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【Re-Edit】 ガラスのジェネレーション - 佐野元春 【ポップスの名曲】

【Re-Edit】【邦楽ポップスの名曲】


ガラスのジェネレーション





Epi-22

 1982年8月18日(木) 中学2年の夏休み
 おそらく夕方の午後5時過ぎ

 中学2年のボクたちは、これでもう、13回目の夏を迎えたことになる。
 残香(ざんこう)をわずかに湛(たたえ)え、地表からそっと解き放たれてゆく湿った熱気を、柔(やわ)かに冷ましていきながら薄暮(はくぼ)の空を彷徨(さまよ)い続ける夏の夕風。その涼風を頬のあたりにふと感じたとき、過ぎ去りし幼き夏の思い出が、一瞬心に蘇る。

 たそがれてゆく街のなか、絶えずたゆたうその風は、時間軸の規則性などないままに記憶のなかを自在に行き交う「タイムマシーン」と、どこか似ている。――たとえいまのボクがどれだけ変わってしまっても、どこでなにしていようとも、心の内面から直接投影されてくる真夏の情景は、鮮明なまでにあの幼き頃のままなのだ。

 庭先の静寂を絶えず震わす蝉時雨(せみしぐれ)、――その音は、さっきまでうつら見ていた夢のなかでも、ひたすらずっと鳴り響いてた。遅めの昼食を終えてから、すっかり寝込んでしまったボクは、ついさっきようやく目覚めたばかりだ。――

 けれど、はたしていまが明け方なのか、夕方なのか、すぐには判断できずいる。 ベッドの上、わずかに射し込む西陽を浴びて、ボクは雲ひとつない空を見上げた。

(あぁ、もう夕方か、……)

 開け放たれた窓から紛れる夕風が、蝉らの声と交わって、まるで呼吸をしているかのよう、琥珀に染まった白いレースのカーテンをゆっくり大きく膨らまし、やがて柔(やわ)かに萎(しぼ)ませてゆく。

 川澄マレンはお盆のあいだ、鎌倉のおばあちゃんの家に行ってるらしい。
 ここ数日、こうしてボクは、ただ時間をいたずらに消費しながらぼんやり毎日過ごしていた。

(やたら海へとばかり行きたがっていた小学生の頃とは、夏休みの過ごし方がすっかり変わってしまったな)

 いまのボクが休みのあいだにしていることといえば、――少しだけアンプのボリュームをあげ、一日中レコードを聴いてるか、せいぜい夕食のあと、隣に住むイトコの兄貴の部屋へ行き、タバコをくゆらせエレキギターを弾いているくらいなものだろう。たまにベッドに寝転がり、親父が買い揃えた歴史小説なんかを眠くなるまで読むこともあった。が、いずれにしてもこの3週間近く、ほとんど外出などはしていない。週に二、三度、川澄マレンと会ってた以外は。――
 
 ベッドから起きあがり、レコードプレイヤーとアンプの電源を同時に入れる。しばらくすると佐野元春のセカンド・アルバム『ハートビート』のオープニングナンバー「ガラスのジェネレーション」のポップなイントロが流れてきた。このLPは、たぶんこれまでボクが聴いてきた邦楽アルバムのなかでも、かなり再生回数は多かったはずだ。

 どのくらい聴いたかなんてよく覚えてないが、少なくとも中1になったばかりの頃は一時期、毎日このアルバムばかりを聴いていた。――

 昨夜、ある女の子から電話があったんだ。
 小学校の高学年までずっと同級生だった佐藤マキコとは、中学生になってから、まだ一緒のクラスになったことはない。うっすらと緑色した大きな瞳に、金色を帯びた赤茶色の髪の毛がすごく印象的な色白肌の彼女は、むかしからどことなく外国人の女の子のような雰囲気だった。

「――カミウさぁ。明日って、なにか予定あるの?」

 数年振りに話す彼女は、受話器の向こう側から突然、ボクにそう訊ねてきた。

「えっ、明日? 特にはないけど、……なんで?」

 とりあえずそう返事はしたけれど、久々に声を聞いたマキコから、いきなりそんな質問をされるなどとは思いもしなかった。

「もし暇ならさぁ、明日どっか遊びに行かない?」

 少しも動じず、マキコはまるで当たり前のような口調でそういった。

「えっ、2人で?」

 少しだけ動揺しながら、ボクはそう聞き返した。

 当時はまったく気づかなかったけど、いまにしてみればなんとなくわかる気がする。小学校4年のときから授業の一環で採り入れられた文化活動の時間、マキコはなぜか、いつもボクと同じ科目を選んでた。なんで女の子の少ないその科目をマキコが選んだのか、ずっと不思議だったんだ。

 それに、運動会で披露するダンスの練習をしてたとき、彼女の手を握った瞬間、幼いながらもほかの女の子とはちょっとだけ違うような感触を指先に覚えたりして、……まぁ、いずれにしたってあの頃は、恥じらいみたいな感情を単なる違和感ということで片付けてしまっていたのだろう。

 もしかしたら彼女が「小さな恋心」をボクに抱いてたんじゃないのかな? と思うようになったのは、つい最近になってからのことだ。――

 マキコからなにも返答が返ってこなかったので、ボクのほうからふたたび口を開くしかなかった。

「どこに行くの? オレと2人でってこと?」

「2人だと、……やっぱり無理っぽい?」

 彼女は少し寂しげにそういった。いくらクラスが違うとはいえ、ボクとマレンがつき合ってるってことくらい彼女も知っていたはずだ。いずれにせよ、「もしマキコと2人だけでどこかへ遊びに行った」なんてことを知ったなら、さすがにマレンも怒るだろうなと思い、ボクがなにも答えられずにいると、

「……マレンに怒られるかな?」

 少し疑問系でマキコのほうからそう訊いてきた。

「たぶん。……怒るかもしれないけどね」

 と、ボクが少し笑って答えると、

「やっぱり、そうだよねぇ」

 と、照れるようにし、マキコも笑った。彼女が本心で諦めたのかどうかはわからなかったが、そう納得されちゃうとボクも「ちなみに、どこに行きたいの?」などとは、それ以上訊くこともできず、しばし無言となる。

「――また今度、電話してもいい?」

 マキコは最後にそういってから電話を切った。…………

 『ハートビート』のA面が終わると、アンプのラインをチューナーに切り替え、ふたたびベッドの上で寝転がる。――まるでヨットのセイルのように潮風を受けてカーテンが舞いあがるたび、夕暮れの淡い陽射しが部屋のなかへと一斉に引き込まれてきて、天井に光と影の満ち引きをぼんやり描き出してゆく。

 そんな揺らめく光を眺めているうち、マキコとの昨夜の会話を思い出す。――FMラジオからは佐野元春の代表曲、「サムデイ」のイントロが流れはじめた。ドラマチックに昇華していくBメロの途中あたりに差しかかるとボクは、それを一緒に口ずさむ。そして思った。

(マレンは、鎌倉の親戚の家からいつ帰ってくるんだっけ?)

 小さな蝉が発し続ける大音量のノイズのことなどすっかり忘れ、もて余される時間のなかで、なんだか無性にマレンに逢いたくなっていた。

 なぜだろう。誰かに対する恋しさは、安らぎばかりをボクたちに与えてくれるわけじゃない。 いや、――むしろ、その逆ばかりがいつだって与えられてるようにも思う。

 けれど、「誰かを好きになる」ってことは、せつないほとの苦しみを伴うものだ。……とかってことをいえるほど、恋をしてきたわけじゃないけど。――――






ガラスのジェネレーション (LPヴァージョン) - Heart Beatガラスのジェネレーション - 佐野元春 
2ndアルバム『Heart Beat』 1981年

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