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未来に残したい洋楽&邦楽の名曲

70~80年代の洋楽&邦楽を中心に未来に残したい名曲&名盤を独自にチョイスするBlogです☆
未来に残したい洋楽&邦楽の名曲 TOP > 2013年08月

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【Re-Edit】 Xanadu - Olivia Newton John & ELO 【80年代ポップス】

【80年代洋楽ポップスの名曲】


Xanadu






1982年8月10日(火)

原宿はボクらにとって、なにもかもが想像以上の街だった。――

昼前、原宿駅に着いたボクらは、竹下通り口ではなく、どうやら明治神宮側の改札を出てしまったらしくって、そのまま渋谷のほうへと歩き出していた。けれど、国立競技場の手前まできて、ようやく道を間違えていたってことに気づくと、2人して笑って、ふたたび駅のほうへと引き返したんだ。

そうして、いったん駅前まで戻ってきたけれど、通りの向こう側の角にある雑貨屋のウインドウディスプレイに、マレンがすっかり興味を持ってしまったので、仕方なく歩道橋を渡って、まずはそのショップに立ち寄る。結局、店を出てすぐには竹下通りへと向かわずに、そのまま表参道を明治通りのほうまで歩いてみることにした。

いずれにしたってマレンは、物珍しかったり、可愛らしかったりするものを道すがらで目にするたびに必ず立ち止まってしまうものだから、ボクたちは何度となくハグれそうになる。もし、こんな街で彼女とハグれてしまったならば、絶対に彼女を見つけ出すことなんてできやしない。だからボクは、マレンの少しうしろを歩くことにしたんだ。――


やがてボクたちは表参道に面した古着屋に入る。当然ながら古着屋なんていう形態の店舗は、ボクらの地元界隈には一軒もない。今日、こうしてはじめて入ってみたのだけれど、ジーンズとかが本当に安くてビックリしたんだ。ボクが店の奥のほうで、大量にディスプレイされているジーンズをしばらく眺めていると、マレンは、チャイナドレスっぽい光沢のある服が気に入ったらしくって、ボクのほうへ何枚か手にしながら見せにきた。

「どれががいいかなぁ」

と、彼女が訊ねるので、ボクは迷わず赤いほうを指差す。どうやらマレン本人は、黒い服が欲しかったみたいで、鏡の前で何度も体に当てながら、あれこれ悩んでいたけれど、最終的には赤いほうの服を選んだんだ。ボクはその店でリーバイスの安いジーンズと、グレーっぽい太めのオーバーオールを買う。

その古着屋を出ると、ようやくボクらは念願の竹下通りへと向かった。――だけど、竹下通りの入り口で、そのあまりの人の多さに、おもわず2人で顔を見合わせる。
「竹下通りってさぁ、こんなに混んでるんだね」

マレンも、想像以上の混雑ぶりに、唖然(あぜん)としながらそうつぶやく。
「じゃあさぁ、またあとでこようか?」
ボクはそういってから、今回、絶対に行ってみたかった、ロックンローラーファッションの超有名店であるクリームソーダを、とりあえず探すことにした。ボクの学校でクリームソーダに行ったことのあるヤツから、なんとなく場所は聞いていたんだけれど、細い路地に入って、2人でどれだけ「ウロウロ」してみても、結局、それらしき店を見つけることはできなかった。

マレンは「誰かに聞こうよ」って、いってたけれど、ボクはなんだか少し恥ずかしかったんで、それを断ってしまう。そして、マレンが、前からずっと行きたがっていたキデイランドを目指すことにしたんだ。――

表参道に出てから、しばらく歩いていくと、すぐにキデイランドは見つかった。店内に入るなり、マレンは、その薄茶色の大きな瞳を瞬く間に輝かせていた。

キャラクター雑貨などを、いろいろと手にしながらあちらこちらと走りまわり、とにかく彼女は嬉しそうにハシャイでいた。ボクは、それから一時間以上、彼女のうしろを、ただひたすら連れまわされることになったんだ。

やがて、大量の雑貨を買い込んだマレンは、すっかり上機嫌になって、
「パル! キデイランドって、やっぱりスゴイ楽しいねぇ。ホントはもっと見たいけどさぁ、時間がなくなっちゃうから、――またいつかこようね」

そういってボクに笑いかけた。



【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】




【2012.03.22 記事原文】

中学生当時、メロディ重視のボクに最も感動を与えた名曲!
オリビア・ニュートン・ジョンの「ザナドゥー」です♪


確か、SoftbankのCMでカヴァーver.が使われてましたね。


しかし。。。30年以上他って、さっき初めてPV観たのだが。。。
いいですねぇ♪♪キレイな御方です!

正直、特別 歌が上手いって訳じゃぁないのにね。。。

非常にヒット曲が多いですわねぇ。。オリビアは!





Xanadu (In the Style of Xanadu - オリビア・ニュートン・ジョン
オリジナルサウンドトラック『Xanadu』 1980年



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Endless Blue Sky - Kevin Kern 【インストルメンタルな名曲】

【インストルメンタルな名曲】


Endless Blue Sky






1982年8月21日(土)

マレンは、その星空へ向かって言葉を解き放つ。
「こないださぁ、羽田空港でアタシ、『いつか無人島で暮らしたい』って、いったでしょ?もしいつか、無人島でパルと一緒に暮らしたんならさぁ。いつもこんな景色を、こうして見ながら2人で眠れるのかな?」

いつものボクだったら、きっと笑って答えをはぐらかすんだろう。けれど、ボクの口からは、不思議なくらい滑らかに、自然と素直な感情が言葉となって生み出されていったんだ。

「見れるんじゃねぇの、きっと、――でも、見れたらいいね。……いつか本当に」

マレンは一瞬黙り込み、そしてつぶやく。

「いまのってさぁ、もしかしてプロポーズ?」

ボクは、ちょっと照れ笑いを浮かべた。

「絶対にプロポーズだ! そうに違いない!」

マレンは、しつこく、そういってくる。

「いや、もしかしたら、いつかさぁ、海で遭難して無人島とかに漂着することだってあるだろうからね、そんときは、きっとそういう暮らしをするんだろうな、って」

ボクは、いつものようにはぐらかし、笑ってそういった。

砂浜に寝そべったまま、やがてマレンは、ボクの右腕の上で顔の向きを変える。ボクも少しだけ顔を傾けて、彼女のほうを見つめる。微笑む彼女のセーブルカラーの瞳には、夜空に輝く星たちの光が映し出されていた。――漂う沈黙を、ただ星明りだけが照らしている。

すると、マレンは、「あぁ!」と、大声を出し、

「パル、もしかしたらさぁ、いまキスしようとしたでしょ?」

と、いってボクの顔を見つめた。

「はぁ? 別にしてないけど」

ボクは、また空を見上げてつぶやく。

「嘘だぁ、絶対にキスしようとしてたよ。いま」

そういうと、マレンも空を見上げて笑った。

(っていうか、そういわれてからキスなんてできないよ。ボクらにとって、はじめての、――いや、ボクにとって、はじめてのキスなんだからさ)

空を見ながら無言になったボクたちは、互いの表情を確かめるように、また、しばらく見つめ合い、そしてふたたび夜空を見上げた。

帰り道、――

ボクらは大船駅で東海道線に乗り換えた。気づけばすでに夜の10時をまわっている。

「お母さんとかに怒られないかな?」

ボクは、ボックス席の隣に座るマレンの横顔に問いかける。

「う~ん、どうかなぁ、まぁ別に怒られてもいいけどね」

マレンは、そういって笑った。

夏休みも、残りあと一週間となった土曜日の車内には、この時間になっても、まだ多くの家族連れの姿が見られる。

マレンは少し眠たそうに大きな瞳を細めていた。

「起こしてあげるから、ちょっと寝れば?」

ボクがそういうと、マレンは首を小さく横に振った。そして、

「大丈夫だよ。さっき流れ星見てね、興奮し過ぎちゃったんで、少し疲れただけだからさ」

と、いって、マレンはボクのほうを振り向く。昨日までの彼女と、なんら変わらないように思えても、いまこうして目の前にいる彼女はすでに、もう15歳の少女になったんだ。

(マレンさぁ、さっき海で、『もし不良に絡まれたら守ってくれるでしょ?』って、聞いてたけどさぁ。そんなの守るに決まってるじゃん。よくわかんないけど、それができなきゃ彼氏じゃねぇだろ? どんなことがあったって、どんな理由があったってさぁ、好きな人を守れないヤツなんて、そんなの彼氏なわけねぇじゃんか。守るに決まってるじゃん。ボクはキミの彼氏なんだから――)

ボクはスウェットのポケットから、財布を取り出すと、小銭入れにしまっておいた小さな紙袋をそっと引き抜く。そして、マレンの膝の上に置いた。

マレンが、それに目を向けると、ボクは耳元でささやいた。

「ハッピーバースデー」

って。――

(――それに『アタシのこと好きでしょ?』とかって、訊いてたけどさぁ、『好き』って言葉はね、本当にいわなきゃいけないときにだけ、ちゃんと相手に伝えられればいいんだよ。ほかのヤツらは知らないけど、容易く挨拶代わりに『ポンポン』と、使うようなもんじゃないよ。もし、その言葉をいい慣れてしまったらね、いざというとき、その言葉のなかにホントの気持ちを込められなくなっちゃうだろ?)

マレンは、一瞬ボクのことを見つめてから、その小さな紙袋を手にした。

「開けてもいい?」

彼女の言葉に、ボクは黙って頷く。

いまのボクに、そんな大したものなんて買えるわけなどなかった。せいぜいLPが一枚買えるくらいの金額で、ずっとマレンの誕生日プレゼントを探してたんだ。こないだ、たまたま駅向こうのデパートを覗いたとき、ボクは偶然、『ソレ』を見つけた。金額的にも手頃だったんだけど、なによりボクがマレンに抱いている彼女のイメージに、『ソレ』が、ぴったりと当てはまったんだ

マレンは、紙袋を逆さにして、左の掌の上に中身を軽く振るって落とす。

やがて彼女の掌には、あめ色のアンバー(琥珀)のなかに、金色に輝く小さい星粒のような気泡が無数に閉じ込められているイアリングが滑り落ちてきた。

「うわぁ、可愛い!」

マレンは、おもわず大声を出し、早速、そのイヤリングを両方の耳たぶにはめた。

そして、ボクを見つめながら、

「ありがとう! パル、すごく可愛いよ。どう? 似合ってるでしょ?」

そういって、両耳にかかる髪の毛を、指先で持ち上げながら、それをボクのほうへ自慢げに見せた。

(――だから『好き』って言葉はね、別にもったいぶってるわけじゃないけど、ボクのすべての想いを、いつか絶対、キミにいわなきゃならないときまで取って置きたいと思ってるんだ。マレンのことは好きだよ。『そんなの好きに決まってるじゃん』なんてさぁ、すぐいえるよ。だけど、『どれくらい好きか?』ってことは、まだボクにもよくわかんないんだ)

「いやぁホントはね、川澄も、もう15歳になるんだから、もうちょっと大人っぽい、指輪とかペンダントとかってのも考えたんだけどさぁ、まぁ、あんまり安物買っても仕方ないしね、そのイヤリングも、そんなに高くないんだけど、……オレね、川澄と付き合うようになってから、ずっと感じてたことがあるんだ。そのイヤリングを見たとき、すごく、その川澄のイメージに、ぴったりマッチしたんだよ」

ボクがそういうと、マレンはじっとボクを見つめて、

「アタシのイメージ? えっ? パルは、アタシのこと、どんなふうに思ってたの?」

と、ボクの左肩に顔を寄せるようにして訊いてきた。

「川澄ってさぁ、いつだって、ふと気づくと夕焼けの色に照らされてて、それからね、――」

そういって、隣に座るマレンの大きな瞳を見つめると、ボクは少しだけ彼女のほうへ顔を寄せ、イヤリングをつけている右耳の近くで、そっとささやいた。

「いつだって、その瞳のなかに、輝く星の色を映(うつ)してるんだよ」

(――もしボクが、ちゃんとそのことに気づいたときにはね、――そう、たとえば夕暮れに染まる無人島の砂浜に2人寄り添い合ってね、星空を見上げて暮らしていきながら、もしボクが、マレンに対して『好き』って言葉を口にしてたんならさぁ。キミは笑って、その言葉をずっと信じ続けてくれればいいんだよ。―― ボクはきっと、キミの瞳のなかに映るその星空の色を見つめながら、繰り返しその言葉をいい続けていくはずだから。そう、――ずっと、一生ね。……)


【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】






Endless Blue Sky - ケヴィン・カーン
アルバム『Endless Blue Sky』 2009年

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Bittersweet - Kevin Kern 【インストルメンタルな名曲】

【インストルメンタルな名曲】


Bittersweet






1982年8月21日(土)


しばらくボクたちは、2人で夜の砂浜を歩いた。青みがかった漆黒の夜空には、つつましいほどに、か細い三日月が儚(はかな)げに浮かんでいる。その月灯りは、あまりに弱々しかったけど、眩(まばゆ)いほどの輝きを水面に反射させている星明りが、ボクらの足元の砂浜を、うっすら照らし出していた。街からのほんの僅かな窓明かりさえ、ここの場所には届かない。この静かな海辺の暗がりを歩きながら、知らずに2人は言葉を失ってゆく。

「このへんでいいかな?」

ボクは適当な場所で足を止め、柔らかな砂浜に腰を降ろした。マレンはなにもいわずボクの右隣に座り込む。この場所からのほうが、さっきまでいた砂浜よりも、星空がより一層キレイに輝いて見えた。

「やっぱ、こっちにきてよかったでしょ?」

そういって、ボクは両手の指を、あたまのうしろで組みながら砂浜の上に寝転がる。――まったく波の音が聞こえないほどに、星の明りを映し出す夜の海は、あまりにも静かだった。


すると、ボクの右腕を、マレンがふいに引っ張った。そしてその腕を真横にまっすぐ伸ばさせると、彼女は少しはにかんで、寄り添うように、しなやかなその黒髪を、ボクの右の肩口へと乗せてきた。マレンの小さな横顔が、ボクのすぐそばにある。しばらくは2人して砂浜に仰向けになったまま、なにもいわずに輝く星の光を全身へと浴び続けていた。

「――いま、ちょうどオレらの真上くらいのとこで光ってる星。ちょっと青白いヤツ、わかる?」

空を見上げながら、ボクがそうつぶやく。

「えっ? どれかなぁ?」

マレンが、そう訊ねてくると、ボクは右腕にマレンのあたまを乗せたまま、ひじから先を空へと向けて、人差し指で指差した。

「あのあたりだよ」

「えぇ、どこ? ――あぁ、ほかよりもちょっと明るい感じの星?」

マレンはボクの右頬のすぐそばで、嬉しそうに言葉を夜風に揺るがせる。

「そう、あれが夏の夜空で一番明るい『こと座のベガ』。つまり、七夕のおりひめ星だよ。」

「えぇっ! そうなの?」

マレンはボクの耳元で大きな歓声を上げる。

「そこからずっと下のほうへいってさぁ、白っぽく光ってる星がね、『わし座のアルタイル』。
つまりは彦星」

「えぇっ! おりひめと彦星って、人じゃなくて星だったんだ」

と、マレンはおかしな質問をしてきた。

「まぁ、……そうなのかな? でね、あの真ん中のべガから、ずっと左下のほうへ行ったとこにある、これも、ちょっと白っぽく輝いてるのがね、『はくちょう座のデネブ』。これは、……まぁ七夕の星とはあまり関係ないけどさ。でもコイツは七夕の2つの星よりも遥か遠くの彼方にあって、しかも100倍くらいデカい星なんだよ。この3つの星がね、いわゆる『夏の大三角』ってヤツなんですよ」

「へぇ~っ! パルって星に詳しいんだね?」

マレンは、そういってボクの横顔を見つめた。

「まぁ、小学校のときは、星の本ばっか読んでたからさぁ」

ボクらは、またしばらくなにもいわずに、砂浜に並んで寝転がりながら星空を見上げ続けた。

そのとき、――ベガのずっと右端のほうを、なにか白い閃光が横切った気がしたんだ。ボクはおもわずつぶやく。

「いまさぁ、――」

「うん、……流れたよね。なにか白い線が、絶対、いま見えたよね、――」

マレンの声は微かに震えていた。気づくと彼女の右手が、ボクのTシャツを掴んでいた。

「でも、あの速さで消えていっちまったら、3つもお願いをするのなんて絶対無理だな」

「また、流れ星、見れるかな?」

マレンは声を震わせたまま、そうつぶやく。

「たぶん、ひとつ見えれば、きっとまた、――」

――ボクには、はっきりと見えたんだ。その星の光は、つま先の向う側に揺らめく波の上をまっすぐしなやかに飛んでいき、白くて長い光の尾を引き連れながら濃蒼の闇色のなかへと溶け入り消えた。

「パル、……見えたよ、見たでしょ?」

マレンは薄っすら涙を流しながら、そういって笑った。

「うん、……見えたよ」

「すごい! 流れ星が本当に見れたんだよ。すごいよ! パル、――」

「オレも、はじめて見た、……こんなにはっきりと、空を飛んでる流れ星を」

ボクたちは、砂浜に仰向けになったまま歓喜の声を静かに空へとそよがせていた。

「また見えると思う?」

と、マレンは問いかけてくる。ボクは少し彼女のほうへ顔を傾け、そして静かに答えた。

「きっと、……見えるよ」

ボクの胸のあたりでTシャツを掴んだままのマレンの右手を、ボクは砂の付いた左手で「ギュッ」と、上から強く握り締めていた。マレンは乗せられたその左掌に、そっと指を絡ませてきた。2人は指先を強く握り合い、ずっと星空を眺めていた。



【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】







Bittersweet - ケヴィン・カーン
アルバム『In My Life』 1999年

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Emerald Legacy - Kevin Kern 【インストルメンタルな名曲】

【インストルメンタルな名曲】


Emerald Legacy






1982年8月21日(土)

薄墨色(うすずみいろ)のシルエットを、琥珀(こはく)に染まる湘南の海に浮かべた江ノ島の向こう側で、ぼんやりと滲(にじ)む富士山の輪郭が、纏(まつ)わる夕雲たちの影と溶け合う。


南から吹く風が真夏の気温を押し止め、もう間もなく夕暮れを迎えつつある葉山の海の砂浜に、しみつくように残された微かな太陽の余熱は、一向に冷める気配が感じられない。

「ずいぶん江ノ島が遠くに見えるんだねぇ」

穏やかに微笑む両頬を、まどろむ夕暮れの残照に染められて、そうつぶやいた川澄マレンは、薄いピンクのワンピースの裾を、暖かな南風の行方に、さっきからずっと任せっきりだ。


彼女がいう「ハニーの日」――つまりは今日、8月21日、ボクより5ヶ月ほど早く、マレンは15歳の誕生日を迎えた。

こないだ羽田空港から帰ってくる電車のなかで、ボクは彼女に訊ねた。
「誕生日プレゼントに、なにが欲しい」って。――

きっと答えはすでに、ずっと前から決まっていたんだろう。マレンは大きな薄茶色の瞳でボクを見つめ、さして思案もせずに、こう答えたんだ。

「アタシねぇ。パルと一緒に流れ星が見たいなぁ」

って。

『流れ星』――

それを見ることは、ボクにとっても、ずっと子供の頃からの憧れだった。

【流れ星に、三回お願いをすると、その願いが叶う】

そんな母親の言葉に、幼いボクの心は無性にときめいていた。

いつだったろうか。
イトコの兄貴が買ってもらった望遠鏡で、兄貴の部屋のベランダから土星の環をはじめて見たとき、ボクは宇宙というものの広さを改めて思い知った。あのときの感動はいまだに忘れられない。それ以来、ボクは星空に興味を抱くようになっていったんだ。――


かつて、あまりに壮大な浪漫を、その煌(きら)めく星空に感じながら、ずっと流れ星を捜し求めていたあの頃の好奇の名残りが、いまでも夜になると、ふとベッドから見上げる夜空の先に、それを探そうとする癖として、ボクのなかには、ほのかな懐かしさとともに残されている。しかし、この街で流れ星を見たことは、これまで一度もなかった。

「街の灯りが眩(まぶ)し過ぎるから、――」

たしか両親のどちらかが、そういって幼いボクのことを慰めた。だけど、マレンに流れ星の話をされて、こないだふと思い出したことがある。その人が、果たしてボクのイトコかハトコなのかはよくわからなかったけれど、かつて葉山で一人暮らしをしていたおばさんから聞いた話を。――

「このあたりは、湘南のなかでも空気が澄んでて、ものすごく星もキレイに見える」

そのおばさんは、そんなことを話し始め、そして、最後にこういったんだ。

「夜中になるとね、流れ星もこの部屋の窓から、たまに見えるんだよ」って、――

ボクは、そのおばさんの言葉を信じた。そして、マレンと一緒に夕方、逗子駅からバスに乗り込むと、西日に染まる葉山の海岸沿いの車窓をずっと眺め続け、一番静かそうな浜辺を探した。そして、ついさっき、2人ともが同時に気に入った風景を見つけ、そのひとつ先のバス停で降りたんだ。

背の高い漆喰(しっくい)の外塀で、両側を囲まれている、細くて趣(おもむ)きのある小径(こみち)のアスファルト一面に敷き詰められた、茜色に染まる夕陽のカーペットの上を歩いていくと、やがてコバルトカラーの下地に、燈色と黄金色の水彩絵の具を滲(にじ)ますように、「キラキラ」と揺らめく静かな葉山の海が、ボクらの視界一面に広がっていった。


マレンは海岸に出ると、平らそうな場所を見つけ、両足を伸ばしたままで砂浜に座り込んだ。
「結局さぁ、今年も天の川を見れなかったねぇ。なんか最近、七夕の日って、ずっと天気悪いんだよね」
だんだん琥珀色に移ろいゆく水面(みなも)を、無数に泳ぐ波の影。――一日で、もっとも美しく、優美に輝く海原を見つめ、マレンがそうつぶやく。いわれてみれば、たしかに今年の7月7日も雨だったんだな。

やがて深い濃蒼に色づく薄暮の空には、粉砂糖を振り撒(ま)くように、白々と煌(きらめ)く星粒たちが無限に散りばめられていく。その星空を見ただけで、マレンはおもわず歓喜の声を上げた。たしかにボクらの街で見るよりも、遥かに多くの星々が、葉山の真夏の夜空には輝いていたんだ。

「うわぁ、すごいねぇ。アタシたちの街と、そんなに離れてないのにさぁ、こんなに星の数が違うんだねぇ」

夜空を見上げるマレンの長い黒髪が暖かな南風にそよぐ。

「アタシね、星座とかって、全然知らないからさぁ。こんだけ星があると、もう、どれがどれだかさっぱりわからないよ」

マレンは大きな瞳を空へと向けて、そういって笑う。

「夏の星座ってね。あまり見つけやすいものがないんだよ。っていうか、さそり座くらいしか有名な星座なんてないかもね」

ボクも同じ空を見上げた。

「アタシさぁ、もうちょっとあとに生まれてれば、『おとめ座』だったのになぁ、『しし座』ってね。なんかイヤだ」

と、マレンは少しふてくされる。

「いいじゃん。ハニー(8月21日)なんだからさぁ。ハニワ(8月28日)とかよりも全然可愛いしねぇ」
と、ボクはマレンの横顔に笑いかけた。

南風に長い黒髪を、ずっとそよがせ続けるマレンは、やがて両ひざを胸元へ引き寄せながら、静かにつぶやく。

「アタシ、……もう来年には結婚できるんだよ。信じられる? なんかついこないだ、小学校を卒業したばかりって感じなのにさぁ」

(結婚? マレンは、もう来年、結婚できるのか?)

ボクにはその言葉の響きに、まったく実感が湧かなかった。たしかに、まだボクたちは、小学校を卒業してから、たかだか2年半くらいしか経っていないのだ。

「パルは、――アタシのこと好きでしょ?」

マレンは、嬉しそうに微笑むと、ボクの横顔に問いかける。

「はぁ? まぁ、……ねぇ」

ボクが答えを濁すと、マレンは、いつものように少しだけ頬を膨らませた。

「『まぁねぇ』ってなによ! 好きでしょ?」

「あのね、そういうのってさぁ、強制的にいわせるもんじゃねぇんじゃないの?」

と、ボクは笑って誤魔化した。

気づけば向うの砂浜で、手にした花火を女の子のほうへ向けたりしながら、大学生らしき男女4人組が騒ぎ始めている。嬉しそうにハシャぐ彼らの姿を眺めていたマレンが、ボクの横顔にふたたび訊ねてきた。

「じゃぁさぁ。もし変な不良とかがね、いま絡んできたらさぁ、パルはアタシのこと守ってくれる?」

ボクは、茜色に染まるマレンの顔ではなく、琥珀色した海のほうを見つめていった。

「それもさぁ。いま訊くもんじゃねぇな」

「なんでよぉ。守ってくれるでしょ? アタシのこと」


大学生たちが打ち上げ花火を夜空へ向かって次々と点火させていく。女の子たちの甲高い笑い声と、上空へと舞い上がる花火の打ち上げ音が、すっかり暗くなった葉山の海岸に響き渡る。

「なんかうるせぇし、あんな明るくされたんじゃ、せっかくの星空がよく見えないね」

ボクはスウェットを二、三度叩きながら、砂粒を払って立ち上がると、マレンの顔の前に右掌を差し出す。

「もっと、あっちの暗いほうへ行こうよ」

そういったあと、なんか変な意味に取られてないか、ちょっと心配になったけど、マレンは躊躇(ためら)いもなく、ボクのその掌を、白い指先で握り締めたんだ。――


【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】







Emerald Legacy - ケヴィン・カーン
アルバム『In My Life』 1999年

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【Re-Edit】 Soleado - Daniel Sentacruz Ensemble 【インストルメンタな名曲 】

【Re-Edit】【70年代インストルメンタルな名曲】


Soleado






1983年10月30日(日)

小山ミチコは、海に向かって小さな声で語り始めた。

「小学校4年のときにね。ずっと欲しかった自転車を誕生日に両親から買ってもらったの。そのときワタシ、本当に嬉しくてね、ライトをつけながら夜遅くなるまで、毎日家の前で、ずっとその自転車に乗り続けてた」

少しだけ深呼吸をして、ミチコは続ける。

「それから一週間くらいしてからね、庭に置いてあったはずのその自転車がなくなっちゃってたの。ワタシ、どうしても諦められなくて、学校から帰ってきてから、毎日いろんな所を捜したんだけど、……でも、どうしても見つからなかった」

そうつぶやいたミチコの下瞼に、ふたたび薄っすらと涙が浮かび上がる。

「――それから数日して、小学校の裏庭でね、ワタシの自転車が見つかったんだけど、ハンドルも折れて、タイヤのなかにいっぱいある金属の棒とかも全部曲がっちゃっててね、それから座るイスも、なくなってた。……その日の放課後、担任の先生から職員室に呼ばれてね、『自転車のうしろに名前が書いてあったので持ち主がわかった』、って、先生はそういってた。そしていきなり、ワタシに訊いてきたの。『本当は、小山があそこに自転車を置いて帰ったんだろ?』って、……『きっと、自転車に乗ってるときに自分で壊しちゃったんだろうけど、そのことを両親にいうのが怖くなって、学校に置いていったんだろ?』ってね、そうワタシにいったの」

大粒の涙が、手すりの上へとこぼれ落ちてゆく。

「しばらくしてから、職員室にお母さんがきてね、ワタシ、……そのとき、お母さんに助けてもらおうと思ってた。だから、おもわずお母さんにね、『ワタシがやったんじゃない!』って叫びながらしがみついたの。……でもね、お母さんはワタシの顔を、しばらくじっと見つめると、無言のままで、おもいっきりワタシの頬を叩いた。――それからね、『自分で壊したくせに、盗まれたなんてお母さんにまで嘘ついて、恥ずかしいと思わないの? 早く先生に謝りなさい!』って、怒りながらそういったの。ワタシね、それ以上、お母さんにはなにもいえなかった。なにもいえずに泣きながら、ただ先生に謝ってた。そのとき、誰がやったのか、なんとなくワタシにはわかってた。――だって、いつも教室で男子生徒からいわれてるのと同じような悪口がね、自転車のカバーとかにマジックで書かれてたから」

そういうと、細い両手の指先で小さな顔を覆い包んで、ミチコは泣き始めた。ボクはただ、ミチコの指先を伝う涙の行方を見つめるしかなかった。

「本当にワタシがやったんじゃないのに、……あんなに大切にしていた自転車をワタシが自分で壊すわけなんてないのに、……誰もワタシのいうことなんて、――」

「――わかってるよ」

彼女が震わすその涙声に、ボクは言葉を重ねた。

ミチコは、一瞬「ハッ」となって、その指のあいだからボクを見つめる。

「小山さんがさぁ、嘘をつくような人じゃないことなんて、そんな話を聞く前からオレにはわかってるよ。……と、偉そうにいっても、まぁ、オレ自身、こうしてまともにキミと話すのって、今日がはじめてなんだけどね。でも、もし、いままでキミのことを信じてくれるヤツが、本当にひとりもいなかったんだとしてもね、――」

ボクはミチコの肩に軽く触れた。そして、そっとつぶやく。

「オレは信じられるよ、今日、はじめて小山さんのことを知ったんだとしても、オレは小山さんのことを信じる。……それから、その日のキミの言葉も、ね」

ミチコはうつむいたまま涙を拭い、やがて、ほんの少しだけ口元を微笑ませると、ボクを見つめて海風へ静かに言葉を溶かしていく。

「――ワタシね、ずっと誰かにその想いを伝えたくって、……『あの日、自転車を壊したのは本当にワタシじゃない』って、ずっとね、そのことを、ずっと誰かに信じて欲しかったの。……でも結局、誰もいなかった。小学校のときも、中学に入ってからもね、ワタシの話を聞いてくれる人なんて、いままで誰もいなかったの、――」

しばらくすると、デッキへと続く階段を幼稚園児くらいの子供たちが、先生に引率されながら上がってくるのが見えた。ボクは話題を変えようとし、ミチコのほうを振り返った。
――そのとき、ボクは本当に驚いたんだ。

小さなその子たちを見つめるミチコの微笑みが、あまりにも清らかだったからだ。まるでルネサンス絵画で描かれているマリアのように、その微笑は心から湧き上がる純真さに満ち溢れていた。
子供たちがデッキの通路を一列になってボクらのほうへと歩いてくる。ミチコは、優しい笑顔を彼らに注ぎながらつぶやいた。
「――ずっとね。保育園の先生になりたかったの。ワタシ、ひとりっ子だったんだけど、妹が欲しくって。だから余計にそう思うのかもしれないけど、小さい子供がね……むかしからすごく好きだった」
やがて子供たちがボクらの前を通り過ぎようとしたとき、ひとりの女の子がミチコの顔を見上げながら、

「お姉ちゃん、泣いてるの?」

いきなりそういうと、
「これあげる」
と、キャンディーを差し出した。
「えっ、ワタシにくれるの? ありがとう」

ミチコは嬉しそうにキャンディーを受け取り、その女の子のことを見つめた。すると、うしろの列にいた子供たちも、みんなミチコにいろいろと話しかけ始めたんだ。ミチコは彼らと目線を合わせるようにかがみ込み、手をつないだりあたまを撫でたりしていた。子供たちも彼女の背中にしがみついたり指先を握ったりしていた。
そこにはもう、いままで教室でひたすらイジメに耐え続けていた彼女の姿などは微塵も存在していなかった。ボクはなにもいわずに、そんな彼女の横顔を眺めていた。――

するとミチコのつぶらな瞳の奥に留めていたはず涙が、そっと一粒こぼれ落ちた。そしてもう一粒、――ミチコは、おもむろに立ち上がると、手すりに顔を押し付けるようにし、小刻みに肩を震わせ始めた。揺れ動く彼女の細い背中を見つめ、子供たちはキョトンとしたまま、やがて申し訳なさそうに手を振りながら去って行った。
手すりに額を押しつけながら、ミチコは小さな声でつぶやく。
「ダメだね。子供たちの前で泣いちゃうなんて、……こんなんじゃ、やっぱりワタシ、保育園の先生になんて――」

「――大丈夫だよ」
ボクはその言葉を遮る。

「きっとキミならば、素敵な保育園の先生になれると思う。だからさぁ、もっと自信を持ちなよ。キミはもっと笑ったほうがいいよ。笑ってるほうがさぁ、全然いいと思う」
ミチコは、泣き顔のままボクの瞳を見つめる。ボクは、静かにつぶやく。

「だって、あれだけキレイな笑顔を見せられるんだからさ。勿体ないよ。もっと笑わなきゃ」

ミチコはボクを見つめながら、ほんの少しだけ、さっきの清らかな微笑みを口元に浮かべた。――




【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】


【2012.04.03 記事原文】


Soleado
↑ 別Ver.

本日は、インストルメンタル系の名曲を少々ご紹介しましょう♪
まずは、某バラエティ番組のエンディングでカヴァー?され、
その美しいメロディが幼いボクの心を奪った
ダニエル・センタクルツ・アンサンブルの「Soleado」です♪


確か、このアルバムは家にあったはずだが、
ここでリンクしてるver.はカヴァーものですね。

まぁ、いくつかのカヴァーver.があるみたいですが・・・
オリジナルも含めて、好きなものをお探しください。

ちなみに。。。
ダニエル・センタクルツ・アンサンブル関係は、
どうやらCD化はされてないようです。
yOUTubeで落とすしかないようっすねぇ。



Soleado - ダニエル・センタクルツ・アンサンブル
『Soleado(哀しみのソレアード)』1974年
関連記事

風がはこんできたもの - 辻井伸行 【インストルメンタルな名曲】

【インストルメンタルな名曲】


風がはこんできたもの






1983年9月20日(火)


小雨がやんだ薄曇りの放課後、――
校門を出ると倉田ユカリが車椅子に座ったまま、松並木の枝々を覆う細長い針葉の先をひとりで見上げていた。

「あれ? 倉田さん、今日って、李さんは一緒じゃないんだ?」
と、おもわずボクが、そう声をかける。

「あぁ、メイは今日、クラスの友達と遊ぶみたいなんですよ」
ユカリはそう答え、ボクを見つめると、少し躊躇(ためらい)いながら、
「あのシーナ君、……もしよければ一緒に帰ってもいいですか?」
と、いって微笑んだ。

「ああぁ、全然いいよ」
「迷惑とかじゃないですかね?」
と、ユカリは変に気を使いながら、そういう。

「なんでさぁ。別に迷惑じゃないよ」
ボクが笑うと、

「ありがとう――」
と、ユカリは微笑んだまま、お礼をいったんだ。

こないだはじめてメイの家に行ったときもそうだった。玄関でユカリを車椅子から降ろそうと、ボクが彼女を抱きかかえたとき、「ありがとう、……ゴメンね」と、彼女はいっていた。

別に誤る必要もなければ、お礼なんていう必要もないことなのに。――

ボクは、ユカリの車椅子を押しながら松並木の道を歩く。茶色く枯れ落ちた松葉の上を車輪が踏みしめていく。雨上がりにそよぐ涼風の余韻に、甘ったるいサンオイルの匂いがまったく感じられなくなったことに気づくと、ボクは夏の終わりを少しだけ実感した。

「こないだはゴメンなさい。なんかちょっと、私もなにいってるのか、だんだんわからなくなっちゃって、……」
視界に広がる松並木の通りのほうへ、そう小さくささやいたユカリの表情は、うしろにいるボクからは見えなかった。けれど彼女のつぶらな瞳が微笑んでいないということは、そのあえかな語尾の響きから伝わってくる。

「え? あぁ『李さんとバンドをやれ』って話ね。でも、実際にバンドやるとなったら、メンバーとかも集めなきゃならないしさ」
と、ボクは、少し笑っていった。

「私、あのとき本当に感動したんですよ。シーナ君があんな簡単そうにピアノが弾けちゃったことに。それに、ものすごくいい曲だったし、……メイは、むかしからピアノが上手だったから彼女がうまくても驚かないし、別に感動もしなかったんですけどね」

と、いったユカリの言葉の語尾に、少しだけ笑みが戻ったような気がした。

やがて彼女は、薄曇りの空に向かって言葉を続けた。
「私、子供の頃、お母さんに『ピアノ買って欲しい』って、ずっとお願いしてたの。お願いっていっても、泣きながら『ワーワー』と、駄々をこねてただけなんですけどね。でもその頃って、ウチもまだアパートだったし、それに『私の指もうまく動かないから』っていわれてね」
ボクには、なにもいえなかった。簡単に相槌(あいづち)を打てるような気がしなかったからだ。
ユカリは、言葉を続ける。

「結局、その代わりにレコードは一杯買ってもらったんです。ピアノは小学校の3年になって、メイと仲良くなってから彼女の家で弾かせてもらったりできたから。でもメイに教えてもらっても、やっぱりうまく指が曲がらなくって、……」
ユカリの言葉を黙って聞きながら、こないだメイの家で、

【子供の頃、車椅子のスポークに指を挟んじゃったみたいで、そのとき右手の人差し指と中指を複雑骨折しちゃったんです】
そういってボクに見せていたユカリの、少しだけ曲がった細い指先を思い出した。

「メイはね、……」
そういうと、ようやくユカリは車椅子からボクのほうを振り返った。

「メイは、むかしからスゴク優しかったんです。だから彼女は本当にやりたいと思ってることを、いつだって自分から諦めてきたように思えるんです。――ホントは小学校5年のときに、好きな男の子がメイにはいたんですよ。でね、バレンタインにチョコを渡そうかどうかずっと悩んでたんですけど、友達のなかにその男の子を好きだった子がいるとわかったらね、それから、ひと言もその男の子と話したりしなくなっちゃったんです」
(まぁ、なんとなくわかる気もするな)

ボクは、微笑んだまま、車椅子をゆっくりと押して歩く。

さらにユカリは続けた。
「私、メイには幸せになって欲しいって思ってるの。彼女自身が『楽しい』って、自分でちゃんと思えることをやって欲しいんです。私ができないことも彼女になら、なんだってできるんだから。……シーナ君と『バンドをやったら』っていったのも、2人ともすごくピアノが上手かったから、というのもあるけど、……ホントはね、メイがシーナ君と一緒にいれる時間が作れると思ったからなんです」

ボクは、ユカリに笑いかけながらいった。
「あのさぁ。こないだも聞いたけど、李さんってホントにオレのこと好きとかっていってるの? 普段、教室では、ほとんどそんな感じしないんだけど」

「それはね、……」
ユカリは厚く覆われた雲を見上げた。やがて、ふたたびボクのほうを振り向くと、
「佐藤さんが、シーナ君のことを、むかしから好きだってこと知ってるから。だからメイは絶対に自分からホントの気持ちなんかいわないと思います。私が聞いてもそう。いつも『マキコがシーナ君のこと好きだから』ばっかりしかいわないんですよ」

と、ユカリは少しだけ真顔になり、そういった。
(メイはマキコに気を使ってる、……のか)

「シーナ君は、メイのこと、どう思ってるんですか?」
と、ユカリは真剣な表情のままでボクに訊ねる。

「え? 李さんのこと?」
ボクは不意を突かれた。すごく彼女のことが気になっているのはたしかだ。でもマレンのことも、まだ完全に忘れたわけじゃない。突然、心のなかでマレンが微笑み出すと、胸が張り裂けそうになるくらい彼女のことばかり思い出してしまう。

「メイのこと、キライじゃないですよね?」
と、ユカリは訊き方を変える。

「キライじゃないよ。というより、まだよく知らないし」
と、ボクは答えた。

「だから一緒にバンドをね、やれば、きっとメイも変な遠慮をしないでシーナ君と普通に話ができると思うんですよ。私はもう、恋愛とかは諦めちゃうんですけどね。メイには簡単に諦めて欲しくないんです」と、ユカリは少し寂しげに笑った。

「倉田さんだって、別に諦める必要なんかないでしょ」
ボクは、メイのことには答えず、ユカリのほうの話を広げた。

「いいんです。私のことよりも、とにかくまずは先に、メイが幸せになって欲しいの。私のことはそのあとでも全然いいんですよ。それに、もしいつかステージでメイが演奏してくれたのなら、彼女が私の代わりに夢を叶えてくれることにもなるんだから」
と、いってユカリはボクを見つめると、『クスッ』と微笑みながら、さらに続けた。

「私たち、まだ知り合ってから2回目ですよね。こうして話しをするのって」
「えっ? まぁそうだね。」
と、ボクも少しだけつられて笑う。

「やっぱりメイのいってたとおりだ。シーナ君ってきっと優しいんですね。『いつも自分のことよりも、誰かのことを考えてるみたいな人』って、こないだね。メイがそういってたんです。私もね。なんとなくそうなんだろうなぁって思います。きっとシーナ君もメイもすごく似てるんだろうなって思うの」

と、ユカリは小さな口元に笑みを湛(たた)えながらいった。

「ん? オレって優しいのかね?」
そうボクが、自分自身に問いかけるようにつぶやくと、ユカリはつぶらな瞳でボクを見つめながら静かにいった。

「自分で『優しい』なんて思ってる人は偽善者ですよ。ホントに優しい人はね。きっと自分のその優しさに、まだ全然気づいていない人。――」

風向きは絶えず変わり続け、雨香たゆたう涼風に、ユカリの黒髪が、時折もてあそばれている。この街に、より深く秋の気配が訪れるのは、もう少し先のことだろう。けれど蝉たちの鳴き声が、もう二度と、今年はこの松並木からは聞こえてこないんだろうなってことくらいなら、ボクにもなんとなくわかっていた。


【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】






風がはこんできたもの - 辻井伸行 
アルバム『神様のカルテ』 2011年


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【RE-edit】 春の野を行く - 村松健 【インストルメンタルな名曲】

【RE-edit】 【インストルメンタルな名曲】

春の野を行く







1983年9月6日(火)

中学3年になってから、ずっとなんとなく気にはなっていたんだ。

窓際のほうの席に座って、静かに海を見つめている少女のことを、――

クラスメイトになってから、すでに数ヶ月が経つというのに、ボクはいまだに教室で一度も彼女と話したことがない。羽衣のように透明で、せつないほどに孤独なオーラを身に纏(まと)う、その少女の名前は「李メイ」といった。

まるで氷のように青白く孤独色した情感を、絹糸の香水でも振り撒くようにし、メイは、いつだってうっすらと、みずからの周辺に漂わせていた。その冷たさは絶えず均一に保たれていて、時折、彼女が微笑んだとしても、氷晶の灯火のような、その危ういほどの儚(はかな)さが、平凡な日常の空気と交わることなどは一度もなかった。けれど、いつしかボクは惹かれていたんだ。知性にも思えるような、そんなメイの哀しげな冷たさに――


1984年2月6日(月)

きのうまで、快晴だったこの街を、仄(ほの)かに白い雪が舞う。普段、教室ではかけてない銀色の眼鏡のふちを左手の人差し指で少し上げ、いまさっきボクが弾いたピアノの旋律を、ずっとメイは楽譜に起こし続けている。彼女の真剣な眼差しを、時折、横目で見つめては、ボクはふたたび窓の向こうの北風に目を向ける。

もしかしたら気遣っているのだろうか? 
広い音楽室の、前方の窓際に置かれたグランドピアノの前に、こうしてボクたちが2人並んで座っているだけで、ほかの部員たちの姿は見当たらない。いつもは、この場所で練習している吹奏楽系の音楽部の生徒たちも、どうやら部長の細野にいわれたらしく、今日だけは体育館で練習しているようだ。あの倉田ユカリでさえも、隣の音楽準備室から、まだ一度も顔を覗かせてはいなかった。

おもえば去年の9月、たまたま帰り道で一緒になったユカリに誘われ、ボクは、はじめてメイの家へ行った。――そして、なぜかピアノを弾かされることになったんだ。

あのときのボクの心は、マレンに贈った曲の旋律のなかへと溶け入って、知らずに彼女の面影を辿っていた。やがて、マレンが嬉しそうに心のなかで微笑んだとき、指先は鍵盤の上で「ピタリ」と動きを止めたんだ。――

ユカリやメイと会った日から、半年近く過ぎている。けれど、それまで過ごした2年半の学校生活と、あの日以降、過ごしてきた濃密な日々とでは、「まったく別の人生を歩んでいるのではないか?」と、いった錯覚すら覚えてしまうほどに、……それくらい、ボクという実体そのものをはじめとし、日常をつかさどる、ありとあらゆる構成因子が、劇的なまでに変化していったのだ。

「なんか、考えてみれば、こうして李さんと2人きりになることって、おとといまで、ほとんどなかったんだよね」

ボクの誕生日でもある、おとといの夕方、音楽準備室でボクはメイと2人きりで会っていた。そして、柔らかく射し込む夕陽のなかで、そのときはじめて彼女から告白のような言葉を聞いたのだ。

メイは譜面を書く指先を止め、静かに振り向くと、

「いわれてみれば、たしかに、……そうかもしれないわね」

と、いって、眼鏡のふちを少し上げながらボクの右側でささやく。

「まぁ、いつも倉田さんが一緒にいるからね。あっ、別に悪い意味じゃなくってさ」

ボクはそういいながら、鍵盤を軽く押さえた。

メイは「フフッ」っと、小さく笑い、そして小声でささやいた。

「ユカは、シーナ君のこと大好きだからね」

「えっ?」

ボクは、おもわずメイを見つめる。

メイは眼鏡を外し、瞳を細めて窓の外を眺めた。

「まぁ、ユカの場合は、恋愛感情というよりも、信頼っていうような感じなんだと思うの。ユカはね、シーナ君のことを心から信じているから」

メイは、灰色の北風に揺らぐ細雪(ささめゆき)を見つめ、そうつぶやくと、ボクのほうへ、その涼やかな視線を向けた。

「シーナ君はね、自分では気づいていないかもしれないけれど、まわりのすべての人に対して、同じくらいの思いやりを持っている人なんだと思う。だから、きっと、みんなシーナ君を信じてついてきたんだと思うの」

メイは、ボクを見つめたまま、さらに続けた。

「多くのひとがね、ひとつの目的に向かうためにはどうしても必要なものがある。きっとそれはね、疑うことなく『その目的が正しい』って、みずからが信じる気持ちと、そして、なによりも『その目的が正しい』ってことを、信じさせてくれる誰かの存在なんだと思うの」

「みんな、オレのことなんて信じてるのかね?」

と、ボクは、少しだけおどけながらいう。

メイは、微笑んだままつぶやいた。

「ワタシにはね、ずっと前からわかっていたの。まだシーナ君と一度も話したことのないくらい、ずっと前から、ね。たぶんユカから聞いたことあるんでしょ? 『いつも自分のことよりも、誰かのことを考えているみたいな人』――そうワタシがいっていた、って」

――ずっと気にはなっていたんだ。「どうしてメイは、そう感じたのだろうか?」って、ことを。

「オレって、なにかしたっけ? 李さんが、そういうふうに思うようなことなんて」

ボクは、おもわずメイに問いかけた。

「シーナ君は、全然覚えてないかもしれないけどね」

メイは、また少しだけ笑って、最後にこういったんだ。

「一度も話したことなんてなかったけどね、でも、教室で何度もワタシたち、目が合ってたんだよ。一瞬だったけどね。――そのとき、ワタシを見つめるシーナ君の目がね、なんだかすごく優しかったの。まるでワタシのことを優しく心配してくれているみたいに感じられたの。――本当に優しい人っていうのはね、いつだって心で何かを見つめようとする。だからね、その人に見つめられただけで、その人の心のなかが少しだけわかる。その人がなにもいわなくても、『なにを思ってるのか』ってことがね、言葉以上に相手には伝わるものだと思う」

窓の外の雪は、少しだけ大きな結晶となって、中庭へと静かに降り積もってゆく。メイに寄り添うようにして、少しだけ恥らいながら、ボクはふたたび鍵盤を押さえ始めた。



【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】




【2012.04.23 記事原文】

だいぶ昔のCMで、シンクロの小谷実可子さんの美しい演技をバックに流れた曲が、
この村松健氏の「春の野を行く」でしたね。


※まぁ、あまりウエディングで使える楽曲ではない・・・ですがね・・・
一応、「両親の感謝の手紙~」の候補曲でした(笑)


単純なメロの繰り返しなんですが、刹那さがものすごく心に伝わってきます。



春の野を行く - 村松健
アルバム『夏のぽけっとに』 1986年




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翳りゆく部屋 - スターダストレビュー 【バラードの名曲】

【邦楽バラードの名曲】


翳りゆく部屋





1983年10月20日(木)


ボクらはファミレスを出ると、また海沿いのサイクリングロードを歩いた。秋の静けさに満ち溢れ、純白のベールに包まれているような淡い雲の色を湛えた海には、微かな白波すら揺らめいてはいない。

雲り空のあいだから落ち始めた陽射しは霧のように柔(やわ)く、まだ午後3時をほんの少しばかり過ぎただけなのに、街の空も、この海の色も、まるで一緒になって夕暮れの訪れを急(せ)いているかのようだ。本当は海岸でギターを弾こうかと思っていたけれど、少しだけ砂浜を吹く風が強くなってきている。

「あっ! そういえばお勧めの場所があるんだよ」
と、ボクがいうと、

「お勧めの場所?」
艶やかな黒髪を、淡い金木犀(きんもくせい)の香りに巻き上げられて、ユカリは車椅子から振り返る。

「そう。誰もいなくてね。まさに、デートには最適なところがさぁ」
ボクは「ニヤッ」と笑って、そういった。

「キャーッ! ちょっとコワいですけどね。でもどこですか? そこって」
ユカリは嬉しそうに訊ねてきた。

ボクがいった「お勧めの場所」、それは、この街で川澄マレンと一緒に過ごした最後の場所、――古い大木たちに囲まれた、あの神社のことだ。――

晩秋の予感を滲ませながら吹き抜けてゆく風のなかに、あの夏の日を偲(しの)ばすような、色めく街の薫香は、なにひとつ感じられなくなっていた。ボクたちは、草木が枯色に染まりながら、ゆっくりと時をかけて眠りに就こうとするときに、少しだけこぼれ落とす、まどろみの吐息のなかに包まれている。

「ホントに静かなとこですね。シーナ君って、まさか痴漢とかじゃないですよね」
ユカリは、そういって笑う。

「オレ? さぁどうかな」
「え~っ! 襲ったりしませんよね。私のこと」
と、ユカリは嬉しそうな顔で石段に座りながら、揺らめく枯葉たちが「カサカサ」と、こすれ合って、頭上を覆いつくしている大樹の枝先を見上げた。

ボクはミニギターをケースから取り出し、少しペグを捻(ひね)りながら弦をチューニングしなおす。適当なコードを指先で軽くストロークしながら、マレンと、この神社にきていた日のことをぼんやりと思い出していた。

(マレンが久しぶりに学校に登校してきた7月のあの日、ボクは数学教師である『白ブタ』の髪の毛を引きちぎって、担任から会議室に呼び出されたんだ。そういえば、アイツってあれから授業中に全然ボクのほうを見なくなったな。――そして放課後、久しぶりにマレンと再会し、ボクらはこの場所にきたんだ)


無意識のうちに、何度もコードチェンジを繰り返してゆくと、やがて、ストロークは【A】コードに落ち着いた。何小節か【A】コードを爪弾いたあと、ボクは静かに歌い始めた。

松任谷由実が、当時、まだ荒井由実名義だった時代にリリースされた初期ベストアルバム『ユーミン・ブランド(YUMING BRAND)』の、エンディングに収録されていた「翳りゆく部屋」――小学校の頃、このアルバムを親戚の家で聴いたとき、ものすごく「いい曲だな」って思ったんだ。

オリジナルには、ときどき浮遊感を漂わす難解なコードが混ざるみたいだけれど、そこは似たようなコードで誤魔化す。ボクのその歌声は、やがて夕空へと舞い上がり、神社を囲う背の高い樹々の枝先に揺らぐ枯葉を、風とともに揺すっていく。――

(あの日、急にマレンから『鎌倉に転校するかもしれない』っていわれて、ものすごく動揺したんだよな。『アタシは、カミュちゃんとずっと一緒にいたいのに、――』そういって泣き出したマレンに、ボクは、はじめて自分の気持ちを言葉にしたんだ。『オレだって、川澄と一緒にずっといたいよ!』って、――だけど考えてみれば、ボクから彼女に伝えられた言葉って、それだけしかなかったのかもしれない。それ以外には、言葉で彼女にホントの気持ちを伝えたことなんて一度もなかった)

「シーナ君――」
ユカリの呼びかけにふと我に返ったとき、ボクはもう歌っていなかった。けれど左手の指先は、ずっと弦を押さえたまま、小さくストロークし続けていた。

「シーナ君って、どうして修学旅行に行かなかったんですか?」
ユカリはそう訊ねた。

「あぁ、なんか面倒臭くなってね。別に寺とかにも興味ないし」
「でも、この神社は好きなんでしょ?」
と、ユカリは笑いながら言葉を続けた。

「私、学校からは『修学旅行に参加するように』って、いわれてたんですけど、……でもね。結局、私のせいでみんなにいろいろ迷惑かけちゃうから、いろんなところに見学に行っても、きっと私だけ遅れちゃうでしょ。それにおトイレもお風呂も、きっとみんなの迷惑になるから、……ホントは行きたかったんですけどね。でも学校もホンキで私にきて欲しいとは思ってなかったみたいですから」

「なんかいわれたのか? 教師たちに」
ボクはユカリに訊ねた。

「ううん。その逆です。私とお母さんとでね。担任の先生に、『もし、迷惑がかかるようなら参加しないほうがいいんじゃないですか?』っていったら、なにもいわずにそのまま承認されちゃいました。だから、先生たちも多分『ホッ』としたんじゃないですかね。私が『どうしても行きたい』とかってワガママをいわなかったから」
弦をつま弾いていたボクの右手が止まる。

空はすっかり晴れ渡り、さっきよりも遥かに深く眩しい夕暮れが、西の上空に漂う雲を赤褐色に染め始めていた。

ユカリは燃えるような雲の色を見上げながら、言葉を風にくゆらす。
「実はね。こないだメイも『修学旅行に行くの辞める』って、いい出してね。メイは、ほかの理由をいってたけど、きっと、彼女のことだから、私ひとりだけ旅行に行けないのが可哀想だと思ったんじゃないですかね」

その風は柔らかく、ユカリの言葉を包み込む。

「でも、私のためにこれ以上、メイがなにかを犠牲にするってことが、なんだかすごく辛いんです。彼女は私よりも、もっと酷いイジメを小学校のときからずっと受けてきたのに、いつも私のことばかり気にしてくれて、……自分のやりたい事なんて、いつだってずっと後まわしにしてばかりいたの。だから『メイは絶対、修学旅行に行ってね』って、こないだ、ちょっと怒っちゃった。私のことを気にしてくれてるのはすごく嬉しかったけど、同じくらいになんだかすごく苦しかったんです」
ユカリの小さな背中が微かに震えている。

「だからね、シーナ君。いま私にできることは、全部メイにしてあげたい。ううん。――なにかひとつだけでもいいの。ひとつだけでもいいからね、なにかしてあげたいんです。メイからもらってばかりじゃ私、もうイヤなんです。だから、もしシーナ君がメイのことを好きじゃないとしてもね、私がちゃんと好きにさせなきゃいけないんです。……それくらいしか私にはできない。もしおせっかいと思われてもね。私が、――」

「大丈夫だよ」
ボクはユカリの震える細い肩に、軽く左手を乗せた。

「オレは李さんのことを好きだと思う。もしいつか、彼女も同じ気持ちなんだと思えて、2人の気持ちが自然と素直に向き合えるんならば、きっと倉田さんが願ってる通りになるんじゃないかな」

その言葉にユカリは、一瞬、つぶらな瞳に喜びを浮かべた。

「だけどね。オレにはまだ、前の彼女への想いが残ってるんだよ。未練じゃなくって、きっと後悔としてね。――そのことを、もし李さんも気づいてるんなら、たぶん、いまはまだ無理だよ。その想いが消えない以上、まだ李さんに対してオレからなにかをいえるような立場じゃないし、それにきっと彼女もオレとは付き合わないと思う」
ボクが、語り終えると、ユカリはまた哀しそうな眼差しでボクの顔を見つめた。

「でもさ、まだ李さんのことをバンドに誘うのは諦めないからさ。それだけは約束するよ。倉田さん、こないだいってたじゃん。『メイは絶対、バンドに入る』って。オレはね、その言葉を信じてるから。それにさぁ、オレは好きだよ。李さんのことも、……キミのことも」

と、いって、ボクはレゲエ調のリフをストロークし始めた。

「この曲ってさぁ。もしオレたちが、いつかライブ演るときにね、歌ってみようと思ってるんだ。まだタイトルも決めてないんだけど、……そのときは、キミにはちゃんと最前列で聴いてて欲しい。ほかに誰も客がいなかったら、やっぱりちょっと歌いづらいからね。それに、もし、李さんがバンドに入ってくれなくても、倉田さんは、オレらのバンドのマネージャーをやってくれるんだろ?」
そういって、ボクがユカリを見つめると、彼女は静かに微笑みながら、やがて大きく何度か小さく頷いた。

「シーナ君、もしかして修学旅行に行かなかったホントの理由って、メイと同じだったんじゃないですか? だって似てますからね。メイとシーナ君は」
と、ユカリはいいながら、その小さな顔をボクの左肩にそっと寄り添わす。そして北風にさらわれてゆく落ち葉を見つめてささやいた。

「こないだ私がいったこと覚えてますか? 『いつも自分のことよりも、誰かのことを考えてるみたいな人』って、――メイがシーナ君に対して抱いてる印象なんですけどね。でも、私から見れば同じなんですよ。メイもシーナ君も、……メイもね、いままでずっと、自分のことよりも、私のことを考えてくれていたの。だから私にとっては、ものすごく大切なんですよ。メイも……シーナ君も、2人とも、……そして、そのどちらからも私に与えられているこの『優しさ』も」

ボクはなにも答えずに歌い始める。そう、この夕暮れ色した街の空へ向かって、――


【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】



翳りゆく部屋 - スターダストレビュー 
カヴァーアルバム『ALWAYS』 2008年




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【Re-Edit】 威風堂々 - エルガー 【インストルメンタルな名曲】

【ウエディングに使えそうな???名曲】


威風堂々






1983年12月3日(土)


北側校舎2階と3階の廊下に面した窓からは、大勢の文科系クラブの部員たちが顔を覗かせていた。彼らを見上げて関谷が笑う。

「そういえばよぉ、お前ら、バンドなんてやってるみてぇだな。それに、可哀想な女たちを集めて囲ってるらしいじゃねぇか。あの有名なRs小の『ゴミ女』とかWh小の『車椅子』の女とかよぉ、あと、リケンの妹ともツルんでるみてぇだな。お前らって、そういうのが趣味なのか?それとも、ただの偽善者集団か?」

その言葉に、座り込むサッカー部員たちが一斉に大爆笑する。ニヤつく関谷に向かい、こみ上げる怒りを飲み込んで、ボクは言葉を吐き捨てた。

「お前、……どうやらサッカーじゃなくって、オレらとヤリ合いにきたみてぇだな」
すると、関谷のすぐうしろに座っていた、金髪で、にきび面した男が立ち上がり、ボクのほうへと近づいてくる。(――コイツがさっき、ヨシトのいっていた『白川』ってヤツか?)
その金髪は、眉間にしわを寄せながら、目を鋭く細めると、
「だったらなんだってんだ! ぶっ殺すぞテメエら」
そう、ボクに向かって怒鳴り声を上げる。

(殺す、――)

ボクのカラダは、その言葉にだけは、なぜか不可解な反応を示してしまう。

こないだゲームセンターで、Kf高校の西尾にいわれたときと、まったく同じあの感覚。――
だんだん鼓動が大きく脈打ち出して、記憶のなかにある『なにか』が覚醒し始める。同時に、真っ赤に焼けた鉄の棒を背中に何箇所も突き刺されたような衝撃が胸をつらぬき、やがて、その痛みが、ボクの理性を内側から破裂させてゆく。――

自分でも、いつから握り締めていたのかまでは、よく覚えていない。――しかし、気づいたときには、すでにその金髪の唇のあたりを、堅く握られた右の拳が打ち抜いていた。きっと、いまの一撃は、明確な意志による運動行為ではなく、潜在的な感覚によって無意識のうちに放たれたものだったと思う。

金髪は前かがみになり、口元を左手で押さえる。いったん、その金髪男のほうを横目で見ると、関谷は、ゆっくりと視線の矛先(ほこさき)を、ボクら側へと移し始める。たしかに、この男は、いままで一度も喧嘩で負けたことなんてないのだろう。――

それは、ありありとした余裕の色を、両眼の奥に広がる暗闇の深遠に宿す、この男の柔らかな眼光が物語っている。それは、かつてKf高校の西尾が漂わせていた光沢感がまったく存在しない、冷酷で、ガラス玉のようにどんより乾いた濃厚な好戦色とも、また、微妙に雰囲気が違っていた。

「いいねぇ、あの有名な『サウスのカミュ』とヤり合えるなんてよぉ、オレもいろんなヤツに自慢できちゃうよ」

不敵に微笑み、関谷がそうつぶやいたとき、

「オメェの敵は、シーナさんじゃねぇんだよ!」

突如、叫び声を轟(とどろ)かせ、リョウが左足の爪先を半歩前に踏み込むやいなやショートフック気味の軌道を描き、関谷の左わき腹へ凄まじいほどの速さで右拳がめり込んだ。不意を突く、そのボディブローの一撃に関谷は「ウグッ」と唸り声を漏らし、苦悶の表情を浮かべた。

うしろのほうで、さっきまで座っていたSy中のサッカー部員たちが、ざわめきながら立ち上がる。彼らも、まさか自分たちの年代で「最強」と、謳(うた)われた関谷が、ひとまわり以上も体の小さな佐久間リョウに悶絶させられるなどとは思ってもいなかったようだ。まぁ、リョウも2年生の世代では、おそらくダントツに喧嘩が強いことは間違いないのだろう。いかんせん、彼は現役キックボクサーなのだから。――

「クソガキがぁ!」

顔を真っ赤にさせながら、何度か大きく息を吐き出し呼吸を整え終えた関谷が、引き締まったリョウのわき腹に強烈な右ミドルキックを放つ。重量級である関谷のキックは想像以上に速く、そして当然のように破壊力が備わっている。反射的に左ひじでガードしたリョウだったが、その激しい衝撃によって、上体を真横に激しく揺さぶられると、顔をしかめながら腕を「ブラブラ」何度か屈伸させた。

すると、さっきの金髪男がボクを下から睨みつけ、大声で叫んだ。

「上等だ! テメェ、この野郎」

その男の唇は上下とも、縦に「パックリ」と深く裂傷し、まともに言葉すら発声できないほどに大きく腫れ上がっていた。中腰の姿勢でいきなり飛びかかってきたソイツの肩を組み止めると、ボクは金髪男の顔を「マジマジ」と見つめ、「なんだかタコみてえな面(つら)しやがって、お前、自分の顔を鏡で見たらきっと笑うぞ」

そういって、軽く反動をつけるようし、金髪男の鼻骨付近に、おもいっきり額を打ちつけた。

「ゴツッ」

と、鈍い音を頭蓋骨のなかで響かせ、一瞬、体から力の抜けた金髪男のジャージの胸元を両手で掴むと、そのまま締め上げながら捻(ねじ)り倒すようにアスファルトの上へと叩きつけた。その瞬間、こないだ強打した腰のあたりに激しい痛みが「ビリッ」と、はしる。けれどボクは、関谷のほうに目をやり、

「お前って、喧嘩強いんだってな。だったら、別に2対1でも問題ねぇよな」

と、いって笑った。

「いいぜ、何人がかりでもよぉ」

関谷の眼には、相変わらず余裕が漂っている。

互いに間合いを探り合い、緊張感をみなぎらせながら、しばらく睨み合いが続いていく。

すると、

「おい! なにやってるんだ!」

そう背後で声がした。振り返ると、ウチのサッカー部の副顧問らしい教師と、Sy中学の関係者らしきジャージ姿の男たちが慌てながら走ってきて、ボクらのあいだに割り込んだ。

「あぁ、ちょっと、コイツらに挨拶してただけだよ」

そういって、関谷はジャージ姿の男に笑いかける。唇を腫らした金髪は、鼻のあたりを押さえながら立ち上がり、

「あっ、コレ? さっき転んじまったんでさぁ」

と、右手の人差し指で、自分の顔をさしながら無理やり笑顔を作る。教師たちは、気づいていたんだろうけど、なにも気づかぬ振りをすることにしたようだ。

「じゃぁ、お前たち、早くユニフォームに着替えろ。着替え終わったらグラウンドにこい」

そういって、そそくさと校庭のほうへ一列に並んで歩いていった。顧問教師たちが立ち去ると同時に、関谷は表情を一変させ、リョウを睨みつけながらいった。

「オメェら、サッカーはできねぇのか? 試合中なら、いくらでも相手してやんぞ」

金髪も、ボクに向かって、なにやらよく聞き取れない言葉を発していた。

おそらくは、

「テメエもグラウンドにこい! 今度こそ絶対に殺してやる」

とかって、いったんだろうと思う。

すると、タツヤがいきなり、

「オレが相手してやるよ! カミュたちは関係ねぇ。サッカー部員じゃねぇんだからな」

と、関谷たちに向かっていい放った。

しばらくして、突然、リョウはタツヤに向かって、

「鈴本さん、……オレも出ていいですか? 試合に」

と、小さな声で、そうつぶやいた。――きっと、はじめて彼は、自分のほうからタツヤに話しかけたんだと思う。

こないだ、まだ軽音に入部したばかりのリョウが、ヨシトのドラム技術を馬鹿にし、その態度にタツヤがキレたことがある。それ以来、リョウは放課後、部室に顔を見せても、ずっと、タツヤやヨシトらのことを無視し続けていたのだ。

タツヤはリョウに訊く。

「お前、サッカーなんてできんのか?」

すると、リョウは顔色を変えずにいった。

「サッカーなんてやったことないですけどね、まぁ、なにかを蹴るのは得意なんで大丈夫だと思います。……いずれにせよ、倉田先輩や小山先輩のことを馬鹿にされて『ヘラヘラ』笑ってられるほど、オレも優等生じゃあねぇんでね」って、――

果てしなく無限の蒼さを湛え続ける初冬の空に、光子を放射状に解き放つ太陽のその背には、まるで土星の環のような虹色の光輪が大きく霞(かす)んて浮かび上がる。その眩(まばゆ)さが、グラウンドを見つめるボクらの水晶体の上端あたりに、六角形のレンズゴーストをいくつも映し出している。

この中学では、これまでほとんど行われたことのない他校との練習試合に、放課後、まだ学校に居残っていた生徒たちは、みな一斉にグラウンドへと押し寄せてきた。すでにボクらが「Sy中の関谷たちと正門で殴り合いをしていた」と、いう噂が、あっという間に広まったこともあって、その遺恨を引きずりながらの一戦に、サッカー以外の、なにかもっと別の展開を期待しながら、ここに集まってきているヤツらのほうが、もしかすると多かったのかもしれない。

サッカー部の副顧問は、文字通り部外者である佐久間リョウの、この試合への出場を認めようとはしなかった。――いや、それ以前に、一応はまだ、正式なサッカー部員であるはずの、鈴本タツヤの出場ですら、はじめは難色を示していたんだ。けれど、ほかの3年生部員たちの強い要望もあり、とりあえず、タツヤの出場だけは渋々認めたようだ。

本当は、ボクも関谷の野郎をぶっ飛ばしてやりたかったんだけど、腰骨の痛みがおさまらず、早足で歩くことすら、ままならなかったし、そもそもサッカーボールなんてまともに触ったことさえもない。だからやむを得ず、出場することは諦めたんだ。――

ボクは、その副顧問のほうへと近づいていく。そしていまだにリョウの処遇を決めかねている、その教師に向かって静かに告げた。

「そもそもさぁ、Sy中と練習試合なんて組めば、『どんなことになるのか』なんて、アンタにもわかってたでしょ? 最初からアイツらには、サッカーなんてする気はねぇんだよ。もし本当にサッカーの練習がしたいってんなら、ウチみたいな、こんな弱小チームとやったって意味なんてねぇんだからさ」

副顧問が、少しだけ威圧的な口調でいった。

「だからって、はじめから喧嘩することだけが目的で、向こうの学校さんも、きているわけがないだろ?」

グラウンドを取り囲む生徒たちのなかに、メイやユカリ、ミチコたちの姿も見える。

ボクは、副担任を睨みつけながら、いい放つ。

「少なくとも何人かのヤツらは、サッカー以外の目的で、ウチにきてることだけは確かなんだよ。じゃなきゃ、きて早々、わざわざ校門あたりでタムロってたりしてねぇさ。それに、本当はオレも出たいんだけど、もし出ちゃうと、きっと、ただの殺し合いになっちゃうだろうから、――」

そういって、サッカー部員たちに混じって、おそらく誰かに借りたのであろう「ダボダボ」のユニフォーム姿で佇(たたず)むリョウへと目を向ける。

「まぁ、最初からお前が出る必要なんてねぇよ。きっとウチの誰かが、そのうち、いずれ怪我して動けなくなるだろうから、そんときは、――」

ボクはリョウを見つたまま、こう言葉を続けた。

「お前が、10倍にして仕返してやれ」

――聞けば、Sy中のサッカー部は、決して弱小チームというわけでもないみたいだった。少なくとも、数年前までは県大会のベスト16あたりにまで進める力があったらしい。ただ、ボクらの2校上あたりから、さほど健全ではない部員たちがチーム内で幅をきかせ始め、関谷らのいる、ボクらの同学年世代が3年に進級すると同時に、その悪名が一気に広まったのだという。

かといって、最初からラフプレーを好むヤツらは別として、かつて県大会で上位に食い込んでいた当時の実力が、まだ完全に失われたというわけでもなさそうだ。少なくとも、最初から「ビクビク」と縮こまったプレーしかできていない、ウチの学校の連中とは比較するまでもない。

結局、タツヤはスタメンでは出場せず、リョウについては、いまだ、はっきりとした結論も出ないままに試合は始まったのだが、20分ハーフの前半開始早々から、ほぼ一方的にSy中に攻め込まれ、ウチのサッカー部員たちは、さっきからほとんどボールになんて触らせてもらえないままだ。

一方の関谷も、スタメンでは出場していなかった。Sy中のセンターフォワードには、さっきボクに殴られた白川ってヤツが入っており、ウチのディフェンス陣を恫喝しながら、容易くゴール前を無人化させていた。そこに左右のウイングやセントラルミッドフィルダーが飛び込んでいき、すでに、かれこれ10本以上のシュートが打ち放たれていた。にもかかわらず、相手側に2点しか取られていないのは、フォワードである白川の決定力不足によるところが大きい。まぁ、まだ点差は、さほど開いてないものの、いずれにしたって、ずっと絵に描いたようなワンサイドゲームの様相を呈している。

「おらぁっ!」

ゴール前で、ハイボールを競り合うウチのディフェンス陣を、大声で脅し、動きの止まったセンターバックの頬骨あたりに白川がひじを見舞う。顔面を押さえてうずくまるセンターバックに、今度はひざ蹴りをくらわすと、白川がようやく、がら空きのゴールネットを、みずからの初ゴールで揺らした。

「おい!いまのがノーファウルかよ!」

サイドライン付近でタツヤが立ち上がり、主審を務めているSy中の若い教師に向かって叫ぶ。今回の練習試合は、主審、副審ともにSy中の関係者が勤めている。従って、さっきから、ほとんどファウルなどは取っていない。それがSy中のやりたい放題となっている、なかば一方的な、このゲーム展開を助長している要因のひとつでもある。


ボクの隣でヨシトがつぶやく。

「やっぱ、こんな試合、やる意味なんてなかったじゃん。どっちにとっても練習になんてなんねぇよ」

ウチのミッドフィールダーに対する明らかなバックチャージに、ようやく主審のホイッスルが吹かれて、試合が止まる。ボクは、ヨシトの横顔に訊ねた。

「お前も、まだサッカー部員なんだろ? なんで試合に出ないんだ?」

すると、ヨシトは笑いながらいった。

「だってよぉ、オレなんて、そもそもレギュラーでもなかったし、試合に出たって仕方ねぇじゃん」

ボクは少しだけ鋭い口調になる。

「タツヤは別として、なんでサッカー部員でもないリョウが、この試合に出ようと思ったのか、お前、わかるか? オレらのまわりの女子たちを、さっき関谷の野郎が馬鹿にしやがったから、――ただそれだけの理由だ。本当ならリョウじゃなくって、オレたちが出るべきなんじゃねぇのか? まぁ、オレも出てないんで、あんまし強くはいえねぇがな」

すると、ヨシトはボクのほうを振り返り、

「でもよぉ、一応はサッカーの試合なんだぜ! いきなり乱闘するとかってわけじゃねぇんだからさ。まぁ、サッカーにせよ、乱闘にせよ、いずれにしたってオレは全然、役には立てなそうだしね」

と、笑いながらいった。

ボクは、ため息を吐き、小さくつぶやいた。

「なんだか、さっき副顧問から聞いたようなダサい台詞だな。――」

終了間際、Sy中にもう一点取られたところで、20分ハーフの前半が終了する。

10点以上取られていてもおかしくなさそうな試合展開ではあるが、白川の決定力不足にも助けられ、まだスコアは4―0だった。やがてハーフタイムとなり、ボクらがサッカー部員たちの集まっているセンターライン沿いへと移動すると、離れた場所で観戦していたメイやユカリ、それにカナエやミチコたちも、ボクらのほうへ歩いてきた。

「なんだか、すっかり一方的に『やられっ放し』の試合だね」

と、竹内カナエがボクにいった。

すると、いきなりタツヤが立ち上がり、大声でサッカー部員たちを鼓舞し始めた。

「おめぇらよぉ、なにビビッてやがんだよ! ろくにチャージにも行かねぇで逃げてばっかいやがって、――とりあえず、センターフォワード立たせてたって、ボールなんて全然まわせねぇんだから意味がねぇ。まずは、失点を抑えるためにセンターフォワードを外して、後半は4バックにするからな。前線には3人残しといて、オレがボランチに入る。あとは、――」

そういってタツヤは、足を抱えて座り込むリョウを見つめた。

「佐久間、お前って『利き足』はどっちだ?」

リョウは小声でつぶやく。

「まぁ、右のほうが蹴りは強いですけどね」

タツヤは、しばらく考え込み、やがて決断を下した。

「――佐久間、お前は後半から前線の右側に入れ」

「前線の右側?」

リョウがタツヤを見上げながら訊き返す。

「あぁ、相手ゴールに近いほうにいて、もしボールが飛んできたら、それを真ん中に蹴り返してくれ。オレがそのボールを受けるから」

と、タツヤがいうと、副顧問が、その話に割り込む。

「おい鈴本! まだ、彼を出場させるって決めたわけじゃないんだぞ!」

タツヤは、副顧問を呆れたような表情で見つめ、冷たくいい捨てた。

「先生よぉ、前半の結果を見ればもう充分じゃん。繰り返しになるだけだよ、ビビって、なにもできねぇメンバーでいくらやったところで。――ここからはさぁ、意地でも勝ちに行くんだよ。あのクソ野郎どもに」

リョウは無言で立ち上がり、スパイクの紐を結びなおす。センターラインを挟んだ向こう側で、関谷がゆっくり立ち上がり、こっちを見ながら笑っていた。――

「そういえば、川上さんは?」

ボクは、カナエに訊ねる。

「あぁ、なんだかさぁ、まだイジけてるみたくってね。『鈴本君からこないだ、あんないい方されたんで、とてもまだ応援する気になんてなれない』んだってさ」

と、カナエは、ため息交じりにいった。

「そう、――」

ボクは、ぼんやりつぶやく。ほかの生徒たちと比べてみると、あたま2つ分以上、背の高い関谷は、どうやらセンターフォワードの一列うしろ、――セカンドトップあたりに入るようだ。きっとタツヤが、みずからボランチのポジションを選んだのは、センターバックの手前で関谷とマッチアップするためだったのかもしれない。

――やがて後半開始のホイッスルが吹かれる。

Sy中のミッドフィルダーが、キックオフと同時に、センターサークル付近から、いきなり前線の関谷へ高々とロングボールを蹴り上げる。滞空時間の長いボールを、タツヤが関谷の体の前に入り込み、背中で抑えて競り合う。そして互いに頭上のボールめがけてジャンプしかけたとき、関谷が全体重をかけ、背中から覆いかぶさるようにして、タツヤに浴びせ倒しを見舞った。前のめりになりながら土のグラウンドへ顔面から落ちたタツヤの右頬には、痛々しいほどの擦り傷ができていた。しかし、主審はファウルを取らず、転々とするルーズボールに、フォワードの白川が走り込む。

「お前ら、詰めろ!」

と、タツヤが叫んだが、ディフェンス陣は怖がって誰も近寄れない。やがて、白川が前半同様に、大声で恫喝しながらペナルティエリアへ向かってドリブルしかけたとき、さっきまで敵陣の最前線にいたはずのリョウが、白川の足元にチャージを仕掛け、体もろとも吹き飛ばしたのだ。白川が前方へもんどり打って倒れ込むと、主審がバックチャージのファウルを取った。涼しげな顔で前線へと戻ろうとするリョウを主審が呼びとめると、彼の目の前で高々とイエローカードをかざした。

「アイツって、あんなに足が速かったんだ」

ヨシトが思わず、驚きの声を上げた。

「たしかに、いつあそこまで走ってきたのか、全然わかんなかったな」

ボクは、リョウを見つめながらいった。

タツヤが、ディフェンスに怒鳴り声を上げている。

「お前らよぉ、こんなダセぇ試合するために、バカみてぇに3年間もずっと練習してきたのか? 意味ねぇだろ! 相手に向かっていかなきゃ意味がねぇんだよ!」

白川が倒された位置に、フリーキックのボールがセットされ、Sy中のメンバーのなかでは、前半から、かなりのテクニックを見せつけていた生徒が、そのボールを両軍入り乱れるゴール前へと蹴り込む。

「絶対に逃げんじゃねぇぞ!」

と、タツヤが大声を出し、ふたたび関谷に体を寄せていく。するとウチの学校のセンターバックも意を決し、タツヤとともに両側から体を挟み込むようにして関谷の動きを止める。3人ともジャンプのタイミングがずれ、別のSy中の選手がヘディングしたボールがゴール前で跳ね上がる。そこへ、一斉に白川たちSy中のフォワード陣が押し寄せていった。そのとき、ふたたび弧を描くようにゴールラインぎりぎりから走り込んできたリョウが、腹のあたりでトラップしながら、そのボールを一瞬早く奪い去っていった。

一気にドリブルへ持ち込もうとするが、無論、まだ彼にはそんな技術までは備わっていなかった。駆け足に当たって蹴り出されたボールは、そのままサイドラインを割った。

倉田ユカリが車椅子から立ち上がり、つぶやく。

「でもさぁ、なんだかさっきよりも、ちゃんとした試合らしくなってる。――」

隣に立つ小山ミチコも、それに続く。

「うん、……鈴本君も、佐久間君も、すごく頑張ってるね。必死に勝とうとしてるのが、ここからでもちゃんとわかる。……『絶対に負けたくない』って気持ちが、ちゃんと見えるよ」

李メイも無言のまま、2人の言葉に頷いた。

ボクは、さっき関谷が正門でいっていた言葉を思い出す。

【可哀想な女たちを集めて囲ってるらしいじゃねぇか。あの有名な『ゴミ女』とか『車椅子』の女とかよぉ、それにリケンの妹ともツルんでるみてぇだな】

(関谷よぉ、――お前になんて一生わからないんだろうけどな、彼女たちは、ボクらのバンドにとって、もはや失えないほどに大切な存在になっちまってるんだよ。彼女たちの優しさってのはな、気づこうとしなけりゃ絶対に気づかない。見ようとしなきゃ、一生見えやしないものだ。けれど、それを知ったヤツらにとって、彼女たちのその優しさはすごく大切なものだ。それを愚弄するってことは、――)

「リョウ! それでいい、ポジションになんてこだわらないで、とにかくボールだけを追いかけろ!」

と、ボクは叫ぶ。

(それを愚弄するってことは、お前ら、――それなりの覚悟があるんだろうな!)

ボクはさらに叫ぶ。

「リョウ! お前を邪魔するヤツは、全員ブチのめしてやれ!」

「ちょっと、シーナ君! そんなこといっちゃ駄目でしょ」

ユカリは、ボクの顔を見上げながら唇を尖らす。ボクは、ユカリに微笑むと、さらにグラウンドへ向かって大声を張り上げた。

「お前ら! Sy中の連中が、もし、なにかしてきやがったら必ずオレが復讐してやる! だから、怖がらずにおもいっきり当たっていけ! あんなヤツら、ぶっ潰せ!」

グラウンドにいるウチのサッカー部員も、Sy中の連中も、ほとんど同時にボクのほうを見た。

「だからぁ、駄目だってば、そんなこといっちゃぁ」

と、ユカリが、ボクの制服の袖を引っ張りながらいった。それを見ていたカナエが笑った。

「でもまぁ、そのくらいのことをいってあげたほうが、きっとみんなも安心するんじゃないの? だってさぁ、なんだか本当にサッカーらしくなってきたじゃん」

ずっと自陣に攻め込まれ続けてはいるけれど、ウチのディフェンス陣も、怯(ひる)まずSy中のフォワードに「ピッタリ」張り付くようなマークをし始めていた。白川と関谷、前線の2人に入ってくるボールには、タツヤがひとりでチャージをかけ続ける。

「鈴本君って、本当はあんなにサッカーが上手だったんだねぇ」

いまさらながら、カナエが感嘆の声を上げた。ボクは、タツヤを見つめながらつぶやく。

「アイツはね、幼稚園のときから足だけは誰よりも速かったんだよ。オレがどれだけ頑張ってみても、一度もアイツには追いつけなかったんだ」

相手のパスを、ようやくウチのサイドバックがインターセプトすると、タツヤは左手を上げながら敵陣に向かって走り出す。サイドバックからのグランウンダーのパスが、タツヤの足元に収まった。

「でも、アイツがサッカーやってる姿って、オレもいままで見たことなかったな」

ドリブルしながらセンターサークルを一気に駆け抜けていくタツヤを見つめながら、ボクは、おもわず右拳を強く握り締める。はじめて受けるカウンター攻撃に、Sy中のミッドフィールダーたちの出足が完全に一歩以上遅れた。先にトップスピードに乗ったタツヤの背中を、相手ミッドフィールダーらとともにセンターサークル付近にいたリョウが右サイドから追いかけていく。

「すげぇ、きっとタツヤよりも速いな、リョウは」

先をいく相手ミッドフィールダー陣を瞬く間に追い越していくリョウを見ながら、ボクは思わず驚く。そして、叫んでいたんだ。――

「行けぇっ! リョウ!」

ゴール前に残っていた3人の相手ディフェンス陣に、タツヤとリョウの2人が挑む。ウチの学校のフォワードは、誰も彼らの背中には追いつけなかった。

「行けぇ!」「頑張れぇ~!」「決めろぉ~!」

あまりにも一方的な展開になり過ぎてしまい、試合の前半には、いっさい上がることのなかった大歓声が、グラウンドを取り囲む生徒たちから、はじめて沸き起こった。ペナルティーエリア手前で、前方を相手ディフェンダーに塞がれたタツヤは、右サイドを駆け上がるリョウの姿を肩先にを捉えると、斜め前方にゆるくボールを蹴り上げた。

タツヤの左足から放たれたロブパスの行方を追いかけながら、リョウはペナルティーエリアへと、えぐり込むように加速していく。

「鈴本君! 頑張って!」「佐久間君! ゴール決めて!」

ボクのまわりにいる、ユカリやミチコたちも、大きな声援で彼らを後押しする。

相手の左サイドバックも、そのボールをリョウの対面から追いかける。一足早くリョウが、そのボールに追いつくと、ペナルティーエリア内で手を上げたタツヤに向かって右足をおもいきり振り抜いた。

彼がボールのどこを蹴ったのかはわからなかったが、高速スピンがかけられたボールは、急カーブを描きながらタツヤのうしろ側で跳ね上がった。無人のエリアでバウンドし続けるボールを、相手ディフェンダーがサイドへ蹴ってクリアする。グラウンドを取り囲む生徒たちからは、大きなため息がこぼれた。

「あ~っ、惜しかったねぇ。いま、佐久間君」

カナエが、思わず天を見上げる。ユカリやメイ、ミチコたちは両手を胸のあたりで握り合わせたまま、じっとグラウンドのほうを見つめていた。

「まぁ、せめてボールの蹴り方くらいは教えてもらっとくんだったな、リョウもさぁ」

ボクは、そういって南側校舎に設置された屋外時計を見上げる。

残り時間はあと10分程度だろうか。――

「でもさぁ、さすがに、もう追いつけないだろうなぁ」

ヨシトが、なかば諦めたような声で、そうボヤいた。

「いや、それは違うだろ。もし勝敗を諦めちまってたんなら、アイツらが、あれほど真剣にやる理由なんてなにもねぇ。アイツらは勝つ気なんだよ。――それがサッカーなのか、個人的な勝負なのかは別にしてもね。絶対にアイツらは勝とうとしてる。少なくとも、関谷たちには、――」

スローイングのターゲットである関谷と激しくぶつかり合いながら競っているタツヤをボクは見つめた。苛立ち始めた関谷が一歩前に出る。そして左ひじを引くと見せかけ、タツヤの頬骨のあたりに強烈なエルボーを突き刺した。顔面を押さえ、前かがみになるタツヤを尻目に、スローイングのボールを胸でトラップした関谷は、大きくサイドチェンジし、逆側のサイドライン際を走る右ウイングの選手にロングパスを蹴り上げた。

「あぁ~、あのパスが通ったら、さすがに誰も追いつけないな」

ヨシトはまた、諦めのため息とともに、そう言葉を吐き出す。全員が敵陣に入り込んでいたウチらの学校の最終バックラインを置き去りにし、明らかにオフサイドポジションに立っていた相手ウイングがドリブルしながら駆け上がった。トップスピードに達した相手ウイングを、もはや誰も本気で追いかけようとはしていなかった。タツヤも、片手で右頬を押さえたまま、そのうしろ姿を呆然と見ているだけだった。

――すると、手前側のサイドから、佐久間リョウがグラウンドを斜めに横切り、向こうサイドを走るウイングを猛追し始めた。グラウンド中央を、関谷たち、Sy中のフォワード陣が走る。ヤツらは明らかにリョウの進路を塞ごうとしているのだ。センターライン付近で、それを見ていたバックラインの連中に、タツヤが叫ぶ。

「頼む! リョウを、……佐久間をフォローしてくれ!」

その声に、ディフェンダーが突き動かされる。もはや疲労が相当に蓄積し、彼らの足を止めてしまっているのはたしかだろう。それでも、ディフェンダーの2人が力を振り絞り、関谷たちの背中を追いかけ始めた。ウチらの学校側のペナルティーエリア、10メートルくらい手前で、Sy中の右ウイングがセンタリングしたボールがバウンドする。

リョウと関谷がほぼ同時に、弾み続けるそのボールに追いつく。関谷の巨体が一足先にリョウの細い体の手前に入り込み、大きな背中で彼の行く手を塞ぐ。その両側を白川ら、Sy中のフォワード2名が追い越していった。

関谷はドリブルでボールを前へと運ぼうとしたのだが、ほんの一瞬、加速が鈍る。その隙を見逃さず、リョウは関谷の両足のあいだへとスライディングし、伸びた彼の右足の爪先が、そのボールに微かに触れた。ボールは勢いをなくしたまま、ゆるやかに転がっていき、やがてゴールキーパーの胸に収まる。――

関谷はリョウを睨みつけ、なにかを叫んでいる。その隙に、ゴールキーパーが前線へとボールをフィードした。リョウがそのボールを追おうとしたとき、関谷がうしろからリョウのダブついたユニフォームの襟を掴んだ。――けれど次の瞬間、みずからの鼻のあたりを押さえながら、グラウンド上に片ひざをついていた。

――リョウは、とっさに左まわりで一回転し、掴まれたその手を振りほどくと同時に、手の甲で電光石火の裏拳を、関谷の顔面にぶち込んでいたのだ。

リョウは、そんなことなど気にもとめず、ただひたすらボールを目指して走り始めた。落下点付近では、タツヤたちがSy中のミッドフィルダーらとポジショニングを争っていた。ボールは、ウチの学校のミッドフィルダーがヘディングし、タツヤの手前に落ちる。タツヤはボールをキープしながら体の向きを変え、ドリブルで中央突破を図(はか)った。

――そのとき、相手側ゴールのうしろのほうから甲高い声が聞こてきたんだ。

「鈴本くーん! 鈴本くーん! 絶対に点取って! 鈴本くーん!」

そこには、口のあたりを両手で囲うようにし、大声で叫び続ける川上ナオが立っていた。

タツヤは相手ボランチのスライディングに足を取られかけたけど、体勢を持ちなおし、ふたたびゴールへと向かっていく。

「鈴本くーん! 頑張って!」
ナオは叫び続ける。

前から迫りくるディフェンダーの動きを見極め、ペナルティーエリアの手前から、タツヤはおもいきり左足でミドルシュートを放った。ボクらは飛び上がり、一斉に歓声を上げた。しかし、そのボールは相手ゴールキーパーの右手をかすめ、コーナーポストに弾(はじ)き返されてしまう。

「もう一回だ! まだ行けるぞ!」

おもわずボクは叫ぶ。

「諦めないで!」「鈴本君、頑張って!」

ユカリも、ミチコも、メイやカナエたちも、みんな無我夢中で声援を送り続けた。ゴール前に転々とするボールを目指し、ディフェンダーと競り合い、ふたたびタツヤが走っていく。相手キーパーがシュートコースを狭めるために、ボールのほうへと二、三歩詰め寄った。

タツヤはボールに追いつくなり、シュートと見せかけて右足で小さなキックフェイントを入れた。それにつられたキーパーが倒れ込むように前方を防ぐ。タツヤはボールを右足のかかとでうしろへパスすると、そのまま前のめりにつまずきながらキーパーを飛び越え、そしてあらん限りの大声を張り上げた。


「佐久間! 頼む! 決めてくれ!」

そのボールに、さっきまで自陣のゴール前にいたはずのリョウが走り込み、右足を一閃、ものすごい勢いで振り抜く。

次の瞬間、試合終了のホイッスルが吹き鳴らされた。――
座り込んだままの相手キーパーの背後で、激しくゴールネットを揺らしたそのボールは、やがて「ピタリ」と動きを止める。


グラウンドのまわりにいた生徒たちからは、割れんばかりの拍手と地鳴りのような大歓声が沸き上がった。ボクのうしろで、ユカリやミチコ、それにメイまでもが涙を流し、抱き合いながら喜んでいる。

「すげぇな、タツヤもリョウもさぁ。……なんだかんだ、ちゃんと最後までサッカーで勝負しやがった」

ボクがそうつぶやくと、カナエも無言で頷いた。ボクはヨシトに訊ねる。

「ヨシトよぉ、お前にはどう見える? アイツらは勝ったのか、それとも負けたのか、――」

ヨシトは「フッ」と笑い、嬉しそうにささやいた。

「もし、負けたヤツらだったんなら、きっと、あんな顔なんてしねぇんだろうな」

相手ゴール前で大声を上げながら抱き合うサッカー部員たち。――けれどリョウは、その歓喜の輪のなかには入らず、ひとりでこっちのほうへと引き上げてきた。

「リョウよぉ、お前が決めた得点なんだぞ! もうちょっとは喜べよ」

彼の肩を叩きながらボクがそういうと、リョウは少しだけ息を切らせたまま、小声でつぶやいた。

「――オレは、ただ、軽音部員としての筋を通しただけっす」

その言葉が、ボクにはなんだか、やけにカッコよく聞こえたんだ。グラウンドに目を向けると、タツヤが両手でガッツポーズをつくり、相手ゴールのうしろに立っているナオのほうへゆっくり歩いていくのが見えた。ナオも、涙を拭いながらタツヤのほうへと走り寄っていく。

カナエが笑いながらいった。

「あの2人って、これでちゃんと仲直りできるのかねぇ?」

「タツヤは間違った答えなんて選ばない男さ。それにね、もし川上さんが遠くへ行ってしまいそうになったとしたって、――」

タツヤのうしろ姿を見つめたまま、ボクは静かにつぶやいた。

「きっとすぐに追いつけるだろ。だってアイツは幼稚園のときから、誰よりも足だけは速かったんだんだから――」



【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】



【2012.04.24 記事原文】

まぁ、インストっていう括りで語るべき曲ではないですがねぇ。。。
「イギリス愛国歌」とされるエルガーの「威風堂々」です♪ 

ブリティッシュ・ロイヤル・ウエディングな気分で退場したいときとかにどうですかね(笑)


まぁ、これを結婚式場でフルヴォリュームで流したら、
ちょっとみんな引くでしょうなぁ・・・

さすがに、友人の挙式での使用は却下されましたが・・・



三谷氏のドラマ作品「合言葉は勇気」のエンディングで、
この曲が流れたときは訳も分からず泣きました。。。


何か圧倒的な感動を与える曲ですよねぇ。


とりあえずウエディング関係モノは、かなり持ちネタが多いので、またの機会に!!
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2つのヴァイオリンのための協奏曲/第二楽章 - J.S.バッハ 【インストルメンタルな名曲】

【インストルメンタルな名曲】


2つのヴァイオリンのための協奏曲/第二楽章 ニ短調 BWV1043






1983年12月1日(木)

昼休み――

こないだ、Kf高校の西尾に殴られたときの傷がまだ痛む。ボクの顔には、いまだにいくつもの赤黒い腫れや傷痕が痛々しく残されたままである

いつものように机でうつ伏し眠っていたボクが、寝返りを打つようにし、何気なく顔だけ右側へ傾けると、普段は明るいはずの川上ナオが、なにかを思い悩んだような表情を浮かべて手紙らしきものを書いていた。

そこはかとなく哀愁めいた覚悟みたいなものを小さな瞳に浮かばせて机上を見つめ続けるナオの、これほどまでに真剣な眼差しを見るのは、中3になってボクの隣に彼女が座ってからは、はじめてのことだった。便箋の上を躊躇(ためら)うように、その筆先は何度も動きを途切れさせていたのだが、やがてナオの右手はボールペンを握り締めたまま「ピタリ」と動きを止め、しばらくすると、おもむろに便箋を手にし、「ビリビリ」と、縦横にそれを細かくちぎってしまった。ナオの机に紙片が落ちていく様を、寝そべりながら見ていたボクと目が合うと彼女は無言で席を立ち、やがて廊下へ出ていった。

ボクは上体を起こしつつ、左に座る竹内カナエに訊ねる。「川上さん、なにかあったのかな?」カナエは、少し首をかしげ、「う~ん、そういえば、おとといくらいから、ちょっと様子がおかしかったけどね。たぶん、鈴本君と喧嘩でもしたんじゃない?」と、いいながら、目を細めた。いわれてみれば、きのうのバンド練習中、鈴本タツヤも、なんとなく様子がおかしかったような気がする。すでに完璧にマスターしたはずの演奏曲で何度もミスを繰り返したり、コーラスパートの歌詞を間違えたり、――本人は、「きのう、ほとんど寝てなくてさぁ」と、いつものように笑ってたので、ボクもそのことはあまり気にしていなかったんだ。

放課後――

音楽準備室の扉を開けると、ボクらより先にきていたタツヤとナオが窓際で、なにやら話しているのが見えた。ボクとカナエがギターシールドを棚から出そうとしていると、いきなりタツヤが叫び出す。

「あぁっ! もうなんだか面倒くせぇ。オレのことなんて、いいからもうほっといてくれよ!」

2人のほうへ目をやると、ナオが頬を紅潮させて、

「だって、……アタシは、ただ、……」

と、涙声を震わせた。

「オレは自分の好きなようにしてぇんだよ! オレの人生を、お前が勝手に決めるんじゃねぇ!」

タツヤにそういわれると、ナオはとうとう声を上げて泣き出し、やがて、そのまま廊下へと走って出て行った。

「ちょっと、鈴本君!」

カナエがそう叫ぶと、タツヤは目の前にあった椅子を引き、「ドサッ」と座り込む。そして、窓の外に広がる青空を見上げながらつぶやいた。

「オレさぁ、こないだ担任と面談があって、そんとき『いまのお前の成績じゃぁ、私立のKa高校くらいしか受験できない』って、いわれてな。それから、『もしちゃんとサッカーをまじめにやってれば、推薦とかも考えられたけど、練習にも出ないで遊んでるんじゃぁ、先生にもどうすることもできねぇ』とか抜かしやがってね、……まぁ、オレは別にKa高でもいいって思ったんだけど、ナオのヤツが、『アタシはイヤだ』とかって、いきなりゴネ始めたんだよ」

私立Ka高校、――

ボクらの街からだと、通学に一時間半以上はかかってしまうような、神奈川のはずれのほうにある学校だ。この湘南界隈では、ネオ・クラッシュの西尾たちが通う、私立Kf高校が「一番ワルい」とされているのだが、Ka高は、横浜や東京の八王子あたりからも生粋のワルたちが集ってくることで名の知れた超有名校である。

たしかに、タツヤはむかしから、まったく勉強はできなかったが、まさか「Ka高しか受けられる高校がない」などとは思ってもみなかった。

タツヤは、ボクたちのほうを振り返り、笑いながら、

「それから、ナオがさぁ、さっき『バンドの練習ばかりしてないで、もっと勉強しろ』って、いいやがったんで、オレもちょっとばかしさぁ、あたまにきちゃってな」

と、すこしおどけるようにし、そういった。

ボクは、どう答えていいのかわからなくなっていた。たしかに、いまから本気で猛勉強すれば、どこかの公立くらいには入れるのかもしれない。けれど、すでにクリスマスのワンマンライブが近づいてきており、放課後、毎日学校で練習したって、全然時間が足りない状況だ。

「お前、本当にKa高でいいのか?」

ボクはようやく、そう口を開く。

「まぁ仕方ねぇ。でもよぉ、別に高校なんか行かないで、おじさんの会社を手伝おうかな、とも思ってる」

と、タツヤはいった。

「おじさんの店?」

「あぁ、親父の弟が土建屋やっててな。こないだも勧誘されたんだよ」

そういって、タツヤは少し寂しげに笑う。

「ナオのことは、どうするの?」

と、カナエは小さな声で訊ねる。

「アイツは最近、自分勝手なことばっかいいやがるからさぁ、『近くの学校がいい』とか『毎日、帰りに会いたい』とかってよぉ、だったら、そういうことをしてくれるヤツと付き合えってんだよ」

と、タツヤは少しだけ苛立ちながらいった。

「だって、それって普通のことじゃん。もし付き合ってるんなら当たり前の気持ちでしょ?」

と、カナエがナオを擁護する。

「だから、もし普通の付き合い方がしたいんならさぁ、それができるヤツと付き合えばいいんだよ! どうせオレにはできねぇんだから」

ボクには、そう吐き捨てるタツヤがなんだか、自分自身を納得させるためにそういっているように思えたんだ。

やがて、2年生の軽音部員たちのあとに続いて、倉田ユカリと李メイ、さらには村山ヨシトらが次々と音楽準備室に顔を見せ始める。

「なにかあったの?」

なんとなく殺伐とした空気を察したのか、ユカリがボクに訊ねてきた。

「まぁ、いわゆる『痴情のもつれ』って、ヤツかな」

と、ボクは彼女の耳元でささやいた。しばらくすると、今度は小山ミチコが部室に入ってくるなり、

「さっき川上さんが、泣きながらひとりで帰っていったけど、大丈夫なの?」

と、小声でボクらに訊いてきた。

「大丈夫だと思うよ。タツヤはむかしから、いろいろ引きずらないタイプなんでね。とにかく忘れるのだけはバカみたいに早いんだよ。きっと、いずれアイツ自身でどうにかするさ――」

ボクたちは、クリスマスイブにG’Zで演奏する予定曲の通し練習を続けていた。2年の佐久間リョウは、窓際の机に相変わらずフリスビーをタム代わりに数枚並べ、それをスティックで叩き続けていた。木下ケイコたち女子部員は、ユカリやメイたちと時折、談笑しながら基本コードのストローク練習を繰り返す。なんだか、今日はやけにこの部屋の人口密度が高いように思える。

「ちょっと休憩すんか」

と、いって、ボクはストラップを肩から外した。

そのとき、――

入口の扉が開き、何人かの3年生サッカー部員が音楽準備室を覗き込んだ。

「鈴本! ちょっといいか」

そのサッカー部員のひとりがタツヤを呼ぶ。

考えてみれば、タツヤもヨシトも、まだ正式にサッカー部を退部してはいない。佐久間リョウが転校早々、サッカー部の顧問である三島のことをぶん殴って以降、三島もタツヤたちに対して、そのことをうるさくいわなくなったようだ、――と、いうより、もっぱら最近では三島もほとんど練習には顔を出さず、別の副顧問とかって教師が代理を務めてるらしい。まぁ、この三島って野郎には、かつて中1の頃はボクも相当にヤられてたんで、「その報復を恐れている」と、いうような噂も広まってる。

タツヤは、サッカー部員たちと一緒に廊下へと出て行った。

「鈴本君、サッカー部に呼び戻されるんでしょうか?」

と、ユカリが、タツヤの背中を見つめて心配そうにつぶやく。

「まぁ、それはないだろ? だって、もう主要な大会とかは全部終わってるし」

と、ヨシトが汗を拭いながらいった。

しばらくすると、タツヤが戻ってきた。

「アイツら、なんだって?」

と、ヨシトがタツヤに訊く。タツヤは、少し考えてから口を開いた。

「あぁ、あさって、ウチの校庭で練習試合があるみたいなんだけどな、部員が足りないんだってよ」

「はぁ? 『部員が足りない?』って、だって、まだ30人くらいはいるだろ?」

と、いってヨシトが笑う。

「まぁ、そうなんだけど、相手がSy中みたいなんで、みんなビビッちまってるらしい」

タツヤがそういうと、ヨシトは一瞬のうちに表情をこわばらせる。

「えっ! なんでSy中なんかと試合すんだよ。関谷とか白川とかって、向こうのメンバーにまだ入ってるんだろ? そんなの相手にしたらヤバイに決まってるじゃん」

ヨシトがそう叫ぶと、すっかりタツヤも黙り込んでしまった。窓際に座っていた佐久間リョウが振り返って、こっちを見ている。リョウは、こないだの一件以来、いまだにタツヤやヨシトとはまともに口を聞いていない。


「関谷、――聞いたことある名前だな」

と、ボクはつぶやく。

Sy中といえば、地元では、かつてボクがリンチを受けたDt中学と並んで「ワルが多い」とされている学校だ。特に、関谷というヤツは、ボクらの年代で「もっとも喧嘩が強い男」と、いわれており、中2の頃から、その名前は何度も耳にしている。

「こないだの県大会予選で、関谷が対戦相手のフォワードの足首と肋骨を折ったみたいでさぁ、それに白川も、向こうの選手殴って一発退場させられたんだってさ」

真顔のままのヨシトは、深刻そうにつぶやいた。

「まぁ、そもそもアイツらのは、サッカーじゃねぇからな。ボールじゃなくてストレス解消で相手を蹴ることが目的になっちまってるからよぉ」

と、タツヤが言葉を付け足す。

「そんで、『お前に試合に出て欲しい』っていってきたのか?」

ボクはタツヤに訊いた。

「あぁ、……でも、そんなのに出る気なんてねぇよ。まったく冗談じゃねぇってんだよ」

そういって、タツヤは笑った。――



1983年12月3日(土)

今日も相変わらず川上ナオに笑顔はなかった。竹内カナエが休み時間に声をかけても、ナオは、曖昧な返事を繰り返すばかりだった。やがて授業が終わり、ボクが机から立ち上がろうとしたとき、

「シーナ君、――」

と、ナオがボクのほうを見つめながら小さな声で名前を呼んだ。

ボクは、そのまま椅子に座りなおすと、

「どうしたの?」

と、ナオに問いかける。

「あのさぁ、鈴本君、……やっぱバンド辞めちゃったら困るでしょ?」

ナオは、頬を赤らめたまま、そう訊ねる。ボクはしばらく考え、やがて口を開いた。

「そりゃ困るさ。けど、もしタツヤが自分の意思で『辞めたい』っていうんなら、オレは止めたりしない」

「本当?」

と、いって、ナオは少しだけ安堵の表情を浮かべる。ボクはナオを見つめ、笑いながら訊いた。

「川上さんってさぁ、いったいタツヤのどこが好きなの?」

ナオは、一瞬なにもいえなくなったけど、やがて、恥ずかしそうに答え始める。

「どこっていわれると悩むけど、……、『すごく男っぽい』ところかなぁ」

ボクは、椅子の向きを変え、ナオのほうへと顔を近づけながらいった。

「オレもね、アイツの『男っぽい』とこが好きだ。幼稚園のとき、アイツと一緒だったんだけど、その当時は大嫌いだったんだ。アイツのことがね。――でも、中2でツルみ出してから思ったんだよ。なんていうのかな、『小さなことに全然こだわらない』っていうのか、『曲がったことが嫌いなヤツ』っていうのか、とにかくそういう『男気』がね、アイツにはあるんだよ」

ナオは、何度も頷きながら、

「そうでしょ! そうそう、『男気』よねぇ。たしかにそういうのがあるのよねぇ。鈴本君には」

と、嬉しそうにいった。

「川上さんがね、『タツヤがKa高に行くのがイヤだ』って思う気持ちは、なんとなくオレにもわかる。でも、だからってアイツのことを嫌いになったりはしないだろ? もしアイツが決めたんだとしたら、『その答えは間違いだ』なんてことは誰にもいえない。……けどね、タツヤはきっと間違った答えなんて選ばないさ。だから、川上さんはね、『タツヤのどこに惹かれているのか』っていう自分の本当の気持ちだけを忘れずに、ただ信じていればいいんじゃねぇの?」

ボクが静かにそういうと、ナオは、それ以上なにもいわなくなった。――

突然、教室のうしろの扉から、知らない3年の男子生徒が入ってくる。

「シーナ、なんか校門のとこで、ほかの学校の生徒がお前のこと呼んでるんだけど」

ボクは、なんとなく察し、ナオに告げた。

「わるいんだけどさぁ、竹内さんとかに『ちょっと練習遅れる』って伝えといてくんない?」

――遠目からでも、そのガラの悪さは容易く見て取れた。

ボクが正門に近づいていくと、Sy中のサッカー部の連中が、練習バッグに座り込み、こっちのほうを睨んでいた。

「オメェが『シーナ』か? 『サウスのカミュ』とかって呼ばれてるよぉ」

座っていても、優(ゆう)に身長が180センチを超えているのがわかる大柄なニグロヘアの男が、そういって笑った。全員が不良っぽいわけでもなかったが、20人近いサッカー部員のなかには、明らかに異質な雰囲気を漂わせたヤツらが何人か混ざっている。

ボクは、その大柄な男をぼんやり見つめながらつぶやいた。

「で? 関谷っていうのはどいつだ?」

そういわれると、その男の目つきが変化した。

「はぁ? それって冗談のつもりか?」

ボクは、顔色を変えずにいう。

「お前は誰?」

大柄な男は立ち上がり、ボクのほうへ一歩近づく。ボクは何気なくうしろを振り返る。正門側を見渡せる北館3階の廊下を、佐久間リョウが階段のほうへ向かって走っている姿が見えた。そのうしろを、部室から出てきたタツヤが追いかけている。ボクは正面を向きなおし、その大柄な男のほうへ半歩近づく。互いの距離は、すでに握手をかわせるほどにはなっていたが、間違いなくそういう感じでもない。コイツらを引率してきたSy中の顧問教師の姿が見当たらない。おそらくは、ウチの職員室へ挨拶でもしに行ってるんだろう。

「オメェ、こないだKf高の西尾さんと揉めたらしいな。なんだかすっかり有名人じゃねぇか」

その大柄の男がボクを睨みつけながら、そういった。

「あぁ、こないだ揉めたばっかなんで、あんまり揉め事は起こしたくないんだよな。それにしてもさぁ、――」

ボクは、相変わらずぼんやりとその男を見つめながら、薄っすら笑って、そして挑発した。

「お前って、いったい誰なのさ?」

ソイツの右手がボクの制服の襟を掴もうとする。ボクは、とっさに左へと上体を揺すって、それをかわした。2年のときの担任に殴られ始めてから、これまで相当数いろんなヤツに殴られ続けてきたもので、すっかり反射神経と勘だけはよくなっているみたいだ。少なくとも正面からくるパンチ系の軌道は、なんとなく相手の雰囲気で読み取れる。

まぁ、さすがにボクサーとかのレベルではないにせよ、――

やがて、背後からボクのほうへと駆け寄る足音がだんだんと大きくなってくる。

左の肩越しに振り返ると、

「なんだテメェら!」

そう大声で叫びながら、リョウが大柄な男へとスピードをゆるめることなく突進していく。ボクは、慌ててリョウの体を押さえようとしたけれど、あまりに勢いがついていたんで、彼を止めきれなかった。おもいきり正面からリョウに体当たりをくらい、その大柄な男は多少グラついたが、いかんせんあまりにも体格差があり過ぎた。165センチ程度のリョウには、この大柄な男を吹き飛ばすほどのウエイトが備わっていなかった。

やがて、タツヤがボクの隣に辿り着く。そして叫ぶ。

「関谷よぉ、お前、試合しにきたんだろうが! だったらカミュとかは関係ねぇだろ?」

この大柄な男、――関谷には、すでにタツヤの言葉は届いていないようだった。

「このチビがぁ、面白れぇ、俺とやろうってのか!」

そういって、リョウを睨んで笑った。

北館の玄関にヨシトやカナエたちの姿があったが、ボクは彼らを右手で制止し、こっちにこないよう命じた。3階の窓からは、ほかの部の生徒たちに混じって小山ミチコや李メイ、そして倉田ユカリらが心配そうにこっちを見ている。

乾いた落ち葉を巻き上げて、吹きゆく初冬の北風が背中のほうで彷徨っている。

やがてリョウは、静かに制服のボタンを外し始めた。――


【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】

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スピーチバルーン






1982年4月16日(金)


昨日の激しい豪雨は、幻だったのだろうか?

瞼(まぶた)を突き刺す春の陽射しに、ボクはぼんやり目覚めさせられてゆく。南側一面がガラス張りで大きく開放された教室の窓際に並んだ木製机の表面が、あまりにも艶やかにコーティングされているせいで、こぼれるほどに強烈な可視光線が机上ではねっ返り、部屋じゅうを眩(まばゆ)い白光で満たしている。

正確にはそれほど長い時間ではなかっただろう。昼食を終え、ウォークマンを聴いているうちに、どうやらボクは眠ってしまったようだ。まだ眩しさに慣れてない両目をこすり海のほうを眺めてみると、湘南海岸に沿って走る国道134号線は、相変わらず渋滞し続けていた。中学2年になってから教室が海側の3階に移動したせいなのだろうか? 濃い藍色の水面(みなも)を白銀に光輝かせている湘南の海の色味が、なんとなくいつも以上にキレイに思えた。――

隣の女の子がなにかをいっている。

「それ見つかったらヤバイよ」

ボクはボリュームを落とし、彼女の言葉に小さく頷く。彼女がいうよう、もし厄介な教師にでもバレたとすれば、どんな目に遭うのかなんて、なんとなくわかっていた。

「カチャッ」と、微かな金属音が響き、やがてカセットは自動的にリバース再生される。

しばらくしてから、大滝詠一が去年リリースしたアルバム『ア・ロング・バケイション(A LONG VACATION)』のB面に収録された「雨のウェンズデイ」のイントロが流れ始めた。ボクが小6のときに親から買ってもらった、山下達郎のアルバム『ライド・オン・タイム(RIDE ON TIME)』も、当時は相当に聴いていたけれど、この『ア・ロング・バケイション』も、このところ毎日のように、ずっとウォークマンで聴いていたんだ。

トロピカルなジャケットが物語るよう、このアルバムにはリゾートカラーが色濃く反映された楽曲が多数収められている。漠然とハワイへの憧れを抱き始めていたボクは、まだ見ぬ楽園の情景を、その流れゆく音楽のなかに描いたりしていた。――

そういえば、つい先月、大滝詠一は新たなユニットを結成し、ニューアルバム、『ナイアガラ・トライアングル・ヴォリュームツー(NIAGARA TRIANGLE Vol.2)』をリリースしたばかりだ。

(今日、学校から帰ったら買いに行こうかな)

そんなことを考えながらボクは窓の外に目をやり、雲の欠片すらも見当たらない仲春(ちゅうしゅん)の青い空をずっと見上げていた。

――ふと、誰かの視線を感じたような気がし、廊下のほうに視線を移すと、やがてひとりの少女と目が合う。南側の窓から射し込んだうららかな春の陽射しは、ちょうど彼女が座る机のあたりまでを柔らかく照らし出している。

ボクが少しだけ微笑むと、大きな瞳でボクを見つめたまま、彼女も口元に小さな笑みを浮かべた。その子とは中学2年ではじめてクラスメイトになったんだけれど、すでにボクは、ずっと前から彼女のことを知っていた。

海風に揺蕩(たゆた)うような「スピーチ・バルーン」の心地よいメロディが、ちょっとだけノスタルジックな気分にさせたせいかもしれないけれど、ボクはなんとなく、はじめて彼女と出会った日のことを思い出していたんだ。――


【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】



【2012.06.05 記事原文】

当時、中学生だったボクにハワイへの憧れを抱かせたのが
大滝詠一氏が1981年にリリースしたアルバム『A LONG VACATION』 です☆

果たしてジャケがハワイをモチーフにしたのかどうかは定かではない・・・
が、トロピカルリゾート感に溢れたそのジャケットは、アンスリウムの花とともに
数年間ボクの部屋に飾られ続けた。

そんなアルバムから一番好きだったナンバー「スピーチバルーン」をチョイス♪
大滝氏の音楽からボクの中で勝手なイメージが作られたハワイであったが、
初めて行ったオアフには・・・ちょい(ん?かなり)失望したものである。。。

ラハイナやヒロあたりならば、まだ当時のイメージに近いハワイがある気もするが。。。





スピーチバルーン - 大滝詠一 
アルバム『A LONG VACATION』 1981年



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Stealing Home






1983年12月1日(木)

夕陽はほとんど沈みかけ、オレンジ色した微かな残光が訪れくる夜の気配と西の上空で重なり合う。その周辺の雲だけは、ただ燈色に染められて、昼間と夜が譲り合い、境界線を曖昧にさせながら滲んで融けた薄明の蒼さのなかをふわり漂う。

バンド練習を終えたボクらが正門までくると、学校の敷地に面した通りの先で、見知らぬ学生と一緒に佇(たたず)む春山サエの姿を見つけた。

サエは、ボクがこの中学に入ってはじめて恋心を抱いた女の子でもある。

学校帰り、敷地のネットフェンス越しに軟式テニス部に所属するサエがコート上を駆けまわる姿を、ボクは毎日見つめていたんだ。けれど、中2になってしまってからは、ほとんど彼女と話す機会もなくなっていき、中3でバンド練習を始めてからは、放課後、コート上で彼女の姿を見かけることすらなくなっていった。

けれど、ちょうど2ヶ月くらい前、まだアロハスターを結成していなかったボクが、たまたま帰りがけにテニス部の練習風景を眺めていたとき、サエのほうがボクに気づき、そのあと中学3年間ではじめて彼女と一緒に帰ることになった。

そう、眩いほどに光輝く晩秋の夕陽を正面から浴び続け、琥珀色の煌(きらめ)きに眼を細めるようにしながら、あの日ボクらは、その陽光のなかを西へと向かって歩いていったんだ。――

中1のときは、あれほど好きだったはずなのに、中2になって川澄マレンと付き合い始めてからは、ほとんどサエのことは気にならなくなっていた。けれど、だからって決して嫌いになったわけじゃない。マレンと付き合う以前に、――いや、正しくは中2になる前にはもう、すでにボクのほうから彼女のことを諦めていたような気がする。

サエがボクのことをどう思ってたのかはわからない。けれど、「きっと彼女とは付き合えないんだろうな」って勝手に自分から断念したのだ。その理由は、「誰かのことを好きでいる」という気持ちの、もどかしさや、やるせなさに耐えられなくなってきたからだ。そんな自分が、なんだかものすごくカッコ悪く思えてきたからなんだろうと思う。

(そういえば、こないだサエと一緒に帰ったとき、彼女には『好きな人がいる』とかっていってたな。きっと、アイツがそうなんだろう)

夕暮れの街に灯され始めた街灯の光が微かに照らし出すサエの横顔をしばらく見つめ、やがてボクは、竹内カナエや村山ヨシトたちと一緒に彼女とは逆方向へ向かって歩き出した。

そのとき、――

「バシィッ」

と、甲高い叩音が静かな通りに鳴り響く。ボクがうしろを振り返ると同時に、その見知らぬ学生が、サエの左脚をおもいきり蹴飛ばした。思わずカナエが驚きの声をあげる。

「ちょっと、シーナ君!」

その声を背中で聞いた。そのときボクは、すでにサエのほうへ向かって走り出していたんだ。

「なにやってんだ! テメエ」

ボクが叫ぶと、その男はこっちを睨みつける。足元に落ちた眼鏡を拾い上げたサエが、ボクのほうを振り返った。中1のとき、眼鏡を外した彼女の瞳はいつだって、泣き止んだ直後の子供のように少し寂しげに潤んでいた。でも、いまの彼女は明らかに哀しみによって瞳の奥から涙を潤ませている。

近くで見ると、その男はどうやら高校生みたいだった。

「なんだよオメェ」

ボクを睨んだまま、そう威嚇する男を無視し、ボクはサエの潤んだ瞳を見つめた。

「春山さん、どうしたの?」

ボクがそう訊ねると、サエは震えながら微かに声を発した。

「カミウ……君」

ボクの名前を聞いた途端、男の表情が微妙に変化した。やがて、

「おい! 帰るぞ」

男はそういって、サエの右手首を掴み引っ張った。サエは、黙ったままでその場を離れようとはしない。しばらく、その男は彼女のことを引っ張り続けたが、やがて「チッ」と、舌を打ち、駅のほうへ向かって歩いていった。

その男が消え去ると、街灯に照らされたままサエは声を上げて泣き始めた。うしろを振り返ると、カナエとヨシトはまだ向こうのほうでこっちを見ている。ボクが右手を掲げ、彼らに小さく手を振ると、やがて2人は松の大木の向こう側へと消えていった。

気づけば上空はすっかり初冬の夕闇に包まれている。

時折吹いてくる北風が、なんだかいつも以上に冷たく感じられた。部活を終えた数名の生徒たちが、ボクらのほうを「チラチラ」と、見ながら通り過ぎていく。ボクは道端に落ちていたラケットケースを拾い、両手で顔を覆ったままのサエが落ち着くのを待っていた。

けれど、彼女は一向に泣きやむ気配を見せない。心にずっと溜(た)め続けていたもの。――それが一気に決壊したかのようにして、心の内側から溢(あふ)れ続けているみたいだった。

躊躇(ためら)いつつも、やがてボクはサエの震える背中にそっと触れた。

「とりあえず帰ろうよ」

と、ボクはいい、彼女の家のほうへとその背中をゆっくり押す。そして、サエが一歩目を踏み出したとき、

「カミウ君、アタシ、……どうしたらいいのか、もうわかんないよ」

そういって、涙に染まる瞳をボクのほうへと向けた。

ボクは訊ねた。

「アイツって、春山さんの彼氏なの?」

「うん、……でも、アタシ別れようと思って何度もお願いしたんだけど、……だけど、どうしても別れてくれなくて」

サエは、涙で言葉を途切れさせながら、ボクにそう告げた。

こないだKf高校の西尾と別れようとしていた朝倉トモミのことを、ふと思い出す。たぶん、サエもさっきの男に暴力を振るわれてるんだろうって、なんとなく思った。

「オレがさぁ、アイツのこと、どうにかしようか?」

ボクがそういうと、サエは首を横に振り、

「いいの。アタシがちゃんと話して彼には納得してもらうから、でもね、――」

サエは言葉を止めると、また潤んだ瞳でボクを見つめながらいった。

「どうしても、どうにもならなかったときは、またカミュ君に相談してもいい?」

ボクは黙ったままで頷いたんだ。――

西の夜空には細い三日月が浮かんでいた。

少し落ち着きを取り戻し始めたサエと、2人でしばらく住宅街のなかを歩いていると、

「カミュ君、こないだ一緒に帰ったとき、アタシにいってくれたでしょ?」

と、サエがそう小さくつぶやいた。

「なにいったっけ? オレ」

と、おもわずボクは訊ねる。

「えぇ、忘れたの? 『中1のときアタシのこと好きだったんだ』って、いってくれたでしょ?」

そういったサエが、なんだか少しだけ微笑んだように思えた。

「あぁ、そのことね」

ボクは、彼女の横顔を見つめ、しばらくしてから言葉を続けた。

「初恋はさぁ、きっともっと幼い頃だったんだろうけどね、たぶん幼稚園とか、――でも、誰かのことを『好きだな』って感じたのは、きっと春山さんが最初だったんだと思う。……いや、本気で誰かのことを、どうしようもないくらい好きになったのはね、キミがはじめてだったんだよ」

ほぼ2年間の時空を超えて、気づけば、ボクはどうしても伝えることのできなかった、あの頃の想いを彼女に告白していた。

「あのときアタシ、『だったら、いってくれればよかったのに』って、いったんだよね」

と、サエがつぶやく。そして、

「いまさら、……アタシに、いってくれないよね? その言葉は、もう、――」

そういいながら、ボクのほうへ泣き腫らした瞳を向けると、彼女はようやく笑ったんだ。
その言葉が本気かどうかは結局わからなかったけど、なんだかボクはすごく嬉しくなった。当然、そういってくれたこと自体も嬉しかったけれど、それ以上に、あの頃大好きだった可愛らしい八重歯を彼女がふたたび、こうして、いまボクの目の前で見せてくれたのだから。……大切な人の涙、もしくは、大切だった人が流す哀しみの涙を目の前で見せられて、平然としているヤツなんて、……痛いほどに胸が締めつけられないようなヤツなんて、きっと、どこにもいやしないんだから――――


【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】


【2012.05.01 記事原文】

ブログのカテゴリー文字が、な~んかチマチマしてたんで、
想いっきり大きくしてみたんですが・・・
逆に見づらいかな???

やっぱ、画質が悪いとグラデーションもキレイに表示されませんな・・・
でも。。。とりあえず暫くはコレで行きます!!
※解像度下げすぎたか・・・

さすがに今すぐにやり直す気力は無いですわ・・・



さて。。。

だいぶ前にデビッド・フォスターがサントラを手掛けた映画『君といた夏』の
挿入歌「And When She Danced」を紹介しました。


この映画でデヴィッドが提供してる楽曲はどれも素晴らしいのだが、
やっぱ一番印象に残ってるのはテーマソングとなった「Stealing Home」。。。


ずっと何年も聴きたかったんだけど、本日ようやく見つけました☆☆☆
※おそらく近いうちにYからは削除されるでしょうが・・・
まぁ期間限定公開てな感じですかね♪



なんだろう・・・?
なんで、この曲聴くと、こんなにも心が切なくなるんだろう???




Stealing Home - デビッド・フォスター
サウンドトラック『Stealing Home(君といた夏)』1988年



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Baby Come Back







1982年7月31日(土)

少し前、ボクたちは海の近くの公園に辿り着く。――

「パル、今夜って晴れるのかなぁ」
松の木陰を日傘代わりにするように、垂れ下がるその大木の枝葉の下に据えられたベンチに座ると、大きな瞳で上空を覆った真っ白い入道雲を見上げながら、川澄マレンは不安げにそうつぶやく。さっきまで燦燦(さんさん)と降り注いでいた真夏の陽射しは、巨大なかき氷のような雲塊(うんかい)の向こう側へと隠されてしまっていた。

今夜、ボクたちの地元の海岸では花火大会が開催される。
夏休みに入ってから最初の週末ということもあって、きっと多くの観客たちがこの街を訪れることだろう。当然、ウチの中学の連中も、夕方にもなれば海岸へと大勢集まってくるに違いない。――

先週の日曜日、ボクたちは正式に付き合い始めた。斉藤ミツキや大野スミカたちと4人でドリームランドに行ったその帰り際に、マレンのほうから告白され、ボクはその場で了承したんだ。


同じスイミングスクールへ通っていた小学生時代の「ボーイッシュ」なマレンに対する印象があまりに強すぎて、中学2年で久しぶりに出会った当初は、大人へと成長していた彼女の変化を、まだはっきりと認識できていなかったんだと思う。けれどあの日、遊園地でマレンと一緒に過ごしてみて、彼女が明らかにあの頃とは「別人」なのだということに、いまさらながら気づいたんだ。同時に、ボクの記憶のなかに残されていた「ボーイッシュ」な彼女の面影は、可愛らしい13歳の女の子としてのリアルなイメージによって上書きされていったのだ。――


マレンと付き合い始めてからの数日間は、教室のなかで大々的に「ボクたちは付き合っています!」みたいな雰囲気をクラスメイトたちに見せつけるのも、なんとなく気恥ずかしかったので、ボクは普段通り彼女と接しようとしていた。

けれど、どうやらマレンは違うみたいだった。
休み時間になると、ボクのそばへ微笑みながらやってきて、他愛もない話題をいろいろと振りまいては、やがて始業のベルが鳴るとともに自分の机のほうへと戻っていく。

こないだまで、ほとんど教室でまともに話したことすらなかったマレンと、こうして休み時間のたびに毎回顔を合わすことになるものだとは正直思ってもみなかった。別に、それがイヤだというわけではないんだけれど、もう少しくらい落ち着ける時間が欲しいかな? とは思う。――

夏空に浮かび上がった入道雲の輪郭線をほのかに燃やしてゆくように、雲のうしろに隠されていた黄金色(こがねいろ)の太陽が、その輝きを蘇らせる。

ボクたちは、黄昏(たそがれ)ゆく街のなかを浮遊する涼やかな潮風を頬に感じ、松林のあいだから、色とりどりの浴衣を着た大勢のカップルたちが、金色(こんじき)に照らし出された大通りを海のほうへ向かって歩いていくのを見ていた。

「やっぱ、アタシも浴衣着たかったなぁ」

と、マレンは通りを眺めながらそうつぶやくと、大きな瞳をボクのほうへ向けた。

「なに聴いてるの? パル」

ボクはヘッドフォンを片方だけ耳に挿しながら、

「あぁ、こないだ隣のアニキに借りたんだけどね」

そういって、もう片方をマレンに差し出す。彼女がヘッドフォンを右耳に挿すのをたしかめると、ボクはほんの少しだけカセットテープを巻き戻し、再生ボタンを押した。

数秒空いて、ノスタルジックな空気感を漂わせたプレーヤーの大ヒットナンバー「ベイビー・カム・バック(Baby Come Back)」のイントロが始まる。

薄っすらと和らぎながら、空の青さに解けてゆく積乱雲の隙間には、ついさっき解放されたばかりの夕陽が顔をのぞかせ始める。足元にくっきりと描き出された2人の寄り添う影を、「ベイビー・カム・バック」の柔らかなメロディがそっと優しく包み込んでいった。――

「うわぁ、キレイだねぇ」

上空で描き出される彩り鮮やかないくつもの光輪が、濃藍(こいあい)色した夜空のなかへと消えゆくたびに、マレンは何度も歓声を上げた。

目の前で大太鼓でも叩かれたような「ドォーン」という低い花火の開花音が空気を震わす。

咲き誇る巨大な光の華は、枝垂桜(しだれざくら)の様な長い金色の尾を無数に引き連れて、海の上へとゆるやかに落下していった。映し出されたあらゆる光の色を、そのセーブルカラーの大きな瞳のなかに湛(たた)えて微笑むマレンの横顔を、そっとボクは見つめる。

休み時間のたび、彼女のおしゃべりに付き合わされてしまうことには、まだ、さすがにちょっと抵抗があるけれど、まぁ、いずれはそんな関係にも慣れていくのだろう。昨日までよりも、いまのマレンのほうがなんとなく愛(いと)しく思えるのは、たぶん今夜の花火のせいだけではないような気がする。きっと、彼女自身が解き放つ天真爛漫な輝きに、ほんの少しずつボクの心が引き寄せられているからなのだ。


【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】




【2012.05.13 記事原文】

さて。気温は低めですが本当にお出かけ日和の休日となりました。
これから夕暮れ時に掛けてのドライブにお勧めなナンバーをチョイスです♪


この曲も、サビメロが非常に印象深く残ってますねぇ☆

1977年リリースのデビューアルバム『Baby Come Back』から
いきなり全米No.1大ヒットしたプレイヤーのアルバムタイトルナンバー
「Baby Come Back」です♪

久々に聴いてみて、こんなAORっぽいアレンジだったんだなぁ~と気付きます。

ホントに美しい曲ですね☆





Baby Come Back - Baby Come Back....Baby Come Back - Player
1stアルバム『Baby Come Back』 1977年


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