QLOOKアクセス解析

未来に残したい洋楽&邦楽の名曲

70~80年代の洋楽&邦楽を中心に未来に残したい名曲&名盤を独自にチョイスするBlogです☆
未来に残したい洋楽&邦楽の名曲 TOP > スポンサー広告> 【 70年代未満 洋楽の名曲 】 > ロック・パンクの名曲 > 【ALOHA STAR MUSIC DIARY No.18】 幻想飛行 (Boston)- ボストン

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

【ALOHA STAR MUSIC DIARY No.18】 幻想飛行 (Boston)- ボストン

【ALOHA STAR MUSIC DIARY No.18】 幻想飛行 (Boston)- ボストン





ボクからマレンに電話をしたことなど 考えてみればほとんどない。

電話器が置いてあるのがキッチンに隣接したダイニングだから。
ということもある。

自分の話し声を両親に聞かれるのが とにかくすごく嫌なのだ。
だから彼女から電話があっても 大抵は「あぁ」とか「うん」程度の
素っ気ない返事しかしてない気がする。


たしか去年のクリスマスだったと思う。
本当久しぶりに ボクのほうからマレンに電話を掛けた。
すると最初 彼女のお母さんが出た。


「あらカミウ君 元気?いつもマレンをありがとね」

「いえ・・・こちらこそスイマセン」

「これからもマレンを宜しくお願いね」

「はい こちらこそ・・・どうも」

「ちょっと待ってね」

「あっ。はい」


たぶん小学校のとき以来だろうか。
それが彼女のお母さんとの久しぶりの会話だった。

そしてそれが一番最後の ボクと彼女のお母さんとの会話でもある。



1983年6月


すでに入院してから2週間くらいは経っているんだと思う。
相変わらずマレンのお母さんの容態は良くなっていないのだろうか。

マレンは南の窓際に座りながら ずっと雑誌を読んでいる。
たまに 部屋の北側の小さな通り窓のほうへと吹き抜けてゆく
南からの生ぬるい海風がカーテンを大きく膨らます。

そのたびに雑誌のページはいたずらにパラパラとめくられ
白いレースのカーテンの中に 彼女の体は半分くらい包まれていた。

ボクは床に寝転んだままアンプのボリュームを少し下げた。
さっきから聴いていたFM東京の「ポップスベストテン」がもうすぐ終わる。

外で蝉が大音量で鳴いていたことにようやく気付いく。


「何か飲む?」

ボクは彼女に尋ねた。

「う~んと。何かジュース飲みたいねぇ」

「炭酸系?それともオレンジとか?」

「オレンジっぽいのがいいかな」

「あぁ。まぁ とりあえずこっち来れば」


ボクは部屋の中央に置かれたソファのほうを指差してから1階へと降りた。

冷蔵庫には見たことのない輸入モノかなんかの缶ジュースがぎっしり詰まっていた。
ボクは何だか分からないまま数本取り出して部屋へと戻った。


「どれが何のジュースだか分かんないけど・・・」

ボクは適当に選んだ缶を彼女に全部預けてからレコード棚を覗き込む。

そして指先でLPの角を何枚かまとめて手前に傾けた。
ちょうどボストンのアルバムが並んで出てきたんで 数枚を棚から引き抜く。
一番上にあったのは彼らの1stアルバム『幻想飛行(Boston)』だった。


「これってなんだろぉ?」

彼女はお洒落なデザインの缶を選んでプルトップを押し込んだ。
ボクはLPジャケットを少し広げて ビニールごとレコード盤を取り出す。


「うゎっ!これってジュースじゃない!」

背中に彼女の叫び声を聞いて思わず振り返った。

彼女はすごく不味そうに顔をしかめながら手にしている缶をボクに向けていた。
それは見るからにオレンジジュースのデザインという感じではない。
そもそも何で彼女はそれを選んだんだ?

ボクもそれを一口飲んでみる。
おそらくはビールか何かだろう。


「たしかに・・・ジュースじゃないかも?」

「やだ!なんかすんごく口のなかが苦い」

「たぶん これなら大丈夫じゃん?」


ボクはリンゴっぽい絵が描かれた小さな缶を選んでマレンに手渡した。
そして彼女が選んだ見たこともない銘柄の輸入モノっぽいビールを口に咥えながら
プレーヤーのカバーを開きレコード盤を乗せた。

盤が少し汚れてたので レコードを乗せたまま何回転かさせながら
クリーナーで表面の埃を拭い そして端のほうの音溝へそっと針を落とした。


「カミュちゃんって ビール飲めるの?」

「まぁ 飲もうと思えば飲めるけどねぇ」

「やめなよ!美味しくないでしょ」

「そうねぇ・・・でも勿体無いからさ」


ボクにとってはウイスキーよりはまだマシな味だった。
でも決して美味いとは思わない。

スピーカーからは1曲目「More Than A Feeling」のアコギのイントロが流れ始めた。


「こっち飲めば!美味しいよ」

彼女は自分が飲んでいたリンゴの絵が描かれた缶をボクのほうへ差し出す。
ボクは床に両足を揃え ソファにもたれ掛かっている彼女と
ギリギリ触れ合う程度の距離を保ちながら隣に座り それを一口飲んだ。


そういえば・・・
彼女とは去年のクリスマス以来 キスもしていない。
なんだか久しぶりの間接キッスに ボクはちょっとだけ照れくさくなった。

ボクらはソファにもたれながら黙って並んで座っている。

きっとそれは小学校の頃から無意識に感じ続けてきた喜びの記憶なんだろう。
土曜の夏の午後には 何となくいつもと違って
どこかノスタルジックで幸せな時間が満ちているように感じられる。

ボクは何度かマレンにキスするタイミングを計ってみたんだが
どうにもきっかけが作れないままだ。

レコードのA面が終わる頃には
すっかりそんな気も失せてしまった。

南側の窓から吹き抜けてゆく涼しい海風が
ボクらを避けるようにして部屋の中をゆっくり通り抜けていった。

白いレースのカーテンは そこに彼女がいなくなったせいで
天井のほうまで大きく膨らみながら ゆったりとはためいていた。



1983年3月


「良くわかんないケド とりあえず作ったから」


春休みになったある日 ボクはマレンに1本のカセットテープを渡した。
ピアノの脇にカセットデッキを置いて、ボクがその場で歌ったのを録音したものだ。
もちろんマイクなんてないのだから音質なんか相当にヒドいまんまだった。

いざカセットデッキの録音ボタンを押すと普段は楽に弾けるのに、
緊張のせいか完璧な演奏は不可能だった。
ましてや演奏しながらホンキで歌うのがこんなに難しいものとは思わなかった。
何ヶ所かピアノをミスったケド、5回くらい録り直して一番マシなやつを選んだ。


「聴いてもいい?」


マレンは嬉しそうにカセットを取り出しウォークマンに挿入した。

ボクは彼女が再生ボタンを押してからの数秒間、
不安と恥ずかしさが入り混じった何とも言えない気持ちになっていた。

イントロが始まった頃に、彼女の顔からだんだんと笑みが消えていくのが分かった。

そしておそらく1番が終わった頃だろう。
彼女はまるで小さな花のつぼみが静かにほころぶように
そっと微笑みながらボクを大きな瞳で見つめた。

気恥ずかしさを隠すのに精一杯だったが
ボクも彼女に少しだけ微笑んでいた。


そして彼女はボクを置き去りにするかのようにして再び瞳を閉じる。


ようやく曲が最後まで終わったらしく 彼女はヘッドホンを外した。
「どうだった?」なんて とてもボクから聞く事など出来なかった。
ちゃんと告白するよりも ずっと恥ずかしい気分だった。


「これ パルが弾いたの?」

「うん・・・ちょっとミスったけど」

「スゴイよ!ピアノも弾けるんだ!スゴ~イ」


【いや。ピアノが弾けるというよりも この曲だけはちゃんと弾けるんだけどね。】



「もう一回聴いてもいい?」


マレンは またヘッドホンを耳にした。
彼女の顔からは やはりだんだんと笑みが消えていった。


「すんごくいい曲!ぜったい一生大事にするから」

「ありがとう パル!」

「まぁ良くわかんないけど・・・何となく」


【本当は何度も 何度も歌詞を書き直したんだけど。。。】


「これレコードにしたら絶対に売れるよ」

「まぁ。それはないだろ」

「絶対に売れるって!すごくいい曲だもん。」

「・・・これってパルの本心なの?」

ボクは一瞬 言葉に詰まった。


「それは・・・秘密!」

「なんでよぉ 本心なの?」

「だからぁ 内緒!」


これが本心かどうかは本当に分からなかったけど
ウソではないことだけは確かだ。

ボクは少し時間を置いてから言った。


「でもまぁ ウソ・・・じゃぁないよ。たぶん」


マレンは今までで一番嬉しそうな笑顔で
胸元のウォークマンをずっと大事そうに抱きしめていた。


そう。決してウソではない。
もしこれがボクの本心であるならば
変な言い方だけど 別にそれでもいいと本当に思っている。

マレン。。。キミはどうなんだろうか。
もしキミがボクと同じ気持ちだとするならば。

もし「アタシも同じだよ」と今 ボクに言ってくれたのならば
これが本心だと素直にキミに言えるような気がするんだけど。。。




幻想飛行 (Boston)- ボストン



 1 More Than A Feeling    
 2 Peace Of Mind    
 3 Foreplay/Long Time    
 4 Rock And Roll Band    
 5 Smokin'    
 6 Hitch A Ride    
 7 Something About You    
 8 Let Me Take You Home Tonight    

リリース 1976年11月|レーベル MCA

トム・ショルツ氏の一人バンドこと「ボストン」の記念すべき1stアルバム『幻想飛行 (Boston)』は1800万枚というメガ・セールスを記録したロックの名盤です☆これまでのハードロックとは一線を画したキャッチーなロックナンバーが並ぶこのアルバムは、80年代に大ブームを巻き起こすメロディアス・ロックの新たな時代を開く歴史的作品となりました。






ALOHA STAR MUSIC DIARY

Rakiの名盤紹介 洋楽アルバム編

Rakiの名盤紹介 邦楽アルバム編
関連記事
スポンサーサイト
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック:
この記事のトラックバック URL

Masterpiece of the Western music of the 70s/70年代洋楽の名曲
If you want to cry/泣きたいとき
If you want to be healed/癒されたいとき
Drinking alcohol/お酒を飲みつつ
While driving/ドライブしながら
If you want to Fever/血が騒ぐ
Masterpiece of the Western music of the 80s/80年代洋楽の名曲
80's Ballard masterpieces/80年代バラードの名曲
80's Rock masterpieces/80年代ロックの名曲
80's Pops & AOR masterpieces/80年代ポップスの名曲
70's Dance masterpieces/70年代ダンス系の名曲
Masterpiece of the Western music of less than 70s/70年代未満洋楽の名曲
Less than the 70's classic Ballad/70年代未満バラードの名曲
Less than the 70's classic Rock/70代未満ロックの名曲
Less than the 70's classic Pops & AOR/70代未満ポップスの名曲
Masterpiece of the Western music of more than 90s/90年代以上洋楽の名曲
Ballade more than of the 90s/90年代以上バラードの名曲
Rock more than of the 90s/90年代以上ロックの名曲
Pops & AOR more than of the 90s/90年代以上ポップスの名曲
90's Dance masterpieces/90年代ダンス系の名曲
Masterpiece of the Japanese music/未来に残したい日本の名曲
Dedicated to sweethearts/恋する二人に捧ぐ
Spend the night with sadness/悲しみと共に過ごす夜
Nostalgic feelings/ノスタルジックな想い
In the room which shines with the morning sun/朝日が差し込む部屋で
While looking at the setting sun in a hotel/夕陽が見えるホテルで
Memories of youth/若かりし日々の思い出
If you want to fuss/タテノリしたい気分なとき
If you want to feel the Rock/かなりRockな気分
Masterpieces of Instrumental/インストルメンタルな名曲
 
Profile

rakiworld21

Author:rakiworld21
Hai ☆I m Raki  (*^・ェ・)ノ ☆


Group / Duet 【 A ・ B ・ C 】
Group / Duet 【 D ・ E ・ F 】
Group / Duet 【 G ・ H ・ I 】
Group / Duet 【 J ・ K ・ L 】
Group / Duet 【 M ・ N ・ O 】
Group / Duet 【 P ・ Q ・ R 】
Group / Duet 【 S ・ T ・ U 】
Group / Duet 【 V ・ W ・ X 】
【 Artist V 】
Van Halen
Vapour Trails
The Velvet Underground
The Ventures
Virus

【 Artist W 】
The Wailers
Wang Chung
Was (Not Was)
Wishbone Ash
The Who

【 Artist X 】

Group / Duet 【 Y ・ Z 】
【 Artist Y 】
Y & T
Yazoo
Yes

【 Artist Z 】
ZZ Top



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。