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未来に残したい洋楽&邦楽の名曲

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Myself~風になりたい - 徳永英明 【バラードの名曲】

【邦楽バラードの名曲】


Myself~風になりたい






1983年9月13日(火)

「――しばらくして、学校でメチャクチャにされた彼女の自転車が見つかった。でも、結局、犯人は見つからなかったんだ。それどころか『小山さんが自分で自転車を壊した』ってことにされてしまっていた。――クラスのみんなは、犯人が誰かなんてこと、とっくにわかってたけど、誰もそのことを先生にいわなかった。そしたら、それから数日後、――ボクの机の下に、自転車のサドルが置かれてたんだ」

うつむく田代の大きな顔を、ボクは黙って見つめていた。

「ほら、ちょっと早く! 2人とも! もう置いてくよ!」

遠くからショウカの甲高い声が聞こえてくる。――けれど、まるっきりそんな彼女の声が聞こえなかったかのようにして田代は、おそらく小学校の頃からずっと心に押し留め続けてきた後悔の言葉を、ただ、ひたすら吐き出していった。

「――ボクは、慌ててそのサドルを学生カバンに押し込んで、廊下のロッカーのなかへ隠した。『ボクが犯人にされる』と思って、怖くなって、ついそれを隠してしまった。――そのとき何度も先生にいおうとしたんだ。本当の犯人の名前を、――でも、どうしてもいえなかった。その日の学校帰り、彼女のサドルをどこかに捨てようとも思ったけれど、誰かにその現場を見られるのが怖くって、それを家に持って帰って、庭にあった物置の奥のほうへ隠してしまった」

「仕方ねぇよ。お前がそうした気持ちは、オレにもなんとなくわかる」

ボクは、静かにそうつぶやく。――ふと見ると、田代は大きな肩を微(かす)かに震わせていた。

「ボクならば、あのとき小山さんを助けられたはずだったんだ。……もし、犯人の名前を、勇気を出して先生にいってたとすれば、――そのサドルを持って、ちゃんと先生に話をしたのであれば、少なくとも小山さんが『自分で壊した』なんて犯人扱いされることもなかった。――けれど怖かった。サドルを隠してしまったことで、ボクも犯人のひとりになってしまったかもしれないという事実が、ものすごく怖かったんだ。――そしてなにより、……小山さんの悲しみを一番わかってたはずなのに、彼女のことを見放してしまった自分自身のことが、ものすごく嫌になった。どうしようもないヤツだって思ったんだよ」

ボクは、田代の大きな背中を軽く叩くと、横顔に小声でささやいた。
「はぁ? 『どうしようもないヤツ』? どこがだよ! いいヤツなんだな。――お前って、――」

――建長寺の半僧坊まで戻ってくると、そこにはまだ、それほど観光客の姿はなかった。なぜか田代がレジャーシートを持ってきてたので、ボクたちは、長い石階段を挟んでベンチが置かれた休憩所とは逆の平場にそれを広げ、お弁当を食べることにしたんだ。

「お坊さんとかに怒られないかな?」

ミチコが、小さな声でそういうと、

「まぁ、そんときはみんなで謝ればいいんじゃない?」

と、ショウカが笑った。メイは、半僧坊の本殿のほうを見つめ、

「そういえば、ワタシたち、まだちゃんとお参りしてないね」

と、つぶやく。

「それじゃぁ、食べる前にお参りしとこう」

と、いって、すぐさまショウカは立ち上がる。ボクたちも彼女の背中に続いた。――

おのおの小銭を投げ込むと、5人並んで賽銭箱の前に立ち、そして静かに手を合わせる。目を閉じてみれば、この場所の静けさをさらに実感することができた。――鳥のさえずり、虫の鳴き声、無限の枝葉をざわめかす風の音、――そうしたなんら雑味のない自然界の音色がもたらす静寂だけが、ただこの場所には響き渡っている。

ボクが目を開けたときには、すでにショウカはレジャーシートに向かって歩き出していた。まだ願い事をし続けている田代とメイ、そしてミチコのうしろ姿を見つめながら、ボクは心のなかでつぶやいた。

(どうか、みんなの願いを叶えてやってください)

って、――

どうやら、奥のほうに「富士見台」と、いう小さな見晴らし台があったので、時折、そこを訪れる参拝客やハイカーたちが「チラチラ」視線を送ってきたけれど、特にボクらは気にもせず、その場でお弁当を広げ続けていた。ショウカは手書きの予定表を眺めながら、爪楊枝でミチコの弁当箱のなかからウインナーを一本拾いあげる。

「どうしようか? この予定通りだとさぁ、建長寺を出たあとは鶴岡八幡宮に行って、それから江ノ電乗って、極楽寺を見て終わりなんだけどね。まぁ、さっき2つお寺に行きそびれちゃったんだけどねぇ」

そういってウインナーをかじるショウカに、メイは静かに笑いかける。

「浄智寺くらいなら少し北鎌倉のほうへ戻れば行けるんでしょ? いずれにしてもこのお寺に、だいぶ長居し過ぎてるような気もするけどね。……でもワタシ、このお寺、好きだな」

ミチコに手渡されたおにぎりを一口かじり、

「まぁ、予定なんてもんはさぁ、もう別に気にしなくてもいいんじゃん。たぶん、オレの記憶だと、建長寺より面白いと思った場所なんて、ほとんどない気がするしね」

と、いってボクは笑った。そして、ひざのうえに置かれた色身の薄いおかずが乗った弁当のほうばかりを見ている田代に向かって、笑ったままでつぶやく。

「お前もさぁ、もらえばいいじゃん。 小山さんのお弁当。美味しいよ」

田代は顔をあげ、ミチコのほうへ目を向けた。

「もしよければ田代君も、いっぱい食べてね」

色とりどりの惣菜が詰め込まれた大きなランチボックスを差し出し微笑むミチコにそういわれ、

「あぁ、……ありがとう」

小さくつぶやくと田代はランチボックスから、から揚げをつまみあげた。ふいに、ショウカが言葉を滑らす。

「でもさぁ、ミチコのお母さんも、ずいぶんとおかずを作ったわよねぇ。もしアタシたちと会わなかったら、ミチコひとりじゃ、こんなに食べきれっこないのにねぇ」

なんらかの悪意があったわけでもないだろうが、誰も、そんなショウカの話題を広げることなどできなかった。ミチコは微笑み、小さな声でショウカへささやく。

「そうね。食べきれるわけなんてないのにね」

すると、大きな瞳を曇らせながらショウカは慌てて弁解しはじめた。

「あっ、違うよ! 別に変な意味でいったんじゃないんだからね」

「わかってる。でも、それは本当のことだから。もし、今日、建長寺でみんなと会わなかったとしたら、ワタシ、ひとりでお弁当を全部食べることなんてできなかったんだし。――だからね、本当によかったって思ってるの」

ミチコは、静かな微笑みをショウカへ向ける。

「……ワタシ、さっきは本当に嬉しかったんだ」

そういって田代のほうへと視線を移し、口元に喜びを湛(たた)えたままで、彼女は嬉しそうにささやいた。

「山門でね、田代君がワタシの名前を呼んでくれたから。――」

田代は割り箸を持ったまま、ずっとミチコの小さな顔を見つめ続けていた。




【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】






Myself~風になりたい - 徳永英明 
5thアルバム『REALIZE』 1989年

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