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未来に残したい洋楽&邦楽の名曲

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Emerald Legacy - Kevin Kern 【インストルメンタルな名曲】

【インストルメンタルな名曲】


Emerald Legacy






1982年8月21日(土)

薄墨色(うすずみいろ)のシルエットを、琥珀(こはく)に染まる湘南の海に浮かべた江ノ島の向こう側で、ぼんやりと滲(にじ)む富士山の輪郭が、纏(まつ)わる夕雲たちの影と溶け合う。


南から吹く風が真夏の気温を押し止め、もう間もなく夕暮れを迎えつつある葉山の海の砂浜に、しみつくように残された微かな太陽の余熱は、一向に冷める気配が感じられない。

「ずいぶん江ノ島が遠くに見えるんだねぇ」

穏やかに微笑む両頬を、まどろむ夕暮れの残照に染められて、そうつぶやいた川澄マレンは、薄いピンクのワンピースの裾を、暖かな南風の行方に、さっきからずっと任せっきりだ。


彼女がいう「ハニーの日」――つまりは今日、8月21日、ボクより5ヶ月ほど早く、マレンは15歳の誕生日を迎えた。

こないだ羽田空港から帰ってくる電車のなかで、ボクは彼女に訊ねた。
「誕生日プレゼントに、なにが欲しい」って。――

きっと答えはすでに、ずっと前から決まっていたんだろう。マレンは大きな薄茶色の瞳でボクを見つめ、さして思案もせずに、こう答えたんだ。

「アタシねぇ。パルと一緒に流れ星が見たいなぁ」

って。

『流れ星』――

それを見ることは、ボクにとっても、ずっと子供の頃からの憧れだった。

【流れ星に、三回お願いをすると、その願いが叶う】

そんな母親の言葉に、幼いボクの心は無性にときめいていた。

いつだったろうか。
イトコの兄貴が買ってもらった望遠鏡で、兄貴の部屋のベランダから土星の環をはじめて見たとき、ボクは宇宙というものの広さを改めて思い知った。あのときの感動はいまだに忘れられない。それ以来、ボクは星空に興味を抱くようになっていったんだ。――


かつて、あまりに壮大な浪漫を、その煌(きら)めく星空に感じながら、ずっと流れ星を捜し求めていたあの頃の好奇の名残りが、いまでも夜になると、ふとベッドから見上げる夜空の先に、それを探そうとする癖として、ボクのなかには、ほのかな懐かしさとともに残されている。しかし、この街で流れ星を見たことは、これまで一度もなかった。

「街の灯りが眩(まぶ)し過ぎるから、――」

たしか両親のどちらかが、そういって幼いボクのことを慰めた。だけど、マレンに流れ星の話をされて、こないだふと思い出したことがある。その人が、果たしてボクのイトコかハトコなのかはよくわからなかったけれど、かつて葉山で一人暮らしをしていたおばさんから聞いた話を。――

「このあたりは、湘南のなかでも空気が澄んでて、ものすごく星もキレイに見える」

そのおばさんは、そんなことを話し始め、そして、最後にこういったんだ。

「夜中になるとね、流れ星もこの部屋の窓から、たまに見えるんだよ」って、――

ボクは、そのおばさんの言葉を信じた。そして、マレンと一緒に夕方、逗子駅からバスに乗り込むと、西日に染まる葉山の海岸沿いの車窓をずっと眺め続け、一番静かそうな浜辺を探した。そして、ついさっき、2人ともが同時に気に入った風景を見つけ、そのひとつ先のバス停で降りたんだ。

背の高い漆喰(しっくい)の外塀で、両側を囲まれている、細くて趣(おもむ)きのある小径(こみち)のアスファルト一面に敷き詰められた、茜色に染まる夕陽のカーペットの上を歩いていくと、やがてコバルトカラーの下地に、燈色と黄金色の水彩絵の具を滲(にじ)ますように、「キラキラ」と揺らめく静かな葉山の海が、ボクらの視界一面に広がっていった。


マレンは海岸に出ると、平らそうな場所を見つけ、両足を伸ばしたままで砂浜に座り込んだ。
「結局さぁ、今年も天の川を見れなかったねぇ。なんか最近、七夕の日って、ずっと天気悪いんだよね」
だんだん琥珀色に移ろいゆく水面(みなも)を、無数に泳ぐ波の影。――一日で、もっとも美しく、優美に輝く海原を見つめ、マレンがそうつぶやく。いわれてみれば、たしかに今年の7月7日も雨だったんだな。

やがて深い濃蒼に色づく薄暮の空には、粉砂糖を振り撒(ま)くように、白々と煌(きらめ)く星粒たちが無限に散りばめられていく。その星空を見ただけで、マレンはおもわず歓喜の声を上げた。たしかにボクらの街で見るよりも、遥かに多くの星々が、葉山の真夏の夜空には輝いていたんだ。

「うわぁ、すごいねぇ。アタシたちの街と、そんなに離れてないのにさぁ、こんなに星の数が違うんだねぇ」

夜空を見上げるマレンの長い黒髪が暖かな南風にそよぐ。

「アタシね、星座とかって、全然知らないからさぁ。こんだけ星があると、もう、どれがどれだかさっぱりわからないよ」

マレンは大きな瞳を空へと向けて、そういって笑う。

「夏の星座ってね。あまり見つけやすいものがないんだよ。っていうか、さそり座くらいしか有名な星座なんてないかもね」

ボクも同じ空を見上げた。

「アタシさぁ、もうちょっとあとに生まれてれば、『おとめ座』だったのになぁ、『しし座』ってね。なんかイヤだ」

と、マレンは少しふてくされる。

「いいじゃん。ハニー(8月21日)なんだからさぁ。ハニワ(8月28日)とかよりも全然可愛いしねぇ」
と、ボクはマレンの横顔に笑いかけた。

南風に長い黒髪を、ずっとそよがせ続けるマレンは、やがて両ひざを胸元へ引き寄せながら、静かにつぶやく。

「アタシ、……もう来年には結婚できるんだよ。信じられる? なんかついこないだ、小学校を卒業したばかりって感じなのにさぁ」

(結婚? マレンは、もう来年、結婚できるのか?)

ボクにはその言葉の響きに、まったく実感が湧かなかった。たしかに、まだボクたちは、小学校を卒業してから、たかだか2年半くらいしか経っていないのだ。

「パルは、――アタシのこと好きでしょ?」

マレンは、嬉しそうに微笑むと、ボクの横顔に問いかける。

「はぁ? まぁ、……ねぇ」

ボクが答えを濁すと、マレンは、いつものように少しだけ頬を膨らませた。

「『まぁねぇ』ってなによ! 好きでしょ?」

「あのね、そういうのってさぁ、強制的にいわせるもんじゃねぇんじゃないの?」

と、ボクは笑って誤魔化した。

気づけば向うの砂浜で、手にした花火を女の子のほうへ向けたりしながら、大学生らしき男女4人組が騒ぎ始めている。嬉しそうにハシャぐ彼らの姿を眺めていたマレンが、ボクの横顔にふたたび訊ねてきた。

「じゃぁさぁ。もし変な不良とかがね、いま絡んできたらさぁ、パルはアタシのこと守ってくれる?」

ボクは、茜色に染まるマレンの顔ではなく、琥珀色した海のほうを見つめていった。

「それもさぁ。いま訊くもんじゃねぇな」

「なんでよぉ。守ってくれるでしょ? アタシのこと」


大学生たちが打ち上げ花火を夜空へ向かって次々と点火させていく。女の子たちの甲高い笑い声と、上空へと舞い上がる花火の打ち上げ音が、すっかり暗くなった葉山の海岸に響き渡る。

「なんかうるせぇし、あんな明るくされたんじゃ、せっかくの星空がよく見えないね」

ボクはスウェットを二、三度叩きながら、砂粒を払って立ち上がると、マレンの顔の前に右掌を差し出す。

「もっと、あっちの暗いほうへ行こうよ」

そういったあと、なんか変な意味に取られてないか、ちょっと心配になったけど、マレンは躊躇(ためら)いもなく、ボクのその掌を、白い指先で握り締めたんだ。――


【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】







Emerald Legacy - ケヴィン・カーン
アルバム『In My Life』 1999年

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