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未来に残したい洋楽&邦楽の名曲

70~80年代の洋楽&邦楽を中心に未来に残したい名曲&名盤を独自にチョイスするBlogです☆
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I Don't Want To Talk About It - Rod Stewart 【70年代バラード】

【70年代洋楽バラードの名曲】


I Don't Want To Talk About It






(なんだか、マムシでも出てきそうだな)

その樹林へと入っていくのは、さすがに気が引け、広場のほうへと戻りかけた、そのとき、――
茂みの奥のほうから、微(かす)かに誰かの泣き声が聞こえた気がしたんだ。おもわずボクは林道の入り口から大声で叫ぶ。

「川澄~!」

「カミュ? ――カミュ――カミュ~!」

遠くのほうで最初は確かめるように小さく、――少し空き、すぐそのあとで、何度も大きくボクの名を叫ぶ声がした。間違いない、マレンの声だ。――慌ててボクは声する闇へと走り出す。途中でビーチサンダルが枝かなんかに引っかかって片方脱げた。ソイツを拾ってボクは裸足(はだし)のままで駆け出した。――そしてまた名前を叫ぶ。

「川澄~!」

少し樹林に入っただけですぐ方向感覚が失われてしまうほど、この場所は闇が深かった。けれどもボクは彼女の声するほうへと、ただ走る。――

「カミュ! 恐いよぉ」

「大丈夫! 大丈夫だから! オレがいくから」

微(かす)かに漏れる月明かりのおかげだろうか、――なんとなくこの樹林の暗闇にも目が慣れてくる。向こうのほうにぼんやりと小さなシルエットが浮かんでいるのは、どうにかわかった。

(待ってて、――もうすぐ行くから)

「――ホントに、……こんなとこでなにやってんだよ。まったくさぁ」

ボクは、ピンクのTシャツ姿でポシェットを抱きかかえて泣いてるマレンの小さな影に、力なくそうつぶやいた。いいたいことはほかにもあったけど、まずは彼女を見つけられたことだけに、いまはただ安心しきっていた。

「広場に行こうとしたら、こっちのほうからみんなの声がしたような気がして、でも全然、……道がわからなくなっちゃって」

涙声のマレンが、か細い声を影のなかに浮かばす。

「あのさぁ、どう考えたって、こんなとこ絶対に人が夜、通れるわけねぇじゃん! それに、こんなの道じゃねえし」

「だって、――」

彼女の申し訳なさそうな声の響きより、ボクの言葉が少しだけ勝る。

「――でも、よかったよ。さっきはホント、すげぇ心配しちゃったよ。川にでも流されたんじゃないかって、さぁ」

そういってボクは、彼女のシルエットに右手を差し出す。――林道の入り口目指し、雑草に足を取られながら歩いてる最中、マレンは、ずっとボクの左腕を掴んでた。

――さっきは、あれほど暗いと思ったのに、林道から出てきてみると広場へ続く砂利道が、やけに明るく感じられた。けれど、まだマレンの右手は、ずっとボクのひじのあたりにあった。突然、その砂利道の向こうのほうに、ほんのり揺らぐオレンジ色の光が射し込む。

(あぁ、きっとキャンプファイアがはじまったんだろうな)

ボクたちは、その光のほうへと向かって歩く。
ふと、マレンがボクの横顔に訊いてきた。

「あたしのこと探しにきてくれたの? カミュ、……」

しばらく黙ってたけど、

「いやぁ、さっきトイレに行こうとして、こっち戻ってきてね、そしたら誰かの泣き声が聞こえてきたんで、てっきりオバケかと思ったら、川澄だった」

そういってボクは「アハハ」と笑った。

ようやくボクらのことを捜しにきたのであろうコーチらしき影たちが、道向こう、遠くの光のなかに、ぼやりと浮かぶ。

「怒られちゃうかな」

マレンは、少し緊張気味にそういう。

「そりゃそうだろ。――とりあえず、オレは腹の具合が悪くなって、部屋へ薬を取りにいったってことにするからさぁ、川澄は、『一緒に付き添った』って、いえばいい」

木立に囲まれた道を抜けた先、その広大な芝の広場には、キャンプファイアの炎のほかにはなにも照明装置は置かれていない。

けれど、森のほうまで果てしなく広がる芝生は、その葉先に白銀色の輝きを灯し、まるでほんのり月明かりを湛(たた)えた静かな湖のようにして、ほの白く巨大な光彩を夜風にそよがせていた。――なに気なく空を見あげる。――その瞬間、きっとボクはいままでの人生のなかで一番感動していたんだろうな。――まるで重力を無視するかのように、凄まじいほどの星の海が夜空一面を覆い尽くしていたんだ。

「すっごーい! 本当にキレイだねぇ」

うしろからマレンも、思わず驚嘆(きょうたん)の声を大空へ捧げた。
ボクはマレンの横顔を見つめる。――彼女の大きな瞳のなかに、星々の輝きが映し出されていた。

(キレイな目をしてるんだな)

夜空を仰ぎ微笑むマレンを見つめながらボクは、はじめてそう感じた。

「あ~、そうだ!」

ふいにマレンは、猫のイラストが描かれたポシェットのなかを探りはじめる。

「はい! カミュ」

と、いって彼女は小さな右手を差し出した。ボクが掌を上に向けると、彼女は赤い箱をそっと置く。

「これはねぇ、あたしが大好きなチョコなんだよ」

月の光りに照らされて、星の輝きを浴びながらマレンは笑う。

(もしかして、さっき、これを取りに戻ったのか?)

ボクは箱を開け、チョコを一粒、掌に乗せると、それを口へと運ぶ。

「どう? 美味しいでしょ?」

マレンはボクの横顔を見つめ、そう訊ねる。
ボクは彼女のほうを少し見て、チョコレート風味の甘い息を吐き出す。

「まぁ、普通、――」

「え~っ、普通のヤツより美味しいでしょ?」

マレンは少し「ムッ」としながらそういった。

「――流れ星って見たことある?」

ふいにボクはマレンにそう訊く。

「えっ、見たことないけど」

頬にチョコの形を浮かびあがらせ、まだ少しだけ「ムッ」としたままマレンは、そう答える。

「流れ星に三回願い事をすれば、その願いが叶うっていうのは有名だけどね、――『好きな人と2人きりで、流れ星を一緒に見ると、その人と結婚できるんだ』ってね、誰かに聞いたことがあるんだ」

するとマレンは大きな瞳をボクへ向け、少しだけその小さな口元を微笑ませる。――やがて「ニッコリ」笑ってささやいた。

「だったら楽だね。流れ星に願うことなんて、きっと、みんなそれくらいしかないもんね」

そして言葉を続けた。

「じゃぁさぁ、もしカミュと一緒に流れ星見たらさぁ、あたしたち結婚しちゃうのかな?」

ボクは、笑って答える。

「まぁ、さすがにそれはないんじゃないの?」

「なんで!」

ショートカットのマレンは、そういうと、また頬を少しだけ膨らませた。



【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】


I Don't Want To Talk About It - ロッド・スチュワート
6thアルバム『Atlantic Crossing』 1975年

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【Re-Edit】 Year of the Cat - Al Stewart 【70年代ポップス】

【Re-Edit】【70年代洋楽ポップスの名曲】


Year Of The Cat






1983年9月13日(火)

「……ワタシ、さっきは本当に嬉しかったんだ」

そういって田代のほうへと視線を移し、口元に喜びを湛(たた)えたままで、彼女は嬉しそうにささやいた。

「山門でね、田代君がワタシの名前を呼んでくれたから。――」

田代は割り箸を持ったまま、ずっとミチコの小さな顔を見つめ続けていた。


「ワタシもこんなに食べきれないから、シーナ君も食べない?」

ふいに、白いプラスティックで編み込まれたサンドイッチケースをボクのほうへ向け、斜め前からメイが訊ねる。

「あっ、じゃぁ」

ハムと卵が入った長方形のサンドイッチをひとつ手に取り、ボクは、それを一気に口のなかへと押し込む。

「そんなに慌てなくてもいいのに」

ほおばるボクを見つめて、穏やかにメイは笑った。

――うっとしくなるような奇声を時折、山中に響かせて、大騒ぎしながら石階段をのぼってくる複数の若い男の声が下のほうから聞こえてくる。ショウカは顔をしかめて立ち上がると、石塀の向こう側、声するほうを見下ろした。

「あっ、どうしよう! さっきの連中があがってくるよ!」

振り返ったショウカが、おもわず大声でボクらに叫ぶ。ゆっくりボクも立ち上がり、彼女の隣で長い階段の先を見つめる。たしかに今朝、円覚寺を出たあと、駐車場で殴り合った不良学生たちが、こっちに向かって石段をのぼってきていた。

しかも、あのときはまだ5人だったが、どうやら途中でほかのヤツらも合流したらしく、いまでは10人程度にその人数は増えてるみたいだ。

そのうちの2人、――ボクに滅多打ちを食らった坊主あたまと、田代が鼻っ面に頭突きを叩き込んだ男子学生は、もはや原形をとどめぬほどに大きく顔を変形させている。

「あっ! おい! ほら、あそこに『サウス』の野郎がいるぞ」――おそらくは今朝いた5人のうちの誰かが、石塀から彼らを見下ろすボクの姿に気づいたらしく、いきなり大声を張りあげた。

ボクはうしろを振り返り、なんとなく座ったままの田代の顔に目を向ける。

「どうするの? シーナ君」

隣でショウカが不安そうに声を漏らす。

「どうするもこうするもねぇだろうな。こういう場合って」

やがて、その不良連中は、半僧坊の境内へ上がってくるなり、ボクらが陣取るレジャーシートのまわりを「グルッ」と列をなして取り囲んだ。怯えるミチコのほうへ、メイはうっすら細めた視線を送る。田代はうつむき、ひざのうえに置かれた弁当箱ばかり見つめている。ボクはたじろぐショウカの隣で石塀に寄りかかって腕を組み、その連中たちを睨みつけていた。

茶髪をチックみたいなもので固めた一番体格のいい男子生徒が、ボクのほうへと鋭い視線を向けながら荒っぽい言葉を投げ放つ。

「オメェよぉ、『サウス』のメンバーらしいな。オレ、Dt中の飯島ってんだけど、ウチの後藤、――名前くれえは知ってんだろ? 後藤たちとな、ちょうど、オメェらをシめに行こうと思ってたとこなんだよ」

(後藤? あぁ、Dt中の番長ってヤツか、――)

Dt中学、――ボクたちの地元では、やたらと不良が多いことで、湘南界隈にその名が知れ渡っている学校だ。

「お前ら、Dt中のヤツら?」

ボクがそうつぶやくと、

「なに余裕かましてんだ、テメエはよぉ! 女と仲良くメシなんて食ってる場合じゃねぇんだよ! コラ」

今朝、駐車場で揉(も)めた男のひとりが怒鳴り声をあげる。そしてレジャーシートの手前に座り込むと、ランチボックスを抱えて震えるミチコの顔を覗き込んだ。すると、ソイツは「ニヤリ」と笑い、

「おっ! ここにもひとりいるじゃん。Rs小の『ゴミ女』だろ? お前ってさ。おぉ、すげぇな! なんだか有名人だらけじゃん」

と、ミチコの横顔にあざけりの言葉を吐きかけた。
ミチコはじっとうつむいたまま、両手でしっかりランチボックスを握り締めていた。彼女の細い肩の周辺には、教室で時折見かける溜め息色の失望感が、ほんのり浮かびあがっている。

メイは鋭い眼差しを、その男のほうへと向ける。――彼女も、どことなくいつものメイではない。この状況にも一向に動じる気配を見せず、よりいっそう氷のような冷酷さを体全体に浮かびあがらせている。――ボクは、隣で小さな体を強(こわ)ばらせるショウカの耳元にささやいた。

コイツらにはもう、『サウス』とか『ホワイト・クラッシュ』という程度のハッタリじゃあ、まったく効果はないってことだろう。だから、もし本当にヤバそうになったときは、『ある言葉』を大声で叫ぶように、――と彼女へ伝えたんだ。ショウカは一瞬考えたあと、ボクを見つめて小さく頷く。

「後藤」とかっていう、Dt中学現役番長の名前を聞いた途端、やたらと戦闘意欲を満ち溢れさせはじめた、こんな連中とヤり合ってみたところで絶対勝てやしないのはわかりきっている。――だけど、ボクは思い出したんだ。さっき田代がいってた言葉を、――

【彼女を守ってあげれるのはもう、ウチの学校で、……お前だけしかいないんだよ】

さっきまでは、普段、教室で一度も見せたことのないような笑顔をミチコは口元に浮かべてたんだ。メイも、ショウカも、そんなミチコのことを、なんとなく受け入れはじめてたんだ。――

コイツらがここにくるまでは。――そうやってほんの少し心のなかで膨らんだ、風船にも似た小さな喜びを、いつだって必ず誰かが無理やり萎(しぼ)ませていく。理由はよくわからないけど、きっとミチコはそうやって、小学校のときから、ずっといろんなヤツらに心を萎(しぼ)まされ続けてきたのだろう。

別に、彼女を守る義理なんてものはボクには最初からありゃしない。だけど、なんで彼女が安らげる時間や空間ばかりを、どいつもこいつも奪っていこうとしやがるんだ。彼女がいったいお前らになにをした? これ以上、彼女からなにかを奪っていこうってんならよぉ、義理も理由もそんなもん関係ねぇ。お前ら全員、ボクが、――

突然、田代が立ち上がり、ミチコの脇にしゃがみ込んでニヤけてる男の鼻先を、正面から両手で「掌底(しょうてい)打ち」のように突っ張り、押し倒す。そして制服の肩越しに横目でうしろを振り返り、震える声でボクに訊ねた。

「本当なんだよな、――シーナ、さっきの言葉、……」

(さっきの言葉? あぁ、――『もし本気でヤったら、オレなんかよりぜんぜん強い』って話か?)

ボクは田代を真剣な瞳で見つめ返し、頷き、そしてつぶやいた。

「あぁ、間違いねぇよ。オレなんかよりも、ぜんぜん、……」

その言葉を背中で聞くや、躊躇(ちゅうちょ)なく田代は、鼻を押さえて倒れ込む男子生徒の胃袋のあたりを踏み台にし、うしろで腕組む飯島ってヤツ目がけて駆け出すと、おもいっきりその分厚い胸板を突き飛ばす。――上背のある飯島だったが、ポケットに両手を突っ込み、ぼんやり突っ立てた2人の不良学生ともども「富士見台」があるほうへ折り重なって、ひっくり返った。

その瞬間、ボクはレジャーシートに座ってるメイとミチコのあいだを飛び越え、すぐ手前にいた男子生徒の爪先を、かかとで上から踏み潰す。そのまま下腹部に右ひざを深々と突き刺した。――前のめりになったソイツのうしろ襟を引っつかみ、地面にあたまから引き倒すと、その背後に隠れてた、今朝、駐車場でヤり合ったばかりの坊主あたまと、ふたたび視線を交わした。

「久しぶり!」

と、叫ぶなり、ボクは正面から頭突きを食らわす。――坊主あたまが鼻を押さえるとほぼ同時、――すぐ隣に立っていた男子学生の右ひざを外側から、かかとでおもいきり蹴りつけ、「くの字」にかがんだソイツの顔面をさらに右足の甲で蹴りあげる。――そこで一呼吸入れた。

(あと7人、――か)

「テメェ!」

さっき押し倒された飯島ってヤツが起き上がり、そう叫ぶと正面から田代に躍(おど)りかかった。――Dt中の何人かの生徒たちが田代の制服を四方から引っ張っている。――ボクは一番手前にいたヤツの襟足をおもいきり鷲づかんだ。――が、両側から誰かに肩口を押さえつけられると、掴んだままのソイツの髪の毛を数本引きちぎりながら、うしろ向きに土の上へと引き倒されてしまう。

(あーぁ、ヤベェなぁ)

ひたすら両ひじであたまを抱え込むボクは、3人の男どもから、わき腹や胸元を蹴られたり踏みつけられたりしていた。一度地面に倒されてしまえば、もはやどうすることもできない。ほとんど起き上がるチャンスなんてものは与えてもらえやしない。



【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】



【2012.03.20 記事原文】

名曲の定義は個々さまざまであろう。


しかし、大別すれば2種類。
聴いた瞬間に感動をもたらす「即効性」のある名曲。



そして聴き終わった後、
しばらく頭からフレーズやメロディが離れなくなる「持続型」の名曲。


アル・スチュワートの「Year Of The Cat」は、
間違いなく後者に該当する名曲である。


儚くも力強いピアノのイントロは、
今もなお、ボクの心の中に留まり続けている。


※テンポは違うが、ピアノ・イントロの感じは、
サカナクションの「ネイティブ・ダンサー」っぽい。

サカナクションは、最近の邦楽アーティストのなかでは、
音楽を良く知っているなぁと感じた…余談ですが。。。






Year of the Cat - Year of the CatYear Of The Cat - アル・スチュワート
7thアルバム『Year Of The Cat』 1976年
アルバムお薦め度「持っていても良いでしょう」


【Re-Edit】 If I Don't Have You - Orleans 【70年代バラード】

【Re-Edit】【70年代洋楽バラードの名曲】


If I Don't Have You





I selected "If I Don't Have You"
from 4th album "Waking and Dreaming"
of Orleans released in 1974.



1983年9月13日(火)

鎌倉市北部と横浜市南部との境に位置する、標高約160メートルの大平山(おおひらやま)から、少し低い約140メートルの天台山(てんだいさん)を結ぶルートは、通称「鎌倉アルプス」と呼ばれ、鎌倉市内にいくつか定められたハイキングコースのなかでは、最長となる天園(あまくさ)ハイキングコースが、その山中の尾根筋に沿って整備されている。

建長寺で、もっとも高台にある半僧坊は、このハイキングコースへの入り口にもなっていた。――

【せっかくここまできたんだから、十王岩まで行ってみようよ】

天狗たちの見つめる長い石階段を、ボクたちが山門のほうへ、くだっていこうとしかけたとき、ショウカが急にそんなことを提案しはじめ、ボクたちは黙ってそれに従った。そしていま、時折、血管のように太い木の根がうねりながら足元に露呈した土褐色のダート路を、こうして歩いている。

「十王岩」――そう呼ばれる巨石の近傍(きんぼう)からは、どうやら鎌倉市内が、もっともキレイに一望できるらしい。

――半僧坊の本殿裏から、細い石段をしばらくのぼっていくと、「勝上献(しょうじょうけん)展望台」に到着する。この場所から、今日はじめてアクアブルー一色で満たされた湘南の海の青さを目にしたとき、なんだか少しだけ「ホッ」としたように思う。

ハナウタを歌いながら先頭を行くショウカの少しうしろを、メイとミチコが並んで歩く。そんな2人の背中を見つめるボクの数歩うしろを、田代はゆっくりついてくる。

高木に繁る緑の葉々の隙間から、眩輝(グレア)によって拡散させられた放射状の光輝が燦々(さんさん)と溢(あふ)れ返っている。その木漏れ日の眩(まばゆ)さは、この山に繁茂(はんも)する無数の樹々が吐き出す霧状の吐息を、ほんのり乳白色に霞(かす)ませているように感じられた。――

たしかにそれは、天から降り注がれた一瞬の微笑みのように神々しくもあり、何百年もの長きに渡って、この場所に棲み続けてるのであろう精霊たちの口元からこぼれ落ちた、淡い息吹きのようでもある。

(しかし、もしこのグループに林ショウカがいなかったら、ほとんど会話なんてものは成立しなかったんだろうな。――まぁ、メイと田代が、極端に無口過ぎるだけなのかもしれないけれど)

さんざめく葉々の揺らぎを木漏れ日の下に聴きながら、ボクは急に立ち止まり、うしろを歩く田代が隣に並ぶのを待つ。――怪訝(けげん)そうに、横目で視線を投げかける田代へ向かってボクは微笑んだ。

「――お前ってさぁ、普段、どんな音楽聴いてるの?」

別にそんなことを知りたかったってわけじゃない。本当は、さっき山門の楼上(ろうじょう)から小山ミチコを見つけたとき、どうして田代がいきなり彼女の名前を呼んだのか、――そっちのほうの真相が知りたかった。しかし田代は、そのとき意外なアーティスト名を口にする。

「ボクは、高中正義が好きかな」

「高中?」

高中正義の代表曲、「ブルーラグーン(Blue Lagoon)」くらいなら、なんとなく知っていたけれど、アルバムを聴いたことは一度もなかった。思わずボクは訊ねる。

「お前、エレキが好きなのか?」

すると、田代は口元にほんの少しだけ笑みを浮かべながらいった。

「高中の『虹伝説』ってアルバムが好きでね。ボク、いつかハワイに行ってみたくって、――このアルバム聴いてると、なんとなく浮かぶんだ。そんなハワイの情景が」

田代が笑顔を見せたことにも驚いたけれど、なにより彼の口から「ハワイ」という言葉を聞かされて、つい、ボクは田代の横顔に微笑みながら告げたんだ。

「オレもね、いつか行きたいなって思ってるんだよ。――ハワイにね」

ボクは田代と並んで落ち葉に埋もれた土肌の上を歩く。――なんの気なしに訊いた音楽の話が、ボクらの関係をうっすら変化させたのかもしれない。やがて、本当に訊きたかったほうの質問をボクは口にする。

「お前さぁ、さっき小山さんを見つけたときにさ、なんで彼女の名前を呼んだんだ? 別に変な意味じゃねぇけど、彼女と話したことなんてないんだろ?」

田代はじっと黙り込み、前を行くミチコの背中を見つめた。そして風のせせらぎのなかへ、やんわり言葉を溶け込ませていった。

「ボク、小山さんとは小学校の三、四年で一緒のクラスだったんだ」

「えっ? あぁ、そういえば同じ小学校だったな、お前たちって」

うつむく田代の横顔に、ボクはつぶやく。

「彼女とは一度も話したことはないけど、――でも、ボクはずっと見てきた。いままで彼女がどんなことをみんなからされてきたのか、を。――でも、変わると思ったんだ。中学校に入れば、きっと、そんな生活も終わるんだろうって思ってた。けど、――もっとヒドくなった。それに彼女は、もうすぐ本当にひとりぼっちにさせられてしまうんだ」

ボクには、そのとき田代がなにをいおうとしているのか、まだよくわからなかった。



【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】



【2012.10.09 記事原文】

オーリアンズって世間的にはほとんど評価されてないバンドですケド。。。
個人的には好きなんですよねぇ♪

何とな~く自分たちの出来る範囲で音楽を作ろう!みたいな
ある種「収まり感」のあるサウンドが心地よいのですね☆

そんな彼らが1974年にリリースした4thアルバム『Waking and Dreaming』から
ほのぼのとした温かみを感じられる優しいバラードナンバー
「If I Don't Have You」をチョイス♪

ちょっと人恋しくなる肌寒い秋の夜更けには。。。
ジワジワと効いてきますなぁ。。。






If I Don't Have You - Waking & DreamingIf I Don't Have You - オーリアンズ
4thアルバム『Waking and Dreaming』 1974年

【Re-Edit】 Diary - Bread 【70年代ポップス】

【Re-Edit】【70年代洋楽ポップスの名曲】


Diary






1983年9月13日(火)


メイに見つめられ、ショウカはうつむく。――そして、ひざのあたりへ小さく言葉をこぼしていった。

「そうだね、中学に入って、アタシたちがイジメたりされなくなったのは、結局、アタシは上級生たちにチヤホヤされながら、ずっと守られてきたからで、メイは、――」

ショウカの言葉を引き継ぐようにメイは青空へささやいた。

「そう。アタシには、――お兄ちゃんがいたから」

その小さな足音は、やがて回廊の角で止まった。――ボクは静かに振り返る。――そこには小山ミチコが恥らいながら立っていた。

メイは手招きするよう、右手の指先を微(かす)かに動かす。そして微笑みながら、そっときれいな薄い富士型の唇を開いた。

「おいで、ミチコ」

メイにそう促され、ミチコがゆっくり歩いてくる。
ボクはうしろを振り返り、ミチコと逆側の柱の角に立っていた田代へ向かって叫ぶ。

「お前もさぁ、いつまでも、仏頂面してそんなとこに突っ立ってねぇでこっちこいよ」

田代は、相変わらず鋭い視線を「チラッ」と向け、やがてうつむきながら「のそのそ」と近づいてきた。ショウカだけは、まだなんとなく納得できないような表情を浮かべている。――

「ほかのみんなとは? はぐれちゃったの?」

高欄(こうらん)を背に、脚を斜めにしながら座り込むメイが、ミチコのほうへ涼やかな視線を向ける。ミチコは少しだけ躊躇(ためら)ってから、その小さな唇を動かした。

「さっき、鶴岡八幡宮を出るときに、『ちょっと待ってて』っていわれて、ワタシずっと待ってたんだけど、みんな戻ってこなかったから、――だから、グループで行く予定だったお寺をね、ひとりでまわりながら、みんなのこと探してたんだけど」

彼女がグループのほかのメンバーたちから『置いてけぼりにされたんだろう』ってことは、ボクらにも容易く想像がつき、そして、なによりミチコ本人も、はっきりわかっていたんだろうとは思う。

一階の基礎から天井へと伸びる円柱にもたれたボクは、壁板に施された「火灯窓(かとうまど)」と、いわれる格子状の桟(さん)が巡らされた木窓の手前に正座を崩して座ってるミチコに訊ねた。

「小山さんのグループって、ほかに誰がいたの?」

ミチコはふわりと、ボクのほうを振り返り。そして、

「ワタシのグループは、女の子が3人だったから。女子が池山さんと川上さん、それに男子が、栗原君と佐藤君」

と、小さな声で答える。

(ミチコのグループに川上ナオもいたんだ、――)

すると、うっすら口元に笑みを浮かべ、ミチコはみずからのつま先のほうへ小さく言葉を吹きかけた。

「たぶんね、置いてかれたんだと思う。ワタシ、――電車のなかで、ずっとみんなが小声でなにかを耳打ちしてたからね。きっと、そういうことを話してたんだろうなって思ってた」

ボクの左隣でひざを抱えていた田代が、ミチコの横顔を見つめた。ひとしきり、ミチコはただぼんやりと、つぶらな瞳でつま先を見つめてたけど、回廊をそよぐ清涼な風の影を目で追うと、また小さな唇をうっすら開いた。

「きっと、……『そうなるんだろうな』ってことはわかってたんだけどね、行く前から、――だからぜんぜん気にしてないの。そんなのいつものことだから、――」


【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】



【2012.03.24 記事原文】

こちらもブレッド4枚目のアルバム『Baby Im a Want You』から
得意のフラワーちっくなアレンジ「diary」をどうぞ♪
どことなく初期のオフコースっぽいメロですね☆






Diary - Baby I'm a Want YouDiary - ブレッド
4thアルバム『Baby Im a Want You』 1972年



【Re-Edit】 The Last in Love - J.D. Souther 【70年代バラード】

【Re-Edit】 【70年代洋楽バラードの名曲】


The Last in Love





1983年9月13日(火)

「――アタシに『欲しい』っていえば、なんでも買ってくれるって、――だから、みんなアタシのまわりに集まってきてたんだってこと、ぜんぜん気づいてなかったわけじゃないんだ。だけど、『きっと、それだけじゃないんだろうな』って思ってた。たったひとつ、なにかを買ってもらえなかったからっていうだけで、いままで買ってもらったものまですべてが清算されちゃうなんて誰も思わないでしょ?」

ショウカは、右手人差し指で涙を押さえ、潤んだ瞳をボクへと向ける。

「さらさら」と、たゆたい続ける艶(つや)やかなショウカの長い黒髪に、プラチナのティアラを冠しているような白銀色(しろがねいろ)した反照がぼんやり浮かびあがっている。そんな眩(まばゆ)い光輪の輝きに、ボクはおもわず心を奪われた。――

『人間は、みずから宿した色味だけで、これほどまでに美しい光彩を放てるものなんだ』ってことを、きっと、いままで知らなかったせいなんだろう。竹内カナエも、艶(つや)やかで長い黒髪だけれども、ショウカほど明瞭な「天使の輪」を頂(いただ)きに浮かばせていた、――と、いうような記憶はない。

「それで、結局どうしたの? 林さんは、その子に自転車を買ってあげたの?」 

ボクは、涙の雫(しずく)が順番に、ショウカの丸いあごの先端あたりで水滴を溜め込んでいく様(さま)を見つめながら静かにそう訊ねる。――あとから頬を伝ってきた涙に押され、先にあごにとどまっていた哀しみの結晶がティアドロップ状に、ショウカのスカートの上へと「ポタリ」こぼれ落ちてゆく。

「ううん、……アタシ、結局、親にはお願いできなかった。もし、買ってもらったものを友達にあげてたってことがバレちゃうと、次から、なにも買ってもらえなくなっちゃうって思ったから」

ショウカはそういって、また右手人差し指で涙を押さえた。ボクらが座り込む回廊の影を、しとやかにお香の匂いを漂わす南風が吹き抜けていく。ショウカは、ゆらぐ前髪をかきあげると、頭上にせり出した扁額(へんがく)の文字を見上げた。――そしてつぶやく。

「――でもね、次の日から『もう、アタシと話するのはやめよう』って、なんだかみんなのあいだで、すっかり決まっちゃってたみたいでね。それからは、もう誰も話しかけてくれなくなった。――ううん、一方的にいろんなことはいわれてたけど、それはもう会話じゃなかった」

その言葉が風にさらわれていくのを見届けると、メイはショウカを見つめながら、小声でささやきはじめる。

「辛かったでしょ? まだ小学校2年生だったとすれば、なおさらのこと、――」

メイの言葉に促されるようにショウカは、声をあげて泣きはじめた。

「だって、アタシはみんなのために、――みんなが喜んでくれると思ったから、……それなのに、なんで『ドケチな外国人女』とか、『とっとと国に帰れ』とかっていわれなきゃならなかったの?」

メイは静かに立ち上がり、泣きじゃくるショウカの前にかがみ込む。そして、優しくショウカの長い黒髪を胸のなかへと抱き寄せた。

「ワタシにはアナタの気持ちがよくわかるの。きっと、ワタシだけにしかわからない。ワタシたちが、いままでどれほどの哀しみを心に溜(た)め続けてきたのかなんて、きっとほかの誰にもわからない」

メイは、一途なほどに心情を込めた慰めの言葉で、ショウカが抱える心の傷をいたわるように癒そうとしている。
ショウカはメイの胸に抱かれながら、そっと唇を動かす。

「でもね、メイ、――アタシは、きっとメイとは違うと思うよ。だってアタシ、どうしてもみんなのことが許せなくってね、だから上級生たちにお金をあげてお願いしたんだよ。『みんなのことをおもいっきりイジメて』って、――だからアタシも同じなんだ。ホントは、みんなのことをどうこうなんて、絶対いえないんだよ」

その言葉を聞いて、メイは一瞬黙り込む。――回廊に佇むボクたちを柔らかく包むよう、また少しだけ南風がそよぐ。――やがてメイは、ほんのりと香煙(こうえん)くゆる、その風のなかで静かにつぶやいた。

「ワタシにはわかる。アナタの気持ちのすべてが、――だから、いまショウカが、ものすごく後悔してるってことも、――『上級生にそんなこと頼まなきゃよかった』ってね、アナタが、ずっと後悔し続けてきたってことも、ちゃんとワタシにはわかってるからね」

ショウカはメイの顔を見つめ、彼女の胸に寄りかかり、子供のように泣き崩れた。
回廊の角に立ちながら、田代は、そんなショウカが細かくゆらす背中のあたりを見つめていた。



【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】



【2012.05.04 記事原文】

J.D.サウザーの最も有名なヒットナンバー「You're Only Lonely」・・・
が入っている3rdアルバム『You're Only Lonely』から、
敢えて今回はソッチをはずして、ニコレット・ラーソンに提供した
バラードナンバー「The Last in Love」をチョイス♪

いいメロだぁ。。。ニコレットver.のほうがピアノアレンジが好きだけど☆
ご本人ver.のほうが歌声にハマってる気がする☆☆







The Last In Love - You're Only LonelyThe Last in Love - J.D.サウザー
3rdアルバム『You're Only Lonely』 1979年





【Re-Edit】 Just When I Needed You Most - Randy VanWarmer 【70年代バラード】

【Re-Edit】【70年代洋楽バラードの名曲】


Just When I Needed You Most






1983年9月13日(火)

「うわぁ! 『すご~い』――とまでは、いわないけどね」

ショウカは、「高欄(こうらん)」と呼ばれる太い丸太の手すりに手を置いて、山門の楼上(ろうじょう)を「グルッ」と一周している回廊から、さっきボクたちが辿ってきた石畳のほうを見下ろしている。

まばらに観光客の姿はあるものの、建長寺の広い境内には、いまだにほとんど人の気配は感じられない。山寺を覆うように森羅(しんら)する、老木たちの枝葉の隙(すき)を縫いながら、緑々しいほど鮮度を保った濃厚な空気を街のほうへと運び続ける海風が、山門の回廊に描き出された陰影のなかを、時折、激しく吹き抜けていく。

ボクのすぐ目の前に立ち、山門の正面に広がる音のない、ゆるやかな時間の流れを眺め続けているショウカは、霊験漂う鎌倉の、厳(おごそ)かで芳醇(ほうじゅん)な南風に、制服のスカートを、ひざのあたりでそよがせる。

ずっと胸元のウォークマンが再生してるバラードばかりを集めて作ったカセットテープは、A面最後に録音されたランディ・ヴァンウォーマーの「アメリカンモーニング(Just When I Needed You Most)」に差しかかっていた。清々しいアコースティックバラードの音色に重なる甘い歌声が、ここから眺める早秋(そうしゅう)の青空の色とほどよく似合う。

山門の二階を囲う回廊の正面側中央に設けられた「桟唐戸(さんからど)」と呼ばれる観音開きの木製扉に背中をもたれかからせてボクは座っていた。そんなボクの左側、メイは細い両脚を伸ばしたままで、長月(ながつき)にゆるぐ風を見つめる。田代はその向こうの角に立ち、ぼんやり下を覗き込んでいた。

何気なく見上げたボクの頭上には、四方を波模様の縁で装飾され、右側に「建長興」、左側に「国禅寺」と三文字づつ立体的に金色の文字を浮かばせる巨大な扁額(へんがく)が、ほんの少し斜め前方に傾いて、せり出すように掛けられている。

その扁額上部の両端が固定されている、ボクらを深い影で包み込むこの山門の巨大な屋根の軒下には、外周を二重に取り囲むよう、無数の垂木(たるき)が等間隔でビッシリと並んでいた。

そして壁面と軒とが交わる接合面には「斗栱(ときょう)」と呼ばれ、軒裏を水平方向にはしる横柱の荷重を受けるための四角い三つの斗(ます)と、その台座となる両端がカーブした肘木(ひじき)が組み合わさった部材が三組づつ、下から段々状に外側へと向かって組み込まれていた。その幾何学的な構造形状が、なんだか「ものすごく美しいな」と思った。

ボクのほうへと、しばらく小さな足の裏を見せていたショウカが、やがてこちらを振り返る。彼女の長い黒髪は、回廊の影を吹き抜けていく南風に撫でられながら、「ゆらゆら」そよぎ続けていた。

「さっき、田代君が『お金を取られた』って、いってたときにね、なんだか思い出しちゃったんだ。――むかしのこと」

ショウカは、突然、口元に小さなえくぼを浮かばせながらそういった。
ボクは右耳のヘッドフォンを外し、彼女を見上げた。そしておもわず、

「むかしのこと?」

と、聞き返す。
ショウカは、脚を斜めに折りながら回廊の上に座り込み、肩ひざを立てながら寝そべるように座っているボクの顔を見つめた。

「うん、アタシ、小学校2年のとき、横浜から転校してきたんだけど、それまでは、ずっとアメリカンスクールに通っててね、だからあまり日本語とかうまく話せなかったの。最初の頃は、『いい方が変だ!』とか『話し方がおかしい』ってバカにされてたんだけど、ある日、いっぱい集めてたキティちゃんのシールをね、クラスの女の子にあげてから、みんなアタシと仲良くしはじめてくれるようになったの」

そうささやくショウカを見つめ、ボクはなんとなくメイのほうへと視線を向ける。メイも座ったままで、ただ黙ってショウカの話を訊いている。

「――それからね、学校帰りに、よくみんなで文房具屋さんとかに行ったりしてね、アタシ、ほんとにいろんなものを買ってあげてた。――みんなすごく喜んでくれてたんで、アタシもすごい嬉しくなっちゃってね。けど、そのうちだんだんと要望がエスカレートしはじめて、『ぬいぐるみが欲しい』とか、『靴が欲しい』とかって、いい出してね。……そのたんびにお母さんにいって、それを買ってもらってから、友達にあげたりしてた。だって、みんなの喜ぶ顔を見るとね、アタシ、本当に嬉しくなれたから」

ショウカは懐かしむようにそういいながらも、小さな2つの瞳に寂しさを漂わせていく。

「――でも、ある日、友達が『自転車が欲しい』って、いってきて、アタシ、『さすがに自転車は、いま自分も持ってるから、すぐには買ってもらえないよ』って、笑いながらいったの。――そしたらね、『だったらアンタとはもう友達やめる』って、……いきなりその子がね、おっかない顔していってきた。アタシ、そんなの嘘だと思った。だって、いつもあんなに喜んでくれてたのに、たったそれだけのことで、……アタシが自転車を買ってあげないってだけのことで、『友達をやめる』って、いい出すなんて考えもしなかったから」

やがて、その小さな瞳にショウカは透明な涙を湛(たた)えはじめる。

ボクは、寝そべっていた状態から身を正し、ショウカの前であぐらをかくよう座りなおした。少し離れたところにいるメイは、なにもいわずに、うっすらと目を細めながらショウカの横顔を見つめていた。

【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】



【2012.05.13 記事原文】

「ランディ・ヴァンウォーマー」って言われても「誰だっけ?」となるでしょう。
「アメリカン・モーニング」って言われて「ん?何だっけ?」くらいですかね?

まぁ、聴けば「あっ!コレね!」という感じでしょうか?
たしか何かのCMで流れてましたね♪


ランディ・ヴァンウォーマーが1979年にリリースした
1stアルバム『Warmer』 から、爽やかな初夏にピッタリのナンバー
「Just When I Needed You Most」をチョイス♪

何故か邦題は「アメリカン・モーニング」ですケド・・・
歌詞の内容からすれば、全くそんな抽象的なイメージを歌ってませんが・・・
単に「ものすごく一緒いて欲しいのに、ある朝、彼女が出て行った」というだけの話です☆

ボクはこのアルバムを持ってないので、
さっきAmazonで視聴しましたが、
まぁソコソコな作品ではないでしょうかね?






Just When I Needed You Most - Just When I Needed You MostJust When I Needed You Most - ランディ・ヴァンウォーマー
1stアルバム『Warmer』 1979年




【Re-Edit】 Still - The Commodores 【70年代バラード】

【Re-Edit】【70年代洋楽バラードの名曲】


Still





1983年9月13日(火)


マレンと過ごした日々の記憶は、日常のほんの些細な光景さえも、ほとんどすべてが薄いフィルム状に記録され、一枚一枚積み重りながらボクの心のどこかにしまわれている。

きっといままで生きてきた14年間の人生で、心に焼き付けられたありとあらゆる彼女以外の想い出なんかより、マレンの面影が映し出されるたった一年分の記録映像のほうがはるかに膨大で、ときどき心のなかで勝手に再生されはじめてしまうそれらの映像は、いつだって、なんだかやけに青みがかって見えるんだ。

その青さは、そのときボクが彼女に抱いた感情をあらわしている色なのだろうか? 
青、――はたしてボクはあの頃、心でなにを思いながら彼女と過ごしていたのだろう?

(そういえば、すっかり蝉の声がしなくなったな)
ほんの数週間まで街の空気を振動させ続けていた「夏の風物詩」が、潔く鳴りやんだ深緑の影をボクは見上げた。――

やがて鎌倉学園の正門の奥に、カーキ色した壁に囲われた建長寺の外門(天下門)が見えてくる。ほとんど記憶にないだけのことで、実際、ボクは小学校の遠足や、七五三ついでに何度か鎌倉の寺院巡りをしてはいる。

記念写真に残された鶴岡八幡宮と鎌倉大仏以外、ほかの寺院のことなんて、本当によく覚えてないけれど、唯一、建長寺だけは、うっすらと記憶のどこかに、その映像が残されてたんだ。たしか、長い石階段があって、そのずっと上のほうに天狗だかの彫刻みたいなのがあったような、――

ウォークマンからは、ライオネル・リッチーがソロに転向する前まで所属していたソウルグループ、コモドアーズの「スティル(Still)」が流れている。

70年代の終わりにリリースされたこの曲をボクは、リアルタイムで聴いたことがないけれど、ダイアナ・ロスとデュエットし、数年前に大ヒットしたバラードナンバー「エンドレス・ラブ (Endless Love)」にも通じる、美しいストリングスのアレンジが印象的なソウルバラードだ。

最近は、すっかりシンセサイザーでストリングスみたいな音を鳴らすような音楽ばかりが目立つようになってしまっているけれど、そうした奥行きのない音楽に、本当の弦楽器が奏でる強弱やビブラートなんてものは当然ながら表現できるはずもない。つまり所詮はまったく情感が篭っていない、単なる機械の音なのだ。そんな平べったい音になんて、人の心は決して動かされやしない。――ボクは、「スティル」を聴いてるうちに「いつか、この旋律をピアノで弾いてみたいな」と、なんとなく思った。


外門を通り抜けると、そこは建長寺の専用駐車場になっていた。すでに何台かの観光バスが停車している。

「なんかさぁ、なんとなく興醒めしちゃうわよねぇ。この人工的な景色、――」

そういって、林ショウカは口元にえくぼを浮かべた。

「まぁ、仕方ないんじゃない? 北鎌倉あたりは、そもそも駐車場なんてほとんどないような場所だからさ」

と、いって、ボクはヘッドフォンを外す。すると、――

「シーナ」

と、うしろから、田代が小さな声でボクの名を呼んだ。おもわず振り返ると、

「悪いんだけど、……いくらか貸してくれないか? 必ず明日返すから」

田代はそういって、ボクの顔を一瞬、「チラッ」と見つめた。

「あぁ、そういえば、結局、アイツらから金を取り返せなかったんだもんな。まぁ、オレもそんなに持ってないけど、別にいいよ」

ボクが制服の内ポケットを探り、財布を取り出そうとした、そのとき、――

「いいよ、シーナ君。アタシが出すよ」

ボクの隣でショウカが笑った。そして田代の前まで歩いていくと、

「さっき、あの不良たちからお金を取り返せなかったのは、半分、アタシのせいなんだし、それに今日、お母さんから、かなりお小遣いもらってきてるからさ」

驚く田代を見つめながら、ショウカは微笑み、カバンから茶色いブランド物の財布を取り出した。そして一万円札を引き抜くと、

「別に返さなくてもいいよ」

そういって、田代のほうへそっと差し出す。ボクとメイは黙ったままで、そんな2人の姿を見つめていた。すると、田代が小さな声でつぶやく。

「いや、――いいよ、林さん」

そしてボクのほうへと、相変わらずの鋭い視線を送るなり、

「シーナ、2000円くらい貸してもらえるかな?」

と、ふたたび小声で頼んできた。ボクはなにもいわず、財布のなかから2000円を抜き出して、田代に手渡す。札入れを覗き込むと、残りもちょうど2000円しか入ってなかった。

「えぇ? なんで? 別にアタシが払うっていってるんだから、いいでしょ?」

ショウカは、少しだけ「ムッ」としながらそういう。

すると、田代はショウカを見つめ、珍しくはっきりとした口調でつぶやいた。

「林さん、……そのお金は林さんが自分で稼いだものじゃない。林さんのお父さんが稼いだお金だ」

「それってさぁ、どういう意味なの? だからなによ! せっかくアタシが、――」

と、おもわずショウカが顔色を変えた、すると、――

「ショウカ、――田代君のいってることは間違ってるの?」

メイは切れ長の二重まぶたを細め、静かにその薄い唇を動かす。その涼やかな瞳を、少し唇を尖らせながら見つめ返したショウカに、メイはそっと優しく微笑みながら、

「ショウカが善意でそういってるのは、ちゃんとワタシにもわかってる。けれど、そんなふうに軽々しく誰かにお金をあげてはいけないと思うの。そんなふうにして、なんの理由もなくお金をもらっても、相手の人は決して喜んだりしない」

メイが静かにそういうと、しばらくショウカは黙っていたが、やがて右手の細い指先で風にひらめく一万円札紙幣をじっと見つめ、

「じゃぁとりあえず、ここの拝観料くらいはみんなの分を払わせて。さっき、アタシのせいでみんなに迷惑かけちゃったんだから、……そのくらいならいいでしょ?」

と、いい残し、そそくさと総門のほうへと駆け出した。ショウカのうしろ姿を見つめるメイと田代の横顔にボクはささやく。

「まぁ、いいんじゃないの? 拝観料くらいだったらさ。オレも一応、さっき林さんのことを助けたんだしね」――

総門をくぐり、すでにみんなの拝観料を支払っていたショウカから拝観券を手渡されると、左右にさほど背の高くない中低木の樹々が植えられた石畳の通路をボクらは歩きはじめる。両側の桜の木立に茂る枝葉の向こうには巨大な山門(三門)の屋根が見えている。建長寺の山門は、さっき円覚寺で見たものと比べ、構えも造りもどことなく重厚で、ひとまわり以上大きいようにも思えた。

何本もの円柱状の支柱で支えられ、吹き抜けとなっているその山門一層目を見上げつつ通り抜けると、左側奥の四本の支柱で囲われている部分から上階へと、急な『のぼり階段』が続いていることに気づく。

この山門一階吹き抜け部の支柱構造は、縦方向へ伸びる円柱のあいだを、ボクの背丈ほどの高さで横方向へとはしらされた横柱が補強材としてつないでいる。――

「楼上(ろうじょう)」と呼ばれる、山門の二階へ行くためには、まず、その横柱に渡されている床板に、『茶室のにじり口』程度の四角く開けられた開口部から、垂直に近い角度の階段を数段のぼる。そして、わずかなスペースしかない床板から、さらに上階へと続く、手すり付きの階段をのぼっていくみたいだった。

「これって、上にあがれるのかな?」

ショウカは山門を見上げながらつぶやいた。

「まぁ、階段があるってことは、のぼれるんだろうけどね」

ボクがそう答えると、

「じゃぁ、ちょっとのぼってみようよ!」

そういってショウカは、ボクらのほうへ「ニコッ」と微笑み、両頬にイタズラっぽいえくぼを浮かばす。ボクがメイに目をやると、メイはひとりで山門の濃墨(こすみ)色した影のなか、白く掠(かす)れた枯れ色の支柱を覆う染みを見ていた。――






【ALOHA STAR MUSIC DIARY / Extra Edition】



【2012.03.19 記事原文】

最近、問題児な娘ニコールが大いにハリウッドゴシップ誌を賑やかしている
ライオネル・リッチーがメインヴォーカルを務めていた「コモドアーズ」。
彼らの1979年のシングルヒット「Still」をご紹介。


ソウルバラードを代表する珠玉のナンバーです。






Still (Single Version) - Lionel Richie: The Definitive CollectionStill - コモドアーズ
アルバム『Midnight Magic』 1979年



Masterpiece of the Western music of the 70s/70年代洋楽の名曲
If you want to cry/泣きたいとき
If you want to be healed/癒されたいとき
Drinking alcohol/お酒を飲みつつ
While driving/ドライブしながら
If you want to Fever/血が騒ぐ
Masterpiece of the Western music of the 80s/80年代洋楽の名曲
80's Ballard masterpieces/80年代バラードの名曲
80's Rock masterpieces/80年代ロックの名曲
80's Pops & AOR masterpieces/80年代ポップスの名曲
70's Dance masterpieces/70年代ダンス系の名曲
Masterpiece of the Western music of less than 70s/70年代未満洋楽の名曲
Less than the 70's classic Ballad/70年代未満バラードの名曲
Less than the 70's classic Rock/70代未満ロックの名曲
Less than the 70's classic Pops & AOR/70代未満ポップスの名曲
Masterpiece of the Western music of more than 90s/90年代以上洋楽の名曲
Ballade more than of the 90s/90年代以上バラードの名曲
Rock more than of the 90s/90年代以上ロックの名曲
Pops & AOR more than of the 90s/90年代以上ポップスの名曲
90's Dance masterpieces/90年代ダンス系の名曲
Masterpiece of the Japanese music/未来に残したい日本の名曲
Dedicated to sweethearts/恋する二人に捧ぐ
Spend the night with sadness/悲しみと共に過ごす夜
Nostalgic feelings/ノスタルジックな想い
In the room which shines with the morning sun/朝日が差し込む部屋で
While looking at the setting sun in a hotel/夕陽が見えるホテルで
Memories of youth/若かりし日々の思い出
If you want to fuss/タテノリしたい気分なとき
If you want to feel the Rock/かなりRockな気分
Masterpieces of Instrumental/インストルメンタルな名曲
 
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