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未来に残したい洋楽&邦楽の名曲

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亡き王女のためのパヴァーヌ - モーリス・ラヴェル 【インストルメンタルな名曲】

【インストルメンタルな名曲】


亡き王女のためのパヴァーヌ
Pavane pour une infante défunte





Epi-7

 1982年5月13日(木)
 四時限目の終わり頃


 おぼろげな春光が南の窓から柔らかく射し込んでいる。―― 担任教師は、薄気味悪いその眼のなかに淡い陽射しを映し出し、ためらうことなく窓のほうから順番に生徒を殴りはじめる。そのたびに彼らはうしろの壁に激突したり床へ崩れたりしていった。

 ボクは担任の顔をずっと見ていた。人を殴ってるときって、いったいどんな顔をしているものなのか、なんとなく興味があったんだ。

――――感傷と歓喜を同時に漂わせたような歪んだ恍惚感――――

 もしも言葉にするならば、きっとそんな感じなんだろうか。
 担任教師の見開いた、魚のように大きな目には、たしかにそういう「いびつな喜び」がうっすら漂っていた。

 やがてボクの順番になる。
 女子生徒たちは隣でずっと泣き続けている。ボクは担任の顔をぼんやり見ながら笑ってた。こみあげてくる「怒り」みたいな感情が、不思議なくらいボクを笑顔にさせている。

(きっと、真顔になったら負けだ。……)

 怯える女子らのために、意地でもボクが余裕を見せていなけなければ、――なんとなくそう思ってたんだ。

「……なに笑ってんだ」

 と、この男は大きなサカナのような眼をボクへと向ける。

「別に、……」

「なに笑ってるんだよ! お前は!」

 担任教師はそう叫び、ボクの左頬骨あたりに重たい右ストレートを突き刺す。その衝撃が脳のなかを一気に揺さぶり、右側頭葉が頭蓋骨の内側に激突した。――衝撃を感じながら、コイツが人を殴り馴れてるってことをボクは瞬時に理解する。けれど、それはボクシングの殴り方ではなかったと思う。たぶん、むかし空手でもやってたんだろう。いずれにしたって、この打撃の重さは素人ではない。――

 二発、三発と、間髪いれずに殴り続けられてくうち、その衝撃のなかに、感傷や歓喜とは違う、なにかもっと別の冷酷な感覚、……おそらくはいっさいのためらいもなく、その対象物を破壊しようとする残虐な「使命感」のようなものを、はっきりコイツの拳から感じ取れたんだ。それはまるであたり前のように容赦なく、そしてものすごく機械的な「破壊行為」そのものだった。

 それでもどうにかしばらくは、笑ってコイツの太い前腕に浮かびあがった血管の本数を数えることもできていた。そのすべてを刃(やいば)で切り裂いてやりたいような気分だった。

 けれど、さすがに上唇のあたりが痺(しび)れはじめ、だんだん笑顔が維持できなくなっていく。苦痛に歪む表情を小馬鹿にするよう見届けて、担任の足音は、やがてボクの右隣で震えてる女子生徒らのほうへと移動していった。

「バシン」という高い炸裂音が静まり返った教室内に響き渡る。――それは「頬を平手で叩いている」ってことを、怖くてうしろを振り返れない、ほかの生徒らに教えている音だった。ただ、同時にこの男が女生徒を拳では殴らなかったってことを意味する音でもあった。痺(しび)れた唇を指先でなぞり、ボクはその担任教師の横顔を睨みつけた。――

 恐怖のあまり、おとなしく服従いていく者たち、――そして、その暴力に対して反逆心を生み出していく者たち、――暴力的な脅威に支配された場合、大抵、人はその二つのタイプに分かれるのだろう。すべての人間を100%暴力で支配することなど到底不可能だ。

 腐った教師たちがどれだけ力で服従させようとしたって無駄さ。誰にもボクらを「力」で支配することなんてできやしない。世の中に対して常に持ち続けている「理由なき反逆心」がバリアとなって、ありとあらゆる外圧から14歳のボクら自身を守ってる限りは、…………


 1983年3月7日(月)
 昼の1時半頃


 敷地内に三棟連なる校舎の真ん中に建ってるのが本館である。その一階、職員室のほぼ真下にあたるこの場所が、おそらく学校で一番陽当たりのいい部屋なんだと勝手に思っていたけれど、射し込む陽射しは奥まで届かず、ボクが座るソファーの少し手前で薄暗い陰影と交わっている。――昼を過ぎてもまったく気温はあがらないままだった。

 壁の上のほうには、歴代の校長らしき人物の肖像写真が高価そうな額縁に収められ、規則的に並んでいる。

(このなかで一番古いのって誰なんだろう?)

 思いのほか、その写真の数が多かったことからも、この中学がいかに歴史ある学校だったのか、ほんの少しだけ窺(うかが)い知ることができた。

 正門あたりで大きく鳴りはじめた救急車のサイレンは、やがてすぐに遠くのほうへと消えていった。校長室の古ぼけた茶色いソファに座りながら、ボクは、この質素な部屋のなかをぼんやり見まわす。

 気がつくと、いつのまにやら生活指導や学年主任ら、主要な教員連中も集まってきていた。彼らは、安そうな合板製テーブルを挟んでボクの目の前に座ってる校長のうしろに並んでこちらを睨みつけている。

 ひとりの教師が慌てながら部屋へ入ってくるなり、校長になにやら耳打ちする。 神妙な顔つきで何度か頷くと、やがて校長は少し垂れた厚ぼったい上まぶたを見開いて、ゆっくりボクのほうを見つめた。ボクも彼の顔を、この学校に入ってからはじめてちゃんと間近で眺めていた。学校行事で挨拶をしている姿を遠めで見ていたときとはずいぶんと印象が違う。年老いた校長の顔は、大小のシミや無数のシワ、さらには細かいほくろで埋め尽くされていたんだ。――


「……とりあえず担任の先生はいま、病院へ向かわれました」

 校長は穏やかな口調で、そう語りはじめる。

「君のしたことは暴力行為です。そのことはわかりますね?」

 ボクは小さく頷いた。

「先生は、もしかしたら大変な怪我をされているかもしれません。君はそのことを反省していますか?」

 ボクは黙っていた。

「……なぜ君は先生を殴ったりしたんですか?」

 と、校長は相変わらず穏やかに、その理由をボクに問う。

「それは、先生が生徒を殴るから、……です」

 ボクは、うつむきながら小さく言葉を吐き出した。

「先生が殴る? いつ先生が生徒を殴ったのですか?」

 校長のそんな言葉に、少しだけ「フッ」と嘲笑しながらボクはつぶやく。

「いやぁ、『いつ』というより『いつも』なんですけど」

 すると校長は顔をしかめ、うしろに並んでる教師たちのほうを振り返った。
 教員連中は誰も校長と目を合わさずに、隣同士、お互い首を傾げるような仕草をし合う。

(ふざけんな! ちゃんとお前ら見てただろうが! 職員室でボクが殴られてる姿をよぉ)

「いずれにしても暴力はいけないことです。君は先生に対してきちんと謝らなければならない」

 と、校長はボクのほうへ向きなおると静かにいった。

「じゃぁ、先生だったら生徒に暴力を振るってもいいんですか?」

「いいえ、決して暴力を振るってはいけません」

 少しだけボクは苛立ちはじめる。

「おかしいでしょ!校長のいってることは!先に暴力を振るってきたのはアイツのほうなんだからさぁ、だったら、まずはアイツに謝らせてくださいよ!」

「お前! 校長先生に対してなんていう口の利き方してるんだ!」

 校長のうしろにいた生活指導の中年教師が怒鳴る。よくある学園ドラマの台詞みたく本当にそういった。ボクはだんだん、教師たちに対して湧きあがる憤りの感情が抑えきれなくなっていく。

「だっておかしいだろうが! オレはヤツに50発以上は殴られてんのに、さっきはたった10発くらいしか仕返しできてないんだからさぁ」

 思わずそう叫ぶと、

「本当に君はそんなに殴られたのですか?」

 目を細め、目尻のシワを浮き立たせながら、校長は深刻な表情でボクを見つめた。

「だったら、うしろにいる先生方に聞いてみてくださいよ。ちゃんとみんな見てますから。こないだ職員室で20発くらい殴られてるところを、……ねぇ先生、見てましたよね?」

 ボクは学年主任の顔を睨みつけながらそう吐き捨てる。その教師は、声にならない言葉を口元のあたりで「ブツブツ」とつぶやいていた。――



亡き王女のためのパヴァーヌ - モーリス・ラヴェル(演奏:辻井伸行)
1stアルバム『debut』 2007年








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