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未来に残したい洋楽&邦楽の名曲

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夕凪 - さだまさし 【バラードの名曲】

【邦楽バラードの名曲】


夕凪
リンク切れになった場合、iTunesにてご視聴ください☆







1983年7月17日(日) 午後1時すぎ


腰越駅を過ぎると江ノ電は、右側の車窓一面に雄大な湘南の海を映し出してゆく。このあたりの海岸はやけに砂浜が狭く感じられる。きっとそのせいだろうけど、ボクらが住む街よりも水平線がかなり遠くのほうにあるように思えた。

けれど、やっぱりボクは地元の海のほうが好きだな。深くて冷たい濃藍色を水面(みなも)に湛え続ける鎌倉の海を見ていると、やけにもの哀しくなってきてしまうんだ……
この景色を見るのは本当に久しぶりのことだ。最後にこの電車に乗ったのがいつだったかなんて、すぐには思い出せないくらいに――

ボクはふと、ジーンズのポケットからウォークマンを取り出す。
「姉ちゃん」――いまだにボクはそう呼んでいるが、イトコの兄貴の妹である彼女とは小学校の頃、ホントによく遊んでいたものだ。

学年でいえばボクの一校上である姉ちゃんは、当時ニューミュージック系の邦楽を好み、さだまさしや中島みゆきのレコードをいつも聴いていた。中学に入ってからは、ほとんど彼女の部屋へいく機会も減ってしまったのだが、こないだ、兄貴のところへ行こうとしたけれど、彼はまだ高校から帰ってきておらず、たまたま帰宅していた彼女の部屋をボクは久しぶりに訪れた。

――かつて、この部屋で一度だけ聴いたことのある、さだまさしのアルバム収録曲が、なんだか無性に聴きたくなったからだ。けれど、どのアルバムに入ってる、なんていう曲なのか、まったくわからなかったので、仕方なくアルバムを数枚引っ張り出して一枚づつ聴きながら探していくしかなかった。ボク自身、さだまさしの歌はあまり好きではなかったけれど、「道化師のソネット」と「驛舎(えき)」だけは、なんとなく好きかな――

やがて、デビューアルバム『帰去来』を聴いているとき、ようやくボクが探していたその曲が流れてきた。それはA面の最後に収録されている「夕凪」という曲だった。どうやら作曲は、さだまさし本人ではないようだけど、メロディがすごくきれいで、子供の頃、たった一度聴いただけなのに、その旋律がずっと心に残っていた。

「夕暮れどきにひとりで海を眺めている――」
そんな情景が、子供ながらにものすごく伝わってきたんだ。姉ちゃんからそのアルバムを借りて帰ろうとすると、彼女はボクを呼び止め、
「これ、結構いいよ」
そういって、もう一枚、別のアルバムを差し出してきた。それは今年の春にリリースされた中島みゆきの『予感』というアルバムだった――

鎌倉への観光客で混雑する電車は、いま七里ガ浜の駅に止まっている。川澄マレンは、薄曇りの空色を映し出す鎌倉の海を見つめていた。
「――カミュちゃんも一緒にきてくれない?」
こないだ数日振りに学校でマレンと会い、ボクのお気に入りの神社に立ち寄ってから彼女を駅まで送った。その別れ際にマレンから、「週末、お墓参りに一緒にきて欲しい」といわれた。彼女がいま住んでいる鎌倉のおばあちゃんの家から程近い場所に、母方のご先祖のお墓があるのだという――

ボクは、おもむろにヘッドフォンの一方をマレンへと差し出し、そして静かにささやく。
「この曲ってさぁ、オレが小学校のとき一回しか聴いてないのに、なんかすんごく心に残ったんだよね」
マレンは大きな瞳でボクのほうを振り返り、黒髪を柔らかく指先で掻き上げるとヘッドフォンを右耳へと挿した。ボクは自分の左耳にもう片方を挿すと再生ボタンを押す――すでに早送りされていたカセットは、やがてゆっくりと回転し、穏やかなピアノの旋律に優しいストリングスが折り重なる「夕凪」のイントロが流れ始めた。

江ノ電は稲村ガ崎の駅を過ぎると、湘南の海を背にし、狭い住宅街を縫うように走ってゆく。そこから先に映し出される車窓の風景にはあまり目立った見所はなかった。でもボクは、そのなんでもないような住宅街の景色がすごく気に入った。電車は由比ガ浜の手前でふたたび海岸のほうへと近づいたけれど、さっきのように海を間近に見ることはもうできなかった。ただ、ボクとマレンのあいだを繋ぐ「夕凪」の美しい旋律は、江ノ電のゆったりとした走行音とあいまって、どこまでも違和感なく鎌倉の街並みと調和していた。

ここへきたのは小学校の遠足以来だろうか――
日曜日の鎌倉駅前は、とにかくものすごい人だかりだった。ボクらは、その人の波をすり抜けるようにして停留所へと向かい、停車していた鎌倉の山のほうを目指すバスへと乗り込む。さすがに観光名所のないこっちのほうまでくるような乗客はほとんどいないようだ。バスのなかは、お年寄りが何人か乗ってる程度だった。

――ボクたちの住む街は、なんとなく松林のなかを歩いているような気がする。けれど鎌倉は、駅からほんの少し離れるだけで、まるで奥深い緑の杜のなかに迷い込んでしまったような錯覚を起こす。この街がこんなにも山深い場所だったとは正直思ってもいなかった。

深い樹々の影に覆われた、山の中腹あたりの停留所でボクらはバスを降りる。バス停の近くに一軒しか見当たらない寂れた商店の店先に並んだ花束をマレンはしばらく見比べていた。やがて美しく開花した白桔梗をメインにアレンジされている花束を選ぶと、奥のほうから出てきた店の主(あるじ)らしき老婆に、マレンはその場で代金を支払った。

――少しばかりバス通りに沿って歩いていくと、やがて山の頂上へと向かって細長く延びる石階段が見えてきた。ボクらは無言のまま、ゆっくりとその山道を登り始める。
太陽の光を求めるようにし、身勝手な方向に伸びた無数の枝葉が果てしなく階段の先のほうまで生い茂っている。無限の葉裏が作り出す濃緑色の巨大な傘のような影が、ボクらの頭上を覆っているせいで、少し前から降り始めた小雨の感触はほとんど感じられない。

凛とした草花の匂いを漂わせ、真夏の清風が空へと駆け上がってゆく。
神聖なる領域を取り囲む深緑の古木たちがもたらす厳(おごそ)かな空気のなかには、物音を一切感じさせない涼やかな静けさがたゆたう。

そよぐ風の音、揺れる木々のざわめき、そっと枝葉を叩く雨の響き、虫や鳥たちの鳴き声――
雑音とは違い、まるで音楽とも違う、決して淘汰されることのない、そんな自然界の必然的な響きに包まれながら、ボクらは次第に癒されてゆく。
この静けさは、聴覚で感じられるものではなく、きっと心の静寂なのだろう――


【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】





夕凪 - 帰去来夕凪 - さだまさし
1stアルバム『帰去来』 1976年

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