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未来に残したい洋楽&邦楽の名曲

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君が手を振っていた - 染谷俊 【バラードの名曲】

【邦楽バラードの名曲】


君が手を振っていた





小学校4年の夏休み、――

夕食、――と、いってもただのカレーライスだったけど、それを食べ終えると、ボクらは順番に流しで食器を洗い、自然体験教室の敷地から数分歩いた先の広場へと向かうようコーチにいわれた。どうやら、そこにはキャンプファイヤー用の焚き火がすでにセットされてるらしかった。――

結局、ボクはカレーのルーを半分以上残してしまったんで、その残飯をゴミ袋に捨て、「カシャカシャ」食器を洗っていると、うしろからマレンが話しかけてきた。

「カミュ、まだ具合悪いの?」

大きな瞳を曇らせて、そう心配する彼女の顔を左の肩越しに振り返ったボクは、

「ううん、あまり好きじゃないんだ。カレーって」

と、いって笑った。

「そうなの、……でもさぁ、それじゃぁお腹空いちゃうでしょ? あたしね、いろいろお菓子持ってきてるから、あとであげるよ」

隣の流し台で食器を洗いながら、マレンはそういってボクを見つめた。

「あぁ、……でもいいよ。そんなにお腹は空いてないからさ」

ボクはそっと微笑みかける。――マレンは手についた洗剤を洗い流して小声でささやく。

「すごい美味しいチョコがあるんだよ! みんなには内緒でカミュにだけあげるからね」

自慢げに彼女は、そういって「ニッコリ」笑った。

宿泊棟から五百メートルくらい離れた場所にあるという広場まで、頭上をうっそうと生い茂る樹木の影がみっしり覆っているせいで、足元なんてほとんどなにも見えなかった。靴底に伝わる感触で、なんとなくそこが砂利道なんだとボクは気付く。途中、数本の街路灯が灯(とも)されてはいたけれど、アーモンド型の半透明な蛍光灯カバーに絡みつく蔦(つた)が、ただでさえ薄暗い光源を隠してしまい、ほとんど役に立ってなかった。

うしろから、悲鳴をあげて女子たちがその暗闇のなかを怯えるように歩いてきてる。そのなかに、ボクが少しだけ気になってる女の子の声も時折混じっていた。――その子と話す絶好のチャンスだと思い、彼女たちが追いつくのをボクは薄暗い街灯の下で待つことにする。

「誰だろう? あっ、カミュだ!」

ボクのシルエットに気付いた誰かがそう叫ぶ。かろうじて表情のわかる程度の暗がりのなか、ちょっぴり想いを寄せる、その子の笑顔を見つけ出す。けれど同時に、このグループのなかに川澄マレンの姿がないことにも、すぐに気付いた。

「あれ? 川澄は?」

ボクがそう訊ねると、誰かが答える。

「あぁ、マレンは、さっき部屋のほうへ戻っていったけど。なにか忘れ物したみたいで」

(忘れ物?)

すると、ボクの気になっていた、その女の子が笑いながら話を繋いだ。

「まったく、……マレンはいっつも自分のことしか考えないで、そうやってみんなに迷惑ばかりかけるんだから」

ボクは、彼女がそんなことをいう子だなんて思ってなかったんで、正直、ちょっとショックを受けた。

「行こう! カミュ、もうすぐキャンプファイアはじまっちゃうよ」

彼女は、そうボクを誘った。

「でも、川澄、……もしかしたら、場所とかわかんないかもしれないし」

少しボクが躊躇(ためら)うと、

「大丈夫だよ。たぶん、みんなの声とかも聞こえるはずだもん。だからマレンもそのうちくるよ」

その子は、そういってから、

「あ~っ、もしかしたらカミュ、好きなんでしょ? マレンのこと」

と、訊ねるようにからかい、笑った。

「――好きか嫌いかなんてわからないけど、……心配か、なんとも思わないかっていうんなら、いま、川澄のことはすげぇ心配。まぁ、それが普通だと思うんだけど」

そういって、ボクは闇のなかを宿泊棟のほうへ向かって駆けだした。
建物の外から二階を見あげてみたが、男女どちらの部屋の電気も点いてはおらず、まさかと思い、念のため川のほうへも探しに行った。けれど、マレンはどこにもいない。

(もしかしたら、入れ違いになったかな?)

そう思いつつ、広場のほうへと戻る途中、さっきは暗くて全然わからなかったけど、左側の木立のあいだから、ずっと奥のほうへと続いてる、細い林道の入り口があることに気付いた。

枯れ落ちた枝葉がそこいらじゅうに散乱し、くるぶしを隠すほどまで好き放題に伸びた雑草が繁ってて、普通なら、誰も夜、こんなところへは絶対ひとりで立ち入りったりはしない。


【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】


君が手を振っていた - 染谷俊
1stアルバム『愛にあいたかった』 1993年




 
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