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未来に残したい洋楽&邦楽の名曲

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【Re-Edit】 Still They Ride - Journey 【80年代バラード】

【Re-Edit】【80年代洋楽バラードの名曲】


Still They Ride






1983年9月13日(火)


思いのほか小さな極楽寺の駅舎が、暮れかかる夕陽の影に浮かんでる。――その様(さま)が、あまりに侘(わび)しく見えたので、ボクは少しだけ感傷的な気分になってしまった。――いや、この街の佇(たたず)まいそのものが、どことなく鎌倉の栄華なる面影を敢えて拒絶する潔い静けさに満ちているようにも思う。時代によってもたらされる利便性を良しとせず、時を止め、不自由さのなかに美徳を見出す精神的風土に包まれているような、――なんだかそんな気がしたんだ。

――きっと、もう時間が遅いせいもあるのだろうが、ひとつ手前の長谷駅で降りた十分の一ほども、この駅を降りる観光客の姿はなかった。そのほとんどが、おそらくこの地で暮らす人たちなのだろう。いずれにしたって、閑寂(かんじゃく)なこの街の裏路地を、大勢の観光客が行き交うほうが明らかに不自然なんだろう。

寺院の小さな山門は、江ノ電の線路のすぐ傍らに見えてるけれど、駅舎からダイレクトに極楽寺のある側へと出ることはできない。ボクたちは、いったん逆側の線路沿いを鎌倉方面へと少し戻る。

谷間を走る線路の上に渡された朱色の小さな橋の欄干からは、ちょうどトンネルを抜け出てくる江ノ電が絶好のアングルで望める。田代はなんとなく、その風景が気になっているようだった。――

「『極楽寺に行きたい』っていったのって誰だっけ?」

誰に、というわけでもなく、ひなびた小径(こみち)を歩きながらボクはそう訊く。

「あぁ、ワタシがいったの、『行ってみたい』って。――観光ガイド読んでてね、なんとなく静かでいいとこそうだったから」

ボクの少しうしろから、メイの声がした。
だんだんと西に傾く陽射しの色は、この極楽寺の茅葺きの山門を照らし出すにちょうどよい風味に、淡色の黄(き)いろみを帯びはじめてきている。程よく手入れが行き届いた細い参道を囲う草木の陰を踏みしめてボクらは静かに山門のほうへと歩んでいった。

「でもさぁ、あんまりお寺にいられる時間ないよ。……たぶんもう40分くらいしか」

ショウカが右隣からボクを見つめる。極楽寺は、どうやら閉門時間も早いみたいだ。

「まぁ、そんな大きな寺じゃないみたいだし、そんなに長居はしないでしょ」

ボクはそういいながら、山門脇のくぐり戸から境内へ入る。深々とした葉々の茂みに覆われたほかの寺院よりも、極楽寺は陽射しが眩しく感じられた。

中低木を中心に植樹され、桜のほかに、背の高い木がほとんど見受けられないひっそりと静まり返った境内のなかは、なんとなく雑多で、どことなく無造作にさまざまな草木が植樹されてるようにも思えるが、それはそれで、それなりにひとつの寂寞(せきばく)たる風情を醸(かも)し出していた。

本堂を参拝し終え、山門のほうへと戻る途中に置かれていた木製ベンチの休憩所でボクらは一息入れる。鉄の支柱が頭上の格子状ルーフを支え、その上に両側から伸びた木々の枝葉が木陰をつくり出していた。

「たしかに静かなお寺だねぇ」

そういってショウカは笑う。

「まぁ、嫌いじゃないけどね、こういう感じも」

木陰の枝葉をこぼれ落ちる光の行方を足元に見つめながら、ボクも少し笑う。

「でもさぁ、そもそも今回の鎌倉の課外授業って、来月行く修学旅行のための予行演習なんでしょ?」

ショウカがそういうと、静かにメイが唇を動かした。

「そうね、修学旅行で京都に行くときも、また同じような予定表を作らなきゃならないから」

「もしさぁ、またグループ分けするんならさぁ、今日と同じメンバーで行きたいよね? あと、可哀想だから、今度はマキコとかも入れてあげてさぁ」

と、またショウカが笑う。

「マキコ、本当に寂しがってたからね。別のグループになっちゃったこと」

そういって、メイも、うっすら口元を微笑ました。

(そういえば、本当ならば佐藤マキコも、最初のグループ分けのときは同じ班だったんだよな。結局、今回はマキコって誰と一緒のグループだったんだ?)




【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】




【2012.03.18 記事原文】

ジャーニー1981年発表のアルバム『エスケイプ』。


前作『ディパーチャー』の代表曲「Any Way You Want It」
あたりからのキャッチーな路線を因襲し、ハードロックと呼ぶには
難があるものの、まぁいわずもがなの名盤である。


この作品も、自分のおこずかいで最初のほうに買ったアルバム。


いまだにCM等で使用されている珠玉バラード「OPEN ARMS」も良いけど、
とりあえず当時A面?に入っていた「Still They Ride」を選んでみました。



当時聴いていた音楽を、こうして30年後に聞いてみると、
懐かしき中学時代の風景が、まるで先週の事だったかのように
浮かび上がってくるのである。



ちなみに…
ジャーニーは、ボクが初めて武道館コンサートに行った
記念すべきバンドでもある。

日本では、1983年発表の「セパレイト・ウェイズ」あたりから
彼らの認知度が増したものと思われます。






Still They Ride - EscapeStill They Ride - ジャーニー
7thアルバム『Escape』収録曲 1981年
アルバムお薦め度 「☆名盤です☆」



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