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【Re-Edit】 片想い - 浜田省吾 【バラードの名曲】

【Re-Edit】【浜田省吾バラード特集】


片想い






1984年1月25日(水)

ベッドで仰向けになったまま、ボクはおもむろに枕の下に敷かれていたクッションを、あたまの後ろから引っ張り出した。去年の誕生日、ピザ屋で川澄マレンから貰った、ボクの顔らしきイラストがパッチワークされた水色の枕。――彼女と会わなくなってからも、それはずっとベッドに残されたままだった。だけどそれだけじゃちょっと低いので、その上に別の枕を置いていたんだ。

窓の向うには、ちょうどキレイに半分だけを光輝かせている下弦の弦月(はんげつ)が浮かんでいる。
ボクはその淡い月明かりを眺めながら、さっきまでずっと卒業ライブで歌うための新曲の歌詞を考えていた。けれど、どれだけ関係のない言葉をあたまのなかで無意味につむぎ合わせてみても、最後には、結局マレンの面影のほうへとその言葉たちは向かっていってしまう。

ふと、ボクがはじめて『L』でトリップしたとき、幻影のなかでマレンがいっていた、「絶対に当日まで読んじゃいけない手紙」のことを急に思い出し、彼女から、今年の誕生日に貰った枕を調べてみたんだ。けれど、この枕のなかにも、そんな手紙などは縫い込まれていなかった。
(ここにもないとすれば、もうほかには思い浮かばない。やはり、ただの幻覚だったのかもしれないな)
最後の可能性を失ってしまうと、なんとなくそう考えるようにもなり始めていた。

(枕以外で、ボクがマレンから誕生日に貰ったものって、――)
ボクは「ハッ」となり、慌ててベッドから飛び起きる。そして押入れの奥にしまい込んだまま、ずっと捨てずにとっておいた紙袋の束を取り出した。ひとつの紙袋からは、薄っすらと、なにかの匂いが放たれていた。それはたしかに、ボクの記憶のどこかに鮮明に刻み込まれている匂いだった。
(この匂いを、いったいボクはどこで感じたんだろう?)

誕生日にマレンから貰った枕が入っていた赤くて大きな紙袋。――折りたたまれていたその袋を広げると、長いあいだ閉じ込められていた甘い香りが一斉に湧き上がる。
その香りの底に、ボクはようやく見つけ出したんだ。あのとき彼女がいっていた『予言の手紙』らしき封筒を。――

「1983年8月24日、当日の夜まで絶対に読んじゃダメだよ」
その封筒の表紙に綴られた動物の絵のような丸文字。
それは間違いなくマレンの字だった。――


1983年7月23日(土)

ボクは、薄曇りの空を見上げる。その日、マレンは白いワンピースを着ていた。
ちょうど1年前、ボクらがはじめて一緒に横浜の遊園地へ行ったときも、彼女は小さな花柄模様の入った白いワンピース姿だった。
彼女のお母さんが入院している病院を出ると、ボクらは鎌倉の海岸のほうへと向かって歩き出す。時折、風のなかに、なにか香水のような甘い香りが漂っているような気がした。
松の防風林がずっと続く小径(こみち)の先に、くすんだ夏色の雲影を映し出す水面(みなも)が揺らいでいる。――

午前中にマレンから、
「今日のデートを中止にして欲しい」
って電話があって、いまさっき、ボクは彼女のお母さんが入院しているこの病院に着いたばかりだ。マレンのお母さんは依然として昏睡状態が続いており、さらに脳にもなにかの異常が見つかったみたいだった。
夏休みに入って最初の土曜日の今日、本当は2人で横浜へ出掛ける予定だったんだけれど、お母さんの検査結果を聞かされたマレンはひどく落ち込み、とてもデートになんて出掛けられるような状況ではなかった。不安げなマレンをそのままにはしておけず、とりあえずボクは、彼女がお母さんに付き添っている鎌倉の病院へと向かった。

けれど、そんなボク自身も、決して心が晴れ晴れしていたわけじゃない。数日前、両親から突きつけられた現実に打ちのめされ、ずっとその言葉に心が縛り付けられたままだった。
だけどボクは、こないだマレンに約束してしまったんだ。
「もし川澄のお母さんが元気になったら2人で一緒に暮らそう」
って、――

ボクらは手をつないでいたけど、さっきからほとんどなにも話していない。彼女はきっとお母さんのことを心配しているんだと思う。そしてボクは、ずっと両親から浴びせかけられた辛辣な言葉ばかりを思い返していた。――


1984年1月25日(水)

――マレンからの手紙を持つボクの右手が、微かに震えている。
それが少しだけおさまってくると、ギターケースの上に置かれていたバタフライナイフを手にし、封筒の上辺に刃先を差込み、ゆっくりと真横に切り裂いていった。なかには水色の便箋が3枚折り重なるようにして入っていた。あの香りは、どうやらこの便箋に染み込んでいたようだ。
3つに折りたたまれた手紙を広げると、一枚目の手紙の一番上に、

「カミュとマレンの未来について」

と、いう見出しが書かれていた。
ボクは床の上にうつ伏せになりながら、肌寒い蛍光灯の青白い灯りの下でその手紙を読み始めたんだ。そう、一字一句まで決して見逃さないようにしながら、――


1983年7月23日(土)

(マレンと暮らしたい)
ただ漠然とそう思っていたボクに、両親から突きつけられた現実はあまりにも当たり前な正論でしかなかった。けれどその正論は、それまで根拠のない自信によって希望的観測を抱いていたボクの心を粉々に打ち砕いたのだ。

(いまのボクには、なにもできない、――いまのボクには、なにもなかったんだ)
自分自身に対しての圧倒的な無力感を一瞬にして痛感させられたのである。
たかだか、まだ14歳のガキでしかないボクに、ひとりで明日を普通に暮らしていけるだけの力なんてものは、なにもなかったんだ。と、――
ましてや、いっさい親に頼ることなくマレンと一緒に暮らしていくことなど、到底、いまのボクにできるはずもなかった。

(マレンは、お母さんのことで相当に落ち込んでいる。だから、少なくとも今日、この話をするのはやめるべきだ)
そんなことはわかっていた。――わかっていたはずなのに、ボクの口から勝手に滑り落ちていった言葉は、そんな彼女の心をまるっきり無視していた。
「あのさぁ、……こないだ会ったとき、いったんだけどさぁ、『一緒に暮らそう』って。だけど、やっぱりすぐには無理だと思う」
「カミュちゃんのご両親に反対されたんでしょ? それは仕方ないよ。だって普通は反対するんだろうからねぇ」
海岸に積み上げられた防砂ブロックの上に座りながら、そうささやいたマレンの首のあたりから、柔らかく立ち上がる甘い香水の香りが、鎌倉の潮風と溶け合う。
「香水、つけてるの?」
と、ボクは訊ねた。
「あぁ、これね。むかしからずっとお母さんがつけてた香水なんだ。この匂いを感じたらさぁ、もしかしたらお母さんが起きてくれるかもしれないでしょ。だからね、――」
そういって、マレンの言葉は止まる。
ボクがどんな顔をしてたのかはわからないけれど、きっと彼女の言葉を断ち切ってしまうような表情をしていたのだろう。希望を語った笑顔とともに、――

濃厚で尖った甘さを含む、その香水の匂いが少しだけボクにはキツ過ぎた。それに、まだ若いマレンには、あまり似合ってない匂いのような気がしたのもたしかだ。けれど彼女にとって、それは昏睡状態のお母さんを目覚めさせるための希望の香りだったのだ。そんなことはわかってたんだ。

「匂い、……気になる?」
マレンの口調が、だんだんと弱まってゆく。
「いや、別に気にはならないけど、なんかまだ、川澄には似合ってないかもね」
そういって、ボクは微笑みもせず、彼女を見つめてしまった。
「ゴメンね。こんなの、――やっぱりつけてこなければよかったね」
と、小さくつぶやいたマレンの瞳の色が、あまりにも寂しげに思えた。いつだって彼女の艶やかな瞳のなかに浮かび上がっていたはずの、星空のように光り輝くあの色は、そこに浮かんでいなかった。

いつものボクならば、きっとこんな事なんて絶対にいわなかったろう。だけど今日のボクは、彼女が傷つくとわかっているのに、傷つけたり、悲しませたりするような言葉を平気で口にしてしまうんだ。
絶対にマレンを傷つけたくないのに、なぜなんだろう、――
ボクは、彼女になにをいいたいんだろう、――


1983年12月24日(土)

ボクは、ステージ上から観客席に笑いかける。
そして、メジャーコードをストロークしながらぼんやり考えていたんだ。――

ボクらが生きてる理由なんて、考えるまでもなく単純なことさ。
「生まれてきたから、ただ生きているだけ」
もし、それ以上の理由を求めるとすれば、きっとそれは真理ではなく、単なる恩寵(おんちょう)への希求だ。
「やりたい仕事」だの「将来の夢」だのってものは、別にボクらが生きていくためにどうしても必要なものってわけじゃない。そんなものは「生きている理由」なんかじゃなくって、暇つぶしのための、単なる手段に過ぎない。
生き甲斐を見つけられないからって、別に死ぬわけでもない。
「つまらない人生を生きている」
ただそれだけのことだ。

【なんで生まれてきたと思う?】
たぶん奇跡によって、……かな

【あなたは、なにをしたいの?】
もし、しなくてもいいなら、なにもしたくない。
しなきゃいけないことがあるのなら、なんとなくそれをするだけ。

【なんのために生きてると思う?】
まぁ、自分の人生を見届けるため? なのかな。

【じゃぁ、誰のために生きてると思う?】
きっと、幸せにしたい誰かのためだろ?

【あなたにとって、幸せとは?】
ボクの幸せ? ボクの幸せ、――
それは、……きっと心から「幸せになって欲しい」と願う誰かが幸せになってくれること。つまりは、幸せにしたいと想う、たったひとりのその誰かと、何十億もの人々が暮らすこの広い世界のなかで巡り会えること。なのかもしれないね。

そう、大切なその誰かのことを絶対に「幸せにしよう」とする自らの覚悟。――
もしそれだけあれば、それ以外なにもなくたって、きっと楽しく生きていけるんだとボクは信じている。
ボクらはいつだって、自分が生きていることの理由ばかりを求めがちだ。だからいつも見失う。けれど、もし大切にしたい誰かと、ともに生きていくのであれば、決してその理由を見失ったりなどはしない。

あの日、川澄マレンはいっていた。
「どんなに『嬉しい』って思うことがあってもね、もしひとりきりじゃさぁ、その嬉しさって絶対に感じられないんだよ。本当に『嬉しいな』って感じるときってね。一番喜ばせたいと思っている誰かがね、一緒になって心から喜んでくれたとき、……喜ばせたいと思う誰かが、嬉しそうに笑ってくれる顔を見れたときに、きっとはじめて感じられるものなんだよ。……だから、どちらかひとりだけが嬉しいだけじゃきっとダメなんだよ」

たしかに、そうなんだろう。
「その誰かが、心から嬉しそうに笑ったときの笑顔」――
それさえあれば、きっとボクらは生きていける。その誰かのことを、ずっと笑わせ続けていくためだけに、きっとボクらは生きているんだ。

たとえ、そこが眩い陽射しを水面(みなも)に湛えながら、エメラルド・ブルーに光輝く海の色に囲まれた楽園でも、荒涼とした大地に雷鳴轟く極寒の地獄だったとしても、もし2人でならば、「きっと笑って生きていける」――そう信じられる誰かと出会えたならば、それ以上、ほかになにが必要だというのだろうか。

いまのボクが、いったい誰のためにこの曲を歌おうとしているのかはまだわからない。 その答えが曖昧なまま、ずっとギターの弦を奏で続けていた。――



【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】




【2012.04.10 記事原文】


浜田省吾の代表曲のひとつ「片想い」。
ちょいブルーが入ってる人ならば誰でも泣ける。
紛れもなく別れの名曲?…ですね。


しかし...何でこんな曲が書けるんだ???


しかし。。。
今まで全く気にしてなかったんだが、
果たしてどっち目線の歌なんだろう???
女性目線だったのかな?





片想い(1978) - Illumination片想い - 浜田省吾
3rdアルバム『Illumination』 1978年

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