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流れ星が好き - 尾崎亜美 【バラードの名曲】

【邦楽バラードの名曲】


流れ星が好き






ボクが小学生のころだったろうか――
知り合いから一匹の犬を譲り受けた。
犬種としては「ヨークシャー・テリア」であったが、
果たして純血だったかどうかまではわからない。
なんとなくほかの「ヨークシャー・テリア」とは、毛並みも顔立ちも異なって見えた
その小さな彼女にボクは「ジョー」と名付けた。

当時、テレビで再放送されていた『あしたのジョー』に、すっかりハマっていたからだ。
当然、メス犬につけるべき名前ではないとは思ったけれど、
ボクがどうしてもその命名を譲らなかったため、
3つ年下の妹などは大声で泣き出す始末だ。

やがて両親は中和策を思案し、お嬢様の「嬢」という意味合いをその名に持たせることで、
泣き続ける妹をどうにかこうにか説得したんだ。

ジョーがうちに来た頃は、親父が吸っていたマイルドセブンの箱と並べても、
ほんの少しだけ彼女が大きい程度で、犬毛もほとんど生えていなかった。
だから、それが本当に犬の子供なのかどうかさえも、
正直よくわからないような感じだった。

しかし、一ヶ月程度経過すると、なんとなく雰囲気も犬らしくなってくる。
同時に、ものすごくヤンチャにもなっていき、
家のなかにあるものをなんでもかんでも、むやみやたらと噛みはじめる。

その「噛み癖」は、彼女が成長するとともに収まってはくれず、
ボクも何度か噛みつかれたりした。

特に冬場は本当に困った。
ジョーは、いつも茶の間にあるコタツのなかで寝ていたのだが、
それをつい忘れて足を突っ込んだりしたときなんて、いきなり指先を噛みつかれた。
冬の寒さが痛みを増長し、ボクも何度か本気で怒ったことがある。

それからジョーは、妹に対してだけ、なぜか変なライバル意識のようなものを持っていた。
だから座席位置ひとつとっても、自分のお気に入りの場所に妹が先に座ったりしていると、
ひたすら吠えたり服を噛んだりしていた――


やがてボクも中学に上がり、そして高校生となり、
徐々に両親とのあいだにも微妙な距離が生まれ始めてゆく。

そんなとき、ジョーの存在は貴重だったんだと思う。
もし彼女の姿が茶の間になかったら、もっと、ずっと息苦しさを感じていたに違いない。

やがて高校を卒業し、ボクが東京の学校へ通い始めると、
実家へ帰る機会もだんだん減り始める。
二十歳を過ぎると、ほとんど週に2日くらいしか地元には帰らなくなる。
上京してきた友達や、知り合いの女の子の部屋を渡り歩くような生活がずっと続いた。

たまに実家へ帰るたびに、ジョーの衰弱はなんとなく目に見えた。
普段、一緒にいないからこそ、ボクは余計にそれを感じたのかもしれない。

何度も咳き込み、呼吸するのも苦しそうな彼女の姿を見ていられなかった。
けれど、それとボクが実家へ帰らなくなった理由とは全く別のことだ……

春休みのある日――
ボクは、友達たちと海外旅行へ出掛けるために、始発の電車へ乗ろうとしていた。
まだ誰も起きていないその家から静かに出て行き、庭先の門を閉めようとしたとき、
ボクのうしろをジョーが追いかけてきていたことに気づく。

「いったい、どこか出てきたんだろう?」

たまに南側のガラス戸を、自分でどうにか開けて外に出ることはあったけれど、
まだ、その時間は雨戸が閉まったままである。

不思議だとは思ったけれど、そのときボクは電車の時間を急いでいた。
「家に戻りな」

と、ジョーに告げるとボクは駅へと向かった。
しかし、ボクのうしろを小さな足音が追ってくる。

振り返るとジョーが舌を出してボクのほうへと走って来ていた。
まぁ、こうして追いかけてくることも、以前はたまにあったんだ。
けれど、しばらく追いかけてきて、ある場所で立ち止まると、
やがて自宅へと引き返していたんだ。

「ジョー! 早く家に戻れ!」
ボクは、少し彼女のことを怒鳴る。
そして無視するように走った。

やがて車通りの多い道を横断したとき、うしろで急ブレーキを踏む音を聞いた。
慌てて振り返ると、ジョーが、その車体の下に小さく丸まりながらしゃがみこんでいる。
ボクは車の下から彼女を引っ張り出すと、思いっきりその小さなあたまを叩いた。

「なんで今日に限って、こんなとこまでついてくるんだよ!」

そして、そのままスーツケースを置きっ放しにして、ジョーを家まで抱えていき、
玄関を開けると無造作に彼女を放り込んだ。
ふたたび駅へと向かうとき、南側の雨戸のほうを振り返る。
すべての木戸がピタリと閉ざされ、どこにも外へ出られそうな隙間などなかったんだ。

(おそらく、裏の勝手口かどこかから出てきたんだろうか?)
そう思いながら、とにかく、ただ駅へとボクは急いだ――


――結局、彼女の死因はわからない。
ボクが旅行で留守のあいだに、朝、父親が気づくと階段の下で死んでいたのだという。
どうやら二階へと上がろうとしていたらしいが、途中で足を踏み外したみたいだ。
そのとき受けた衝撃が理由なのかどうかもわからない。
もしかしたら、階段を上がろうとしたときに息絶えたのかもしれない。

いずれにしても、ジョーは、ボクが旅行から帰ってきたときには、
すでに骨壷に収められていたんだ。

彼女の死そのものに対して、ボクは正直あまり哀しさを感じていなかった。
彼女が苦しそうに咳き込む姿を見続けるよりは、遥かに楽だと思った。

きっと、それは人だったとしても同じなのだろう。
最初は「死んで欲しくない」と当然ながら思う。

けれど、苦しんでいる姿を見続けているうちに、
「もう楽になって欲しい」と、どこかで思うようになってゆくような気がする。

ボクは二階の部屋へと戻り、ソファに寝転びながら、
旅行に出掛けた朝のことを思い出していた。

もしかしたら、ジョーは自らの寿命を悟り、
最後の別れを告げるために、あの日ボクのことを追いかけてきたのだろうか?
いまだにジョーが、あの日どこから外へ出たのかはわからなかったけれど、
それを両親に訊ねるのは止めることにしたんだ。

ボクは最後に彼女のあたまを殴り、そして怒鳴ってしまった。
そして、そのまま二度と彼女に触れることが出来なかった。
彼女の死は、さほど哀しくなかったはずだったのに、ボクの両目からは涙が溢れた。

生まれて初めて身近な存在と死に別れたときに感じる気持。
それは哀しみではなく、懐かしさでもなく、きっと後悔だ。
ボクらは誰か身近な存在を失うとき、生きているうちにその誰かにしておけばよかったこと、
そして、最後にその誰かにしなければよかったこと、その二つの思いに苦しめられるのだろう。

まだタバコの箱と比べられるほどに小さかった彼女が、この家で過ごした10年近くの歳月、
それが彼女にとって幸せなものであってくれたことを願い続けることしか……
そんなことくらいしかボクには出来なかった。






流れ星が好き - Amii-versary PONY CANYON EDITION流れ星が好き - 尾崎亜美 
15thアルバム『Kids』 1986年



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