんが作ってたんだ!
ってか、これも30年以上前のアルバムなんだぁ。。。


そりゃ老けますわいな・・・ボクも聖子ちゃんも・・・






水色の朝 - 松田聖子
5thアルバム『Pineapple』1982年



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