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【ALOHA STAR MUSIC DIARY No.21】 Special Forces - 38スペシャル

【ALOHA STAR MUSIC DIARY No.21】 Special Forces - 38スペシャル






ボクらが生まれる僅か20数年前まで
この国が戦争をしていたことなんて全く信じられない。

でもウチの親父が生まれたときは まだ戦争の最中だったのである。


「ウチのお爺ちゃんは 戦争のとき外国で死んだ」

子供の頃 終戦記念日になると地元の海岸に親戚たちと出掛け
そして一度も会ったことのないお爺ちゃんの話を良く聞かされていた。

どこの国で死んだのかは 何回聞いても覚えられなかった。
でも 海に捧げられた花束は なかなか沖へとは向かわずに
何度もボクらの足元に戻ってきてたことだけは ぼんやりと覚えている。

ボクらが何気なく過ごしている日常のなかのどこを切り取ってみても
その戦争の痕跡をリアルに見出すことなどは出来ない。

もし教えられなければ きっとこの国に戦争があったことなんて
ボクらはずっと知らないままだったのだろう。

でも間違いなく20数年前までは 平和に見えるこの国でも
命の奪い合いが行われていたのだ。


アブラハム・マズローって人が『自己実現理論』のなかで
誰もが遺伝的に持っている5つの基本的欲求を定義した。


それは 生理的欲求、安全の欲求、所属と愛、承認(尊重)の欲求、
そして自己実現の欲求。なのだという。

でも本当にそれだけなんだろうか。

ボクらが幼い頃に プロレスやボクシングをテレビで観ながら感じていた
あの" 興奮 "っていったい何なのだろう。

残酷な刺激に飢えた暴力的欲求というものは
本当にボクらに存在しないのだろうか。

いや。きっと確かに存在している。
誰にも教わる前に すでにボクらの血の中には・・・




「1年の男子生徒が 転落して大怪我を負ったらしい」

「おそらく彼は自殺しようとしたんじゃないか?」

そんな噂話を休み時間にクラスの誰かがしていた。

" 同級生からのイジメを苦に生徒が自殺する "

こうした事件が起きるたびにニュースなどで
よく耳にする学校関係者の言葉は大抵2つだけ。


「彼らは悪ふざけしているように見えた」

「イジメと自殺との因果関係は認められなかった」


そりゃそうだろう。なぜならばイジメられてるヤツは大抵の場合
いつだって何となく笑っているように見えるからだ。
イジメてる側も大抵は笑いながらその行為を行うものだ。

特に理由などは無い。相手が困ったり傷ついていく姿が
単純に面白いと感じるからイジメているのである。


「悪ふざけ」や「プロレスごっこ」がまるで「イジメ」ではないと
教師たちは言いたいかように聞こえる。

でも「悪ふざけ」というのが「イジメ」行為そのものなのであり
もし ふざけた感情や笑顔が そこに一切皆無だとするならば
それは単なる「集団暴行」だ。


イジメとリンチの違い。
というのが最も分かりやすい気がする。

当然ながら イジメられてるヤツの笑顔は本当の笑顔ではない。
あくまで「これは遊びの延長なんだ」と自らに言い聞かせ
相手との決定的な優劣を作り出さないための意地
もしくは自尊心を守るための最後の抵抗なんだろう。


でも彼らが自ら死を選ぶ最大の原因がイジメだとは思わない。
たぶんそれはきっかけに過ぎない。

未来への不確定な希望よりも 現実における確信的絶望のほうが
圧倒的に上回ったとき 彼らは完全なる現実逃避への道を自ら選択し履行する。

教師たちが何も気付かないことに対して。
もしくは気付いているのに助けてくれないものなのだと悟ったとき
彼らは最後の僅かな希望を失い 絶望感だけがそこには残されるのだろう。


でも教師なんて そういうものなんだと思う。
ボクらが その職種に対して抱くようなほどの 崇高な社会的モラルや
情熱などは最初から持ち合わせてなどはいない。

少なくとも生徒ひとりひとりの命に対する責任までは
はなから請け負っていない。

彼らは単に地方のお役所務めと同じ感覚で安定した
" 公務員もどき "の道を選んだに過ぎない くだらない連中なのだ。



去年 ボクは職員室で担任教師に拳で20発くらい殴られ続けていた。
でも周りにいた教師連中は ほとんど誰もそれを見ていなかった。
きっと目には入っていたんだろう。
でも 鮮血が飛び散ったYシャツ姿のボクのことなど見えていなかった。

彼らは普通に談笑したり 自分の机に向かって事務作業をしていただけだ。

ひとりだけ止めようとしたのか ボクに土下座するように言ってきた。
でも担任から「立ってるほうが殴りやすいですから」と言われたら
黙ってその場を立ち去っていった。
ボクに背を向けたその教師は 2年の学年主任だったのである。


学校の中であれば 当然許されるものだと勝手に思い込んでいる
故意による傷害行為のことをコイツらは罪ではなく" (体)罰 "と呼んでいる。


いまだに他の生徒たちを殴ってる教師は何人もいる。

奴らは生徒を殴ることに快楽を覚えてしまったサディスティックな変質者か
殴ることで自分は「指導してるんだ」という自己満足な妄想に取り憑かれたサイコパスだ。

どんな理由があろうとも 人を拳で平然と殴れるヤツは
暴力に快楽を覚え 自らの理性を制御できない異常者だ。

そんな暴力を日常の風景のなかにすっかり同化させてしまっている
他の教員連中もまた同じくらい異常者たちなのだ。


そんな異常者たちが何人も平然と存在している学校という場所は
復讐心を持てない弱者にとっては一番危険な場所なのである。

当然 ボクが教師たちに対して抱く敵意は日増しに高まってゆく。
少なくとも2年の担任だけは ボクは絶対に許すことはないだろう。



そういえばこの担任教師は ボクらが中学2年になると同時に
他校から転任して来たんだったな。

ギョロっと飛び出した魚のように大きな目、額に何本も刻まれた深いシワ、
色白の肌に青々とした髭剃り跡、そして短く刈上げられた髪の毛。

新しいクラスの担任として初めて教室に入ってきたときから
何だかものすごく薄気味悪かった。

最初はバカ真面目で大人しいヤツかとばかり思っていた。
でも ある日を境に この担任は突然豹変したのだ。



1982年5月

最初はクラスの誰かが 昔の漫画の主人公に似ている担任の
刈上げられた髪型をからかったことがきっかけだった。

教室内には 的を射たその誰かの言葉に
小さな同調の微笑が起こる。

そのときだった。
忘れもしないけど担任は口元に笑みを浮かべたままで
ゆっくりとそいつに近寄っていき ただ一言「お前なぁ」とだけ言った。
いや それを言い終わる前に 何の前触れもなく思い切り彼の顔面を殴り飛ばした。

そもそも ボクらは教師に平手で叩かれたり頭を殴られたことはあっても
素手で顔面を殴られるという経験などはほとんど無い。

担任はずっと口元に笑みを浮かべ続けながら からかった生徒をさらに殴る。
" ゴツッ "と骨が放つ鈍い音と共に 彼はイスから真横に転げ落ちた。

教室内は一瞬にして静まり返った。
誰かが殴られている光景を日常のなかで間近に見ること自体
きっとそれまで一度も経験が無かったからだろう。


「今 笑ったヤツは全員立て」

担任はゆっくり教壇に戻り こちらを振り返るとそう言った。
当然 誰も席から立ち上がることなどは出来ない。

すると窓際のほうの席へと歩き始め一番前に座っていた
男子生徒の脇に立つなり無表情で彼の頭を殴った。


「お前 笑ってただろ。俺は『立て』と言ったんだぞ」

その生徒は青ざめた表情でゆっくりと立ち上がった。
教室内は 痛いくらいに重々しい戦慄の空気で包まれていく。


「本当に他にはいないのか?」

ボクには この殺伐とした空間がものすごく息苦しくなってきた。
同時に何だかすごくバカらしくなってきた。

不思議なんだけど 誰か他の生徒が殴られている姿を見ると
自分も殴られなきゃいけないように思えてしまう。

別にソイツのことを庇う訳じゃないが
ソイツだけ殴られてるのが何となく可哀想に思えるからだ。

ボクは笑いながら立ち上がった。
こうした極度の緊張感に支配された場所にいると
昔からなぜだかいつも笑ってしまうのだ。

その後 5人くらいの男子が重たそうにイスを
ズズズっと後ろに引くような音をさせながら渋々立ち上がった。

担任は さらに窓際のほうの席を後ろへと移動しながら


「お前も笑っただろう。『立て』と言ってるんだよ」

そう言うなり ひとりの女子生徒の頭を思いっきり殴りつけたのだ。
ボクはその光景に思わず目を疑った。
いきなり殴られた女子生徒は震えながら泣き出した。


「立てよ 早く」

この狂った担任は 泣いているその女子生徒を そう脅して無理やり立たせた。
すると数名の女子生徒も 顔色を失いながらも恐怖のあまりうつむき立ち上がる。
ガクガクと足が震えている子もいた。



1983年3月

四方の壁の上には 歴代校長らしき人物の写真が
額縁に収められて規則的に並んでいる。

【 この中で一番古いのは誰なんだろう 】

正門あたりで大きく鳴り始めた救急車のサイレンは
やがて すぐに遠くのほうへと消えていった。

ボクは校長室のソファに座りながら部屋の中を見回していた。

気付くと 生活指導や学年主任の教師連中も
安そうな机を挟んで ボクの前に座っている校長の後ろ側に何人も立っていた。

ひとりの教師が慌てながら部屋の中に入ってきて 校長になにか耳打ちをした。
校長は神妙な顔で何度か頷くと やがてゆっくりとボクのほうを向いた。

ボクも彼の顔を この学校に入ってから初めてちゃんと見ていた。
学校行事で挨拶をしている姿を遠めで見ていたときとはずいぶん印象が違う。
校長の顔は大小のシミや 細かいほくろで埋め尽くされていた。

【 やはりこの人も相当な年齢なんだろうな 】

「とりあえず先生は 今 病院へ向かいました」

校長は穏やかに語り始めた。


「君のしたことは暴力行為です。そのことは判りますね」

ボクは小さく頷いた。

「先生はもしかしたら 大変な怪我をされているかもしれません。
君はそのことを反省していますか?」

ボクは黙っていた。


「でもなぜ 君は先生を殴ったりしたんですか?」

「・・・それは先生が生徒を殴るから・・・です」

「先生が殴る?いつ先生が生徒を殴ったのですか?」


その言葉にボクは少しだけ嘲笑した。


「" いつ " というよりも "いつも" なんですけど」

校長は顔をしかめながら 後ろに並んでる教師たちのほうを振り返った。
教師連中は 校長と目を合わさず 互いに首を傾げるような仕草をしていた。


【 ふざけんな。お前ら職員室でボクが殴られてるのを見てただろうが 】


「いずれにしても 暴力はいけないことです。君は先生に対して謝らなければならない」

「じゃぁ 先生だったら生徒に暴力を振るっても良いんですかね?」

「いえ 暴力を振るってはいけません」

「おかしいでしょ 校長の言ってることは。だったら まずは担任に謝らせろよ!」

「お前 校長先生に対して何ていう口の利き方してるんだ!」

校長の後ろにいた生活指導が怒鳴った。
よくある学園ドラマの台詞のように 本当にそう言った。
ボクは だんだんと湧き上がる感情が抑えきれなくなってきた。

「おかしいだろうが! オレはヤツに50発以上は殴られてんのに
10発くらいしか仕返し出来てないんだからさぁ」


「本当に君はそんなに殴られているのですか?」

校長は深刻な表情でそう言った。

「だったら後ろにいる先生たちに聞いてみてくださいよ。みんな知ってますから」

ボクは学年主任の顔を見ながらそう言った。



この翌日から自宅待機を言い渡され 数日後 正式にボクは" 出席停止処分 "となった。
この中学校でこの処置が取られたのは初めてのことだったようだ。

最近 ほとんどまともに話したことがない親父が相当怒るんだろうと思ってたけど
妙に機嫌よく自分の子供時代の武勇伝を話していたのがちょっと意外だった。



1982年5月

「お前らこっちに来い」

すごく冷静な口調でヤツは指示した。
ボクらは教室の後ろの壁に沿って横一列に並ばされた。

一番右端にいたのは伊浦ナオトだった。
やがて担任は列の右側から順番に生徒の顔面を殴り始める。
ナオトは殴られた衝撃で 後ろの壁に思い切り後頭部をぶつけた。
" メリ "っと木製ボードの壁が軋む音が聞こえた。

担任は何のためらいもなく 続けざまに生徒を殴り続けていく。
そのたびに彼らは後ろの壁にぶつかったり床に崩れたりしていった。

ボクはヤツのことをずっと見ていた。
感傷と歓喜を同時に漂わせたような歪んだ恍惚感が
ギョロっとした魚のように大きな目には宿っていた。

やがてボクの順番になる。
女子生徒たちは ボクの隣でずっと泣き続けている。

ボクは担任の顔を見ながら笑っていた。
こみ上げた怒りみたいな複雑な感情が
なぜだか分からないけどボクをずっと笑顔にさせていた。


「なに笑ってんだ」

「別に・・・」

「なに笑ってるんだよ!お前は」


担任がボクの右頬を拳で殴りつける。
コイツが人を殴り慣れているということは瞬時にして判った。
ボクシングの殴り方ではない。
多分 空手でもやってたんだろう。

同時に" 痛み "とは違う 何か別のもっと冷たい感覚。
一切のためらいもなく その対象物を破壊しようとする
残虐な意志の力のようなものを そのときはっきりと感じた。

でも ボクはまだ笑っていた。
そしてヤツの拳を握りしめたままの
太い前腕に何本も浮き出た血管を見ていた。

その全ての血管を刃で切り裂いてやりたい気分だ。

2発 3発と 間髪を容れず殴り続けてくる。
まるで当たり前のように容赦なく
そしてそれはものすごく機械的な行為だった。
さすがに もう笑えなくなった。

ヤツは ボクの隣にいた女子生徒の前へと移動していく。
静まり返った教室内に響き渡る " バシン "というその高い炸裂音が
きっと頬を平手で叩いているんだということを
後ろを振り返れないクラスの全員に教えていた。

ただ ヤツが女子を拳で殴らなかったことだけがせめてもの救いだ。



暴力的な脅威によって支配された場合
人は大抵2つに分かれるんだと思う。


恐怖のあまり服従する者たち。

そしてもうひとつは

暴力に対して反逆心を生み出す者たち。


全ての人間を暴力で100%支配することなどは到底不可能だ。
腐った大人たちがどれだけボクらを力で服従させようとしても無理だ。
誰にもボクらを支配することなどは出来やしない。

世の中に対して常に持ち続けている理由なき反逆心がバリアとなって
ありとあらゆる外圧から14歳のボクら自身を守り続けている。




1983年5月

ボクの右隣に座っている川上ナオは
3年のこのクラスのなかでは一番背が低いかもしれない。

彼女が会話のなかで時折発する「ほぉほぉ」とか「ほよよ」という
まるでDr.スランプのアラレちゃんのような独特の言い回しが
このクラスの男子生徒にウケている。
というより 割と彼女のことを好きなヤツらも多いようだ。


「あのさぁ カミウ君さぁ " 38スペシャル " って聴いたことある?」

休み時間にナオがボクに話しかけてきた。


「あぁ 去年あたり『Caught Up In You』歌ってたバンドでしょ」

「そうそう!アタシ なんか最近ハマっちゃってるんだよねぇ」

「何で今さら」


ボクはちょっと笑った。


「たまたま こないだお姉ちゃんから借りたのよ。 アタシあまりロック聴かないんだけどね 」

やがて席に戻ってきた竹内カナエも


「え。 何が?」

と会話に顔を出した。


「いやぁ 川上が最近 " 38スペシャル " を気に入ってるんだってさ」

「あぁ いいんじゃない。結構シブいけどね」

「竹内はアルバム聴いたことあるの?」


ボクは尋ねた。


「部活の子から借りたよ。最近は聴いてないけど」

「へぇ そんなにシブいんだ。 でも川上はそんなのにハマってるのか?」

「ほんだからね。アタシは『Caught Up In You』しかいつも聴かないのよ。ほほほ」

「そりゃ別にハマってるとは言わないね。普通は」

「ほら ほんなら聴いてみる? ほい」


ナオはカバンからカセットを取り出し ボクに渡した。


「・・・それにしても読みづらい字だねぇ。」

ボクにはカセットカバーの裏に小さな文字で書かれた
トラックリストが全く読めなかった。


「ほほぉ。でもあんまタイトルはアタシにゃ関係ないからねぇ。」


昼休み ボクはナオに借りた38スペシャルのカセットをウォークマンで聴いてみた。

1曲目のミディアムスローでキャッチーなメロディのソフトロック「Caught Up In You」は
去年ヒットしたナンバーでボクも何度か聴いたことはある。

でも2曲目以降は かなりサザンロックなアレンジの楽曲が並んでいた。
ボクはずっと「Caught Up In You」のイメージしかなかったので少し意外だった。
どちらかといえば この曲のほうが このアルバムの中で浮いてるような気がする。

ボクは全て聴き終えるとヘッドホンを外し
右側の席で雑誌を読んでいたナオに向かって言った。


「すんごくいいと思うよ。でもきっと川上には向いてないんじゃねぇ?」

「ほぇ? 」

「まぁ 確かにシブいロックだわ。 オレも今度借りようかな」

「ほんじゃぁ そのカセットあげるよ」

「マジで? いいの?」

「いいよ。 アタシまた家で録音すればいいから」


川上ナオは 愛嬌のある笑顔でボクにそう言った。
見慣れてくると いつも頬を赤くした彼女のシンプルな顔立ちも
何となく可愛く見えてくる。

それは別にカセットを貰ったからという訳ではないだろう。


「あぁ そういえば・・・」

ナオは 雑誌をパシンと閉じ 何かを思い出したかのようにして
笑いながらボクに尋ねてきた。


「噂で聞いたんだけどね。カミウ君って どうして先生を殴ったの?」

「うーん。 まぁ いろいろ理由はあるんだけどね」


3年になってから この話題に触れてきたのはナオが初めてだった。
でも 彼女の憎めないキャラのせいか ボクも何となく素直に答えていた。



1983年3月

マレンの叫び声が聞こえた気ようながする。
声のほうを振り返ると 真剣な眼差しに涙を湛えている彼女の姿が見えた。

さっきまで ボクの周りには何も音などしなかった。
風景がぼやけて見える まるで真空のガラスの中のような世界にボクはいた。

気付くと伊浦ナオトが左側に立っていた。
そしてマジメそうな男子生徒数名とともに
ボクのことを後ろから羽交い絞めにしていた。

ボクのカラダからは 一気に力が抜けていき
かなり強くボクのことを押さえつけていたナオトたちも
ようやくその手を緩めた。

足元には右耳当たりから血を流した担任が床に倒れている。

【 そういえば コイツのことを殴ったんだっけ 】

ぼやけた記憶には 数分前の断片的な出来事しか残されていなかった・・・



もうすぐ春休みを迎えようとしていた。
間もなく中学2年も終わりを迎える。

「終業式の前に 何かクラスで記念になるようなことをしたい」と
担任が言い出しだことになど 誰も真剣に取り組もうとはしていなかった。

コイツはあれだけ散々 ボクらに暴力を振るっておきながら
最後には" いい担任 "としての余韻に浸りたいだけなんだろう。
そんなのが見え見えだった。

【 記念になるような行事などしなくたって お前のことは一生覚えといてやるよ 】

コイツの気味の悪い顔を忘れることなんてきっと出来やしない。
もし今度 法事とかで緊張し過ぎて笑いそうになったらコイツの顔を思い出せばいい。
きっと笑いを堪えることが出来るような気がする・・・



担任は黒板の前で 明らかにさっきから苛立っていた。
クラスの記念行事に何をするかを生徒に考えてくるよう言ってたのだが
ほとんど誰も具体的な提案を出さないままで かれこれ10分くらいが経過している。


「お前は 何か無いのか?」

そうして指された生徒たちは 一様に「別に」とか「特に無いです」と
同じような発言を繰り返し続けていた。

やがて いつものように担任のリミッターが解除される。


「お前ら ちゃんと考えて来いって言っただろ!」


足早に一番前の男子生徒の席へと向かい


「本当に何もやらなくていいのか?」


と その彼のことを怒鳴り上げた。

担任はいつも必ず見せしめとして誰かを選ぶ。
そいつのことを責めることで 教室内全体を威圧しようとするのだ。


「お前 立て!」

見せしめにされた男子生徒は 仕方なく立ち上がり
殴られることを覚悟した様子だった。


ボクのなかで" 何か "が生まれた。

衝動的にボクが立ち上がろうとしかけた そのとき


「もういい加減にしてください!」

前列で立たされている男子生徒の隣に座っていた女の子が
いきなり机を叩き絶叫したのだ。

普段マジメですごく大人しいこの子とは
ほとんど会話した覚えがなかった。
だからボクは余計に驚いた。


「なんだ?」

担任はその女子生徒を睨みつけた。


「もう こういうことするのやめてください!」

女子生徒は 立ち上がりながら担任にはっきりと強い口調で言い放った。

その直後 担任は彼女の顔を思い切り叩いた。
いつものように ヤツの口元には笑みが少しだけ浮かんでいた気がする。


さっきボクのなかで生まれた" 何か "がそのとき弾けた。
心の中で破裂音が確かに聞こえたような気がする。


机を蹴り倒し ヤツのほうへ向かって駆け出す。
彼女に気をとられていた担任が こっちを振り返ろうとした瞬間
刈上げられて丸出しになっていたヤツの右耳あたりをボクは殴り飛ばしていた。

ちょうどカウンターのようにして入ったパンチに
ヤツはグラつき そして教壇にもたれ掛かりながら倒れた。
ボクの右手首にも そのときの衝撃で鈍い痛みが走った。

そのままヤツの後頭部あたりを上から何度も強く蹴りつけた。
その度に額を教壇に" ゴツゴツ "と打ち付けている。

誰かが ボクを背後から止めに入ってきたが その制止を振りほどき
両手であたまを抱え込み うずくまっている担任を繰り返し蹴り続けていた。


「パル!」

何となく遠くでそう言われたような気がした。

「パル!」

マレンの叫び声をすごく近くで感じた瞬間 ボクは動けなくなった。
他のヤツの声などは全く聞こえなかったけど
マレンの声だけは そのときはっきりと聞こえたのだ。



1983年3月

ボクが学校に行っていない間に さまざまな出来事があったようだ。
PTAの保護者会の席で今回の事件が議題に取り上げられたらしい。

でも どうやらウチのクラスの生徒の母親が
担任教師の日常的な暴力行為を非難したことで
ボクの暴力事件はうやむやにされ
恒常化された教師側の暴力行為のほうが問題視された。

後で知ったのだが ボクがキレるきっかけとなった 最後に担任に叩かれた
ウチのクラスの女子生徒の母親が どうやらPTAの御偉いさんだったみたいだ。

ボクのクラス内ではアンケートが実施され
担任の暴力行為が確実に存在していた事実が明らかとなった。
みんなボクのことを相当に擁護してくれたみたいだった。

反省文を書くことを条件に ボクは数日間の自宅謹慎を終えた。

久しぶりに教室に入ると
クラスのヤツらが笑顔でボクのことを出迎えてくれた。

マレンは普段 学校ではしないのに
このときだけは みんなの前でボクに抱きついてきた。
ボクも彼女の背中を少しだけ抱きしめた。

みんな 暴力から解放されたことを本当に心から喜んでいた。
担任の具合のことなど 誰ひとりとして気にもしていなかった。

結局 どの程度の怪我だったのかは最後までわからないままだ。
でもすでに退院しているというような話は 何となく代理の教師から聞いた。

結局 担任は 表向き" 治療中 " ということで
とうとう終業式まで学校に来ることはなかったからだ。

そして 新学期からヤツがこの学校で学級担任を任されることもなかった。



Special Forces - 38スペシャル




 1 Caught Up in You  
 2 Back Door Stranger  
 3 Back on the Track  
 4 Chain Lightnin'  
 5 Rough-Housin'  
 6 You Keep Runnin' Away  
 7 Breakin' Loose  
 8 Take 'Em Out  
 9 Firestarter  

リリース 1982年6月|レーベル A&M

70年代を代表するアメリカンサザン・ロックバンドのひとつ レーナード・スキナードのロニー・ヴァン・ザント氏の弟であるドニー・ヴァン・ザント氏を中心に結成された38スペシャル☆彼らの最大の特徴はツイン・ドラム&ツイン・ギターという大所帯のバンド編成だったことですね☆基本的にはサザン・ロックのテイスト感を重視しつつもキャッチーでメロディアスな音楽的方向性も持ち合わせていたことがロックファン以外からも支持され 80年代のロックシーンにおいて絶大な人気を誇るバンドとなりました。特に80年代に入ってからリリースされた3枚のアルバムは全てプラチナセールスとなり 中でも1982年の5thアルバム『Special Forces』はファンのあいだでも名盤とされております☆








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If you want to be healed/癒されたいとき
Drinking alcohol/お酒を飲みつつ
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80's Ballard masterpieces/80年代バラードの名曲
80's Rock masterpieces/80年代ロックの名曲
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70's Dance masterpieces/70年代ダンス系の名曲
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Pops & AOR more than of the 90s/90年代以上ポップスの名曲
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