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未来に残したい洋楽&邦楽の名曲

70~80年代の洋楽&邦楽を中心に未来に残したい名曲&名盤を独自にチョイスするBlogです☆
未来に残したい洋楽&邦楽の名曲 TOP > 【 70年代 洋楽の名曲 】

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【Re-Edit】 炎の叫び - ヴァン・ヘイレン/On Fire - Van Halen 【70年代ロック】

【Re-Edit】【70年代洋楽ロックの名曲】


On Fire





I selected "On Fire"
from 1St album "Van Halen" of - Van Halen released in 1978.


さて!
ヴァン・ヘイレンのデビューアルバムのプロデューサーは、
ドゥービー・ブラザーズの主だった作品を手がけてきたテッド・テンプルマン氏でございます。

まぁ、当ブログも、だいぶ先にドゥービーの名曲を特集することになりますけど。。。
(まぁ、もしこのまま過去に紹介したページを辿っていった場合。ということですけどね)
ドゥービーをまったく知らない人のために敢えて書くとすれば、
このバンドの音楽性は、フロントマンとしてマイケル・マクドナルド氏が加入する前と、
氏の加入後、・・・というように分類される訳なのです。

すなわち、(前)ウェストコースト・ロックから(後)AOR路線への劇的な変容、
と、よく巷ではいわれておりますわな。

まぁ、たしかにマイケル氏加入後、バンドとしては最大のヒット曲で、
かつグラミー賞受賞曲「ある愚か者の場合(What a Fool Believes)」が生み出されるのですけど、
正直いえば、後期の楽曲的にはドゥービーも、この曲くらいしか代表曲を生み出せておりません。

さて。話はヴァン・ヘイレンに戻り、・・・
プロデューサーのテッド氏は、1974年のデビューアルバム『Van Halen(炎の導火線)』
から、バンドブレイクのきっかけとなった「ジャンプ(Jump)」が収録され、
1000万枚超えセールスを記録したダイヤモンド・ディスク、
1983年リリースの6Thアルバム『1984』までを立て続けにプロデュースしております。

まぁ、ヴァン・ヘイレンにせよサミー・ヘイガー氏が加入前と、
氏の加入後。という話になってしまいますけど、・・・

まぁ、バンドサウンド最大の変化は、いわずもがな『1984』から
大々的にフューチャー導入されたシンセサイザーなんでしょうねぇ。

と、まぁものすごく長い前置きではございましたが、
ボク個人的には、ヴァン・ヘイレンというバンドの本質は、
デビュー&2ndアルバムにすべて集約されていると思っております。

過激にして超絶、平凡なギタリストに才能の違いというものを
まざまざと見せつけるかのようなエディのギターワークが聴けるのは、
正直この2作品しかございません。すなわち、この2枚のアルバムにこそ、
彼らのハードロックバンドとしての本質が内在しておるものと考えております。

では、1Stアルバム『Van Halen(炎の導火線)』から、
のちにマイケル・ジャクソンの「今夜はビート・イット (Beat It)」で唸らせることになる
イントロリフにも通じるよ~な、まさに「これぞロック」な尖ったギタリフがカッコええ
「炎の叫び(On Fire)」をどうぞ♪ どうぞどうぞ! 
ん?このフレーズってなんだか妙に懐かしい!



【2012.03.12 記事原文】

せっかくなんで ヴァン・ヘイレン1978年リリースの
デビューアルバム『Van Halen(炎の導火線)』
からもう一曲!

ベースが唸るクールなナンバー「On Fire」をどうぞ♪






On Fire - ヴァン・ヘイレン
1stアルバム『Van Halen(炎の導火線)』 1978年
アルバムお薦め度「一度聴いてみたら?」

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【Re-Edit】 アトミック・パンク - ヴァン・ヘイレン/Atomic Punk - Van Halen 【70年代ロック】

【Re-Edit】【70年代洋楽ロックの名曲】


Atomic Punk




みなみな様。Rakiです・・・
久しくご無沙汰いたしております。

気づけば年の瀬・・・しかしながら、あいも変わらず雑務に追われる日々。
なかなかブログの更新もままならない状況が続いておる次第です。

さて。
当ブログも「未来に残したい名曲~」と銘打って、
それなりに相当数の楽曲をご紹介してきたのですけど、
無論、初期にご紹介した楽曲に関してはリンクが生きてるかどうかも確認せず、
ぶっちゃけ放置して参りましたので、ここいらで再編がてら一度振り返ってみたいかな。と・・・
そのついでにですねぇ。アルバムお勧め度も、ちゃんと全曲付記してこうとかな!
と思っております☆

とはいっても、今しばらくは仕事に追われる日々が続きますので、
更新間隔が再びあいてしまうやもしれませぬ。
まぁ、何卒ご了承願います。。。

さて。当ブログを立ち上げて最初にご紹介したのが、
1978年にリリースされたヴァン・ヘイレンのデビューアルバム『Van Halen(炎の導火線)』から、
冒頭のスクラッチのようなブラッシングとそれに続くヘヴィなリフが唸る
「アトミック・パンク(Atomic Punk)」でございました。

ん?なんでこの曲を「未来に残したい名曲~」でファーストチョイスしてしまったのだろうか?
まぁ、よくわかりませんけど、きっとそういう気分だったんだろうと思いますわね☆



【2012.03.12 記事原文】

さて。
お引越し1発目は、ヴァン・ヘイレンのデビューアルバムからイってみましょう!


ヘヴィなリフがかっこいい「Atomic Punk」をどうぞ♪


以前は、YouTubeの動画を貼り付けてましたが、
あんまり意味ないので、リンクのみにします。。。






Atomic Punk - ヴァン・ヘイレン
1stアルバム『Van Halen(炎の導火線)』 1978年
アルバムお薦め度「一度聴いてみたら?」


【Re-Edit×2nd】 うつろな愛 - カーリー・サイモン 【70年代ロック】

【Re-Edit×2nd】【70年代洋楽ロックの名曲】


You're So Vain





Epi-28

 その当時、ボクが何歳だったか覚えていない。が、小学校の頃に一度聴いただけで、メロディが鮮明に焼きつけられてしまった洋楽曲がある。それからかなりの歳月が経っていたけど、なにかの拍子に時々、いまでもそのメロディのフレーズがこころのなかで蘇ってたんだ。……

 1983年8月6日(金) 中学3年の夏休み
 午後9時少し過ぎ

 夏休みに入り、ついこないだ、ふと、イトコの兄貴の部屋でその曲のことを思い出し、ボクはアコギでそのメロディのフレーズを弾いて聴かせた。

「あのさぁ、こんな感じの曲って知ってる?」

 ギターを弾きながら兄貴に訊ねると、

「あぁ、カーリー・サイモンの『うつろな愛 (You're So Vain)』だべ、ミック・ジャガーがバックコーラスで参加してるっていうよぉ」

 と、兄貴はセーラムを咥えながら、そういって笑う。

「兄貴は、そのアルバムって持ってないの?」

 ボクはようやくタイトルが判明したその曲を一刻も早く聴いてみたかった。けれど、結局、兄貴はそのアルバムを持ってはおらず、その代わり、なぜかローリング・ストーンズのアルバム『刺青の男(Tattoo You)』をレコードプレーヤーにセットした。

 最近、このオープニングトラック「スタート・ミー・アップ(Start Me Up)」のライブPVをテレビで観たけれど、ストーンズの楽曲のなかでは個人的にはかなり好きだ。――といってみても、ボク自身、これまでストーンズのアルバム自体、ほとんどまともに聴いたことはない。

 彼らの楽曲中、ボクが一番好きなナンバーは、唯一、兄貴にダビングしてもらったアルバム『女たち(Some Girls)』に収録されてた「ミス・ユー(Miss You)」。――

 この抑え気味に纏(まと)わりつくようなミディアムスローのダンスナンバーで、カッティング気味に弾(はじ)かれてるリズムギターがすごくイカしてたし、なんといっても間奏パートで挿入されるハミングのアレンジがアンニュイでやたらカッコよかった。

 それ以外のストーンズ初期の有名なナンバーに関しては、正直あまり聴いたことがない。 
 ボクは寝転がると、音楽雑誌のページをめくり、咥えていたセブンスターの先に兄貴のジッポで火をつけた。けれど兄貴の部屋は暗すぎて、相変わらずに、ほとんど字なんて読めやしなかった。――

 翌日、ボクは朝起きるなり慌ててレコード店へと向かう。
 地元のレコード屋を数軒まわってみたのだが、この「うつろな愛」が収録されたカーリー・サイモンのアルバム『ノー・シークレッツ(No Secrets)』がリリースされたのは、すでに10年も前のことらしく、どの店にも置いてなかった。けれど、どうしても諦めきれずに仕方なく、隣町のデパートまで出掛けていき、ようやくそれを見つけることができたんだ。

 早速、家に帰ると、LPをレコードプレーヤーにセットする。
 ボクは3曲目に収録された「うつろな愛」の手前の溝に針を落とす。やがてくぐもったベース音が爪弾かれると、静かにアクセントをつけたアコギのストロークがインし、4小節目の中間からキックとピアノが乗っかってきた。

 両手で鍵盤の和音コードを叩くようにしながらカーリー・サイモンが歌いはじめる。――その瞬間、本当に心が震えてたんだ。このせつないメロディに触発されて、一気に過去の様々な記憶が蘇りはじめたからだ。

 いったん針を持ち上げ、アンプのボリュームをあげると、ふたたび「うつろな愛」をあたまから聴きはじめる。なぜこのメロディが、幼かったボクの心にこれほど鮮明に焼きついてしまってたのかはよくわからない。

 けれど改めて聴いてみると、たしかにすごいメロディなんだろうなって思う。決して美しく感動的なバラードソングというわけではないが、圧倒的なほどの悲哀が随所に滲(にじ)み、そのメロディからは、茫然たる情念みたいなものが絶えず解き放たれている。サビのあたまで重苦しいマイナーコードから、一瞬だけ「カラッ」としたロック調に転じるが、ふたたびサビの終わりからは2番のAメロへと繋がるマイナー調に戻っていく。

 揺らぐ哀愁の余韻に浸るボクは、どうしてもいまだにマレンの面影を、すぐ心に映し出そうとしてしまう。「失恋」という感情がどういうものかなんてこと、いままで全然わからなかったけど、きっとようやく気づいたのだろう。

 彼女と過ごした日常の些細な出来事のひとつひとつが、出会った頃まで一気に巻き戻されていき、そのときは別に気にもしなかったような、風になびいたマレンの長い黒髪のしなやかな毛先の動きさえもが、鮮明に心のなかに映し出されていってしまうんだってことを。――けれど「この記憶の映像は現実なんかじゃない」ってことを、同時に心は少しづつ受け入れていく。

 それが完全に意識のなかに受け入れられてしまったとき、きっとじんわり深い哀しみは、虚しさとなってはっきり認識されはじめるのだろう。「その人がいない世界に自分がいる」ってことにようやく気づかされるのだ。

 同じように思えてたけど、後悔は、哀しみとはまったく別の感情だ。
「原因が自分にある」と、わかってしまってるからこそ、人はそのときの行為や言動をずっと後悔し続ける。

 そう、これは決して哀しみではない。きっと自分自身に対する苛立ちや憎しみなのだ。――――



【2012.03.20 記事原文】

ボクが幼い頃に、いとこが持っていたカーリー・サイモンのアルバム。
いとこの家で2回程度聴いただけなのに、40年近く経った今でさえ、
強烈にそのメロディが心に刻まれている名曲「You're So Vain」。


しかし、当時は誰が歌っていたのかも分かないままに数年が過ぎ、
だいぶあとになって、ようやくその曲のタイトルを知ったのである。


当時4歳くらいのボクが、なぜ、この曲に
それほどまでのインパクトを受けたのか。。。


「ホンモノ」が持っている力は、年齢に関係なく、
ダイレクトに突き刺さってくるものなのだなぁと思う。


果たして今の若い人たちは、この曲に何かを感じるのだろうか?
もしくは「古臭いね!」と簡単に吐き捨てるのだろうか??


ん?Wikiに書いてあるけれど、この曲って
バックコーラスにミック・ジャガーとポール・マッカートニー
が参加してたの?あ~確かにミックは歌ってるねぇ!






You're So Vain - No SecretsYou're So Vain(うつろな愛) - カーリー・サイモン
3rdアルバム『No Secrets』 1972年
アルバムお薦め度「☆名盤です☆」

【Re-Edit/2nd】 アイム・ノット・イン・ラブ - 10cc 【70年代バラード】

【Re-Edit/2nd】【70年代洋楽バラードの名曲】


I'm Not In Love






Epi-25

 1983年6月13日(月) 中学3年の一学期
 夕方の午後3時半前

 ヘッドフォンから流れはじめたイギリスのバンド、テンシーシーの「アイム・ノット・イン・ラブ(I'm Not In Love)」――

 その淡く儚げな旋律は、生ぬるい空気をしっとり湿らす梅雨空が生み出す時間の流れと違和感なくシンクロし続けている。

 小雨そぼ降る学校帰り、曲が終わるとボクは左耳に挿してたヘッドフォンを外し、隣を歩くマレンに訊ねた。

「そういえばさぁ、お母さんの検査結果ってどうだった?」

 それは、もしかしたら単に太陽を遮る薄曇りの空のせいだったのかもしれない。――でも、いつもとは少しだけ様子の違う彼女のよそよそしい態度に、なんとなくボクのほうから「そう訊かなきゃいけない」ように思えてきたんだ。

「うーん、まだはっきりとは、いってくれないんだけどね。……」

 マレンはヘッドフォンの一方をボクに手渡しならそういった。水色の傘で顔は隠れていたけれど、きっと彼女は、ずっとうつむきながら話しているんだろうな、と思った。
 やがて少し時間を置いて、

「――でも、やっぱりちょっと入院するみたいなんだよ」

 と、マレンは弱々しい口調でそうつぶやく。

「えっ! そうなんだ、……でもさぁ、ウチの親父も、ついこないだ入院してたしねぇ」

 無理やり明るくそういってはみたけれど、さほど慰めにもならないような、そんな言葉くらいしかボクには思い浮かばなかった。

(こんなこといわなきゃよかったな)

 と、いってしまってから少しだけ後悔する。――

 マレンは、こないだはじめて「結婚」という言葉を口にした。彼女がどの程度ホンキでいっていたのかはわからない。別にそのことを深く考えたりはしないんだけど、なんとなくその言葉の「重み」みたいなものだけが、残響として、いまだにボクの心のどこかでこだまし続けているのは確かだ。

「もし、マレンと一緒に暮らすんであれば、それならそれで構わない」と、思いながらも、永遠に彼女と一緒に暮らすことに対しては、いますぐ即答することができなかった。「即答してもいいかな」と、思える瞬間は何度もあったけど、結局は、その答えを意味なく先延ばしにしようとしている。

 あの日、「結婚」という言葉のなかに含まれたリアルな未来に触れたとき、ある種の拒絶反応が起きたのだ。なんだか自分の未来を一瞬、ものすごく間近に感じてしまったんだ。――

 中学を卒業してからの自分のことなんて、いままでなにも考えたことなどはない。ましてや「将来、なにをするか」なんてことは、もっとずっと先に考えるものだと勝手に思ってた。だから、あのとき感じた感覚は、「未知なる未来からの逃避」、……もっと厳密にいえば「みずからの人生を、みずからで決断することからの逃避」だったんだろうと思う、たぶん、きっと。――

「だからさぁ、このあと、家帰ったらお母さんの入院の準備とかいろいろ手伝わなきゃいけないのよねぇ」

 マレンは、ため息とともに言葉を吐き出す。

「どのくらい入院するとかってわかってんの?」

 と、ボクは傘で隠れた彼女の横顔に訊ねた。

「うーん、そうねぇ、……でも長くても10日間くらいだとは思うんだけど」

 マレンは左の掌を空にかざしながらそう答えると、ちょっとだけ雲を見上げて水色の傘をたたみ、ようやく今日はじめてボクのほうをちゃんと見つめた。そんな彼女の大きな瞳には、不安と哀しみの色が同時に浮かびあがってた。

(きっと大丈夫だよ!)――そういうべきなんだろうと、ボクはそのときとっさに思った。 
 けれどそんな言葉じゃ、いま彼女が抱えている不安をすべて消し去ることなんてできないだろうな、とも思っていた。――やがて、

「あっ、そうだパル! 今年の夏休み、ディズニーランドに連れてってよ」

 と、マレンは急に、少しだけ笑顔を浮かべてそういうと、また、足元の水溜りを見つめた。

「あぁ、別にいいよ」

 ボクは、無理して微笑む彼女の横顔を見つめ続けていた。

「なんか、ここんとこお母さんのことがちょっと心配だったんでさぁ、もしね、お母さんが退院したら、すんごく楽しいことがやりたいんだよねぇ。もうとにかくハジけたいんだよぉ。だから、とりあえずはね、まず『ディズニーランドには絶対行く』ってもう決めたんだ。わかった? パル、絶対行かなきゃダメだよ?」

 ボクは黙って頷いた。――

 ――最近、いや中3になってからだろうか。彼女はボクのことを以前のように「パル」とは呼ばず、名前を「ちゃん」付けで呼ぶようになったんだ。まぁ、彼女以外、誰もボクのことを「パル」などとは呼んでなかったし「なんでパルなの?」と、いろんな人から聞かれるのにもなんだか疲れてたんでちょうどよかった。

 そもそも「渋谷のパルコが好きだから――」なんて冗談に決まっているのに、それをすっかり真に受けた彼女もちょっと問題だとは思うんだけど、……

 このところ、ほとんど間違わなくなっていたけれど、今日にかぎってマレンは中3になってから呼びはじめた「カミュちゃん」じゃなく、ボクのことを、むかしみたいに「パル」って時々呼んでいる。

 ボクのほうから、なにか違う話題を探さなきゃと思ったけれど、マレンが無理して『いつもの通りの彼女』を装っていることが痛いくらいに感じられ、なんだかものすごくせつなくなった。そして、ボクは彼女のことを、とにかく無性に抱きしめたいと思ってたんだ。

 それはクリスマスの夜のときとは明らかに違う感覚なんだろうと思う。哀しみを抱え込んだ、いまの彼女を救えるものは、きっと安易な慰めの言葉なんかじゃない気がしたんだ。

「ポツリ」――やがて、雨粒がひと粒、頬に当たる。
 結局、彼女を抱きめることも慰めることもできぬまま、足元の路面がだんだんと黒い粒状の染みで重たく覆われていくのを、ただボクは眺めていた。濃い灰色の雲を見上げてマレンがつぶやく。

「絶対だよ! ディズニーランドだからね」

「いいよ。わかった。ディズニーランドでもドリームランドでも、どこでも行こうよ」

「んもう! ちゃんとディズニーランド行くんだからね。……ちゃんと絶対一緒にきてね。カミュちゃん、……」

(やっと『カミュちゃん』って、呼んだな)

「わかったよ、――」

 当然、マレンのお母さんの容態とディズニーランドが同じ「重み」なわけなどない。でも、いまの彼女にとって、ディズニーランドに行くことだけが唯一の心の拠りどころなんだろうな。「その年齢はもう大人だ」と、ボクが勝手に思ってるだけで、彼女はまだ、たかだか15歳の少女に過ぎないのだ。

 マレンがいま、もう一度ホンキで「結婚して欲しい」と、この場でいったのならば、きっと「いいよ」って、すんなりいえそうな気もする。だけどボクからは、その言葉を彼女に伝えることがどうしてもできない。

「いつか結婚しようね」って冗談ぽくでも、もしいえば、少しはマレンが救われるんだろうなって、……ずっと思っているくせに、――――




【2012.03.23 記事原文】

せっかくなんで「Artists United Against Apartheid」
の参加にクレジットされている何人かのアーティストの名曲を
ご紹介していきたいと思う。


まずは 10ccの3rdアルバム『The Original Soundtrack』から
コーラスアレンジが斬新な彼らの代表曲となったバラード
「I'm Not In Love」をどうぞ♪






I'm Not In Love - テン・シー・シー
3rdアルバム『The Original Soundtrack』 1975年
アルバムお薦め度「持っていても良いでしょう」

【Re-Edit】青春の輝き - カーペンターズ 【70年代バラード】

【Re-Edit】【70年代洋楽バラードの名曲】


I Need To Be In Love






Epi-19

 1983年9月10日(土) 中学3年の二学期
 2時限目が終わった休み時間

 ボクにはまだ「愛」という感情が、自分をどう変えてしまうものなのかはよくわからない。「恋」というものならば、なんとなくわかるような気もするけどね。――「好き」であることとはまったく別の、近くて遠いような距離感。……明日も会えるはずなのに、いまだけは離れたくないと願う、抑えられないほどのわがままで孤独な焦燥感。――もし本当にそれが「恋」だとするならば、それはあまりにも苦しいものだ。

 中学3年になる前の春休み、川澄マレンのために作った曲。――特にタイトルなどつけてなかったその曲を、「一生大事にするね」と、彼女はいった。去年のクリスマス、――あのとき彼女に対して抱いた、心が徐々に締めつけられてくようなほろ苦い感覚。――

 たぶん、それが「恋」なのであろう、せつなさにも似たその想い。あの素直な胸の苦しみを、わずか数行程度に吐き出してしまえば済むはずだったんだ。何度も自問し、それに自答してみたけれど、すでに彼女に曲を送ってしまったいまでさえ、あの歌詞の内容がボクの本心だったかどうかはわからないままだ。……

 でも、きっと80%くらいは本心だったんだろうと思う。彼女への想いが、一瞬メーターを振りきってしまうことも何度かあったけど、いつも100%彼女のことだけを考えているわけでもなかった。だからきっと平均すれば80%くらいなんだろうな。ってなんとなく思うんだ。――

 中学3年になると、川澄マレンとはクラスが離れてしまった。
 互いのクラスのあいだには四つの教室が挟まれていた。階段をあがって一番手前にボクの教室、そしてもっとずっと奥のほうにマレンの教室があった。

 休み時間や体育の授業で彼女が廊下を通るとき、うしろの鉄製扉にはめられたガラスパネルの向こうから、いつだってマレンは小さく手を振ったり舌を出したりていた。そんなときはボクも、ちょっとだけ掌(てのひら)を彼女のほうへ向けるようにしながら笑って応えてた。――そして前方の扉を通り過ぎる際、彼女は決まってうしろを振り返り、ガラスの向こうから大きな薄茶色したいつもの瞳でもう一度、必ずボクのことを見つめてたんだ。――

 ウォークマンからは、カーペンターズの儚いバラードナンバー、「青春の輝き(I Need To Be In Love)」が流れている。ボクが幼い頃、はじめて好きになった洋楽曲は、カーペンターズの「トップ・オブ・ザ・ワールド(Top of the World)」と、ママス&パパスの「夢のカリフォルニア(California Dreamin')」、その二曲だ。……ママス&パパスのレコードはいまだに持ってないけれど、小学生のとき買ってもらったカーペンターズのベストアルバムは、中学に入ったいまでもたまに聴いている。

 まだそんなに長く生きてるってわけじゃない。けれど、彼らの歌を聴いてると、郷愁心を煽(あお)られるような、なんだか甘酸っぱい懐かしさに心の奥がくすぐられる。とにかく、やけにセンチメンタルな気持ちにさせられてしまうんだ。――

 9月に入ってからは、昨日くらいまで、ずっとすっきりとしない天気が続いてた。けれど今日は久しぶりに湘南の空は清々と晴れ渡っている。揺れ動く白波は波間に無限の影を生み、白銀色した陽光が、蒼い水面(みなも)に「キラキラ」と煌(きら)めく。大きな窓ガラスの向こうに広がる静かな海を眺めて、ボクはずっと思い出してたんだ。

 振り返ったマレンが、笑顔で入り口のガラスパネルの向こうからボクのことを見つめてた、あの日々のことを。――たしかにボクらは、何気ない日常のなかで互いの存在の大きさに気づきはじめ、時々2人がずっと寄り添い生きてく未来を笑って語り合ったりしながら、――そして、喜びや悲しみを同じ分量づつ分け合いながら、ボクらなりに精一杯、淡く、せつないほどに光輝く青春の日々を、ともに過ごしてきたんだろう。――

 9月になっても、依然として真夏の暑さはずっと続く。
 それはまるで彗星が引き連れる長く伸びた軌跡のよう、この街の上空に、もうしばらくはただよい続けることだろう。南側の窓からは、うっすらと潮の香りが風に紛れる。ボクはぼんやり教室のうしろの扉に目をやった。川澄マレンの嬉しそうな笑顔が、もう二度とガラスの向こう側に映し出されやしないことなどわかってるのに、……いや、この学校のどこを探してみたって、彼女の笑い声を見つけ出すことなんて、もう二度とできやしないんだ。

 ボクらがつき合いはじめてから、ちょうど一年が過ぎようとしていたあの日、マレンはボクの前から本当にいなくなってしまったのだから。……

 彼女と過ごした一年足らずの時間のなかで、ボクらが交わした二回のキス。――あのクリスマスの夜、マレンに抱いた「恋」とでも呼ぶべきまったく不慣れな感情を、結局、面と向かって言葉では伝えることができないままにボクは彼女を失った。――いや、悪いのはボクのほうだ。――そんなことなどわかってる。

 けれど、たとえそれがカセットに吹き込まれたものだったとしても、ボクの想いを曲にして彼女へ渡せたことだけが、いまとなってはせめてもの救いだ。

――――ボクはいま、生まれてはじめて誰かに対する愛(いと)しさってものを感じ、その愛しい誰かの面影に、絶えず心を引き裂かれている。――――

 心の内側で湧き起こる欲望や衝動と、心の外側でそれを隠し平静を装う理性的な自分とがひたすら感情のせめぎ合いを繰り返す。――ほかのあらゆる現実を忘れさせてしまうほど、そのことだけに心が捕らわれてしまう。内と外、どちらが本当の自分なのかまったくわからなくなってしまうこと、……もしくは、この衝動と理性がせめぎ合っている状態こそが、きっと「恋しい」って気持ちなのだろう。

 いままで当たり前のようにして目の前にいた人が、ある日からいなくなってしまった風景のなか、やがて時間は微かにただようその人の移り香までもを現実と中和させながら、ゆるやかに、――ゆるやかに、――だんだん薄めつつ、あとかたもなく透明にしてゆく。
 その人の存在を日々の暮らしでまったく感じられなくなったとき、残された記憶のなかにボクたちは、その人の面影を見出そうとしはじめるのだ。記憶は音を増しながら鮮明な色彩とともに心のなかで繰り返し再生されてゆく。何度も再生され続ける映像に映し出されたその人は、なぜなんだろう、……いつだって、ずっと笑顔だ。

 なにもマレンと、もう二度と会えなくなったわけじゃない。でも、ボクらのあいだに生み出された現実的な距離感よりも、引き離された心の距離感のほうが遥(はる)かに、いまは強く感じられてしまう。

(なぜあんなことをいってしまったんだ、……)

 後悔ばかりが胸の内から湧きあがり、ため息となり吐き出されてく。こぼれ落ちてく憂愁(ゆうしゅう)が現実を溶かすかのよう、彼女のいない日常の風景にぽっかり穴を開けていく。心のなかに刻み込まれた彼女の笑顔は、ボクの意思とは無関係にひたすら再生され続ける。それを止めることなどボクにはできない。いや、たぶん、……きっと誰にも止められやしないだろう。

 もし「愛する」ということが「恋する」ことより遥かに苦しいものならば、誰かを愛した瞬間、いまのボクはこの世から存在しなくなってしまうに違いない。――きっとそこにいるのは、別の自分に支配された、いまのボクなのだ。…………



【2012.03.23 記事原文】

ちょっと登場が遅かった気もするが、
70年代といえば、やはりポップスの先駆けとなったカーペンターズ!

兄妹の関係で、ここまで売れたのも珍しいデュオ。


ヘレンも「一番好きだった」と言う名バラードで、
日本でもドラマに使用され、カーペンターズを知らない世代にも
一躍その存在を知らしめた「I Need To Be In Love(青春の輝き)」
をチョイス♪






I Need to Be In Love - A Kind of HushI Need To Be In Love(青春の輝き) - カーペンターズ
7thアルバム『A Kind of Hush』 1976年




【Re-Edit】 スモーク・オン・ザ・ウォーター - ディープ・パープル 【70年代ロック】

【Re-Edit】【70年代洋楽ロックの名曲】


Smoke on the Water





Epi-18


 1983年4月19日(火) 中学3年の一学期
 夕方の午後3時過ぎ

 放課後、――
 ボクは音楽室へ向かっていた。校舎を繋ぐ三階の渡り廊下から西のほうを眺めてみると、海沿いの街並みが一望に見渡せる。そのずっと地平の先、箱根の山々の向こうには、ほぼシンメトリーな美しいシルエットを描いた富士山が、まだ残雪を冠したままにそびえていた。富士山はボクの家のベランダからも見えるけど、駅の北口にいま建設中の商業施設が完全にできあがる頃には、ほとんどがその建物の陰に隠れてしまうことだろう。

 さっきまで小雨がパラついていた渡り廊下を通り抜けてく夕風があまりに清らかで心地いい。この吹き抜けの通路は、ボクがこの学校で、唯一「好きだ」と思える場所かもしれない。――

 敷地のなかに三棟連なって並び建つ、一番北側の校舎三階に音楽室はある。一度だけ中1の音楽の授業で合唱曲を歌わされたことはなんとなく覚えているが、それ以外でこの部屋に行ったという記憶はない。そもそも中学時代、ボクがなにも部活動をしてなかったせいもあるんだろうけど、文化系のクラブに所属している部員のほか、放課後、この北館に用事がある生徒なんてほとんどいなかった。

 音楽室の入り口扉のガラス窓からなかをのぞき込む。数名、部員らしき学生の姿が見える。どうやら彼らは吹奏楽系の楽器を手入れしているようだった。けれど、竹内カナエの姿はそこにはない。と、そのとき、隣の音楽準備室のほうからアコースティックギターの音色が聴こえてきた。ボクは音楽準備室のほうへと向かい、ノックもせずに横開きの扉を開け放つ。

 が、あまりにレールのすべりがよすぎたせいで、鉄製枠に扉の縁がおもいきりぶち当たり「バーン」と大きな音を、ひとけのない北館三階の廊下じゅうに響き渡らせる。

(これじゃぁ、まるで道場破りか討ち入りだわな、……)

 顔は知っているけど名前までは知らない同学年の男子生徒ら数名がギターを手にしたままボクのほうを振り返り、一斉に驚きの表情を浮かべた。彼らと談笑していた竹内カナエも、思わず、

「えっ、どうしたの? シーナ君」

 と、いきなりボクが現れたことに少し驚く。

「まぁ、……なんとなくね。どんなとこなのか見たくなってさ」

 部屋へ入ると、ボクは音楽準備室のなかを見まわしながら彼女に答えた。黒い布カバーに包まれた吹奏楽系と思われる楽器に混じって、数台置かれた大きなアンプの隣にエレキギターやベースが数本づつ並べられており、中央付近にはドラムセットまで置かれている。まるで、いますぐにでも、この場でライブができてしまえそうな設備が整っていた。

「へぇ、この学校ってドラムまであったんだ」

 ドラムセットの前で立ち止まり、ボクは思わず感嘆の声を漏らした。

「あぁ、なんだか、むかしからあったみたいよ。でも最近、うちの部員にもほとんど叩ける人がいないんだけどねぇ」

 と、カナエはアコースティックギターをひざに抱えたままで、静かに答える。

「ふーん、すごいんだねぇ」

 ボクはハイハットを人差し指の爪先で何度かはじく。
 そして部屋の隅へと歩いていき、何本かあるうちのエレキギターのなかから一本引っ張りあげる。それはかなり年季の入った『リッケンバッカー』だった。

「もし弾きたければ弾いてもいいよ」

 座ったままでボクにピックを差し出してカナエは微笑む。オープンで何度かダウンストロークしてみると、どうやらチューニングは狂っていないようだ。ようやくボクの存在にも慣れてきたのか、ほかの男子生徒たちも円陣を組むよう椅子に座り、お互い顔を見合ってタイミングを計り、ギターで曲を弾きはじめた。

 カナエはちょっと前傾姿勢で椅子に座って少し足を開き気味にし、ひざのうえにギターを抱えていた。長いストレートの前髪を右のほうだけ垂れ下げながら、耳のうしろにかけた左の黒髪越しにクールな一重の視線をギターのネックあたりに向けている彼女。その姿が、なんだかやたらと様(さま)になっていた。――

 どうやらビートルズの「イエスタデイ(Yesterday)」をギターの重奏用にアレンジし、彼らは演奏しているようだ。カナエはリードギターでメロディパートを弾いていたが、出だしの数音、アルペジオで弦をはじいただけですぐにわかった。彼女は本当に驚くほどギターが上手い。ボクは腕を組み、しばらく彼らの演奏に聴き入っていた。――

 夕暮れを舞う浜風が、また降り出した春雨(しゅんう)の微粒を窓のほうへと吹きつける。「パチパチ」と、ガラスをはじく雨粒の微かな律動にボクは目をやる。

「シーナ君って、なにが弾けるの?」

 音合わせの休憩中、カナエが笑って話しかけてきた。

「あぁ、たぶん指がもう動かないんだけどね」

 手にしたリッケンバッカーで「スモーク・オン・ザ・ウォーター(Smoke on the Water)」のイントロリフを弾きながらボクは照れ笑いを浮かべた。急にカナエは椅子から立ちあがり、部屋の隅に立てかけられてた黒いケースを手に戻ってくるなり、なかからベースを取り出して、微笑みながらボクを見つめた。

「シーナ君、ちょっとこっちにきて」

 彼女は棚からシールドケーブルを二本選ぶと、巨大なアンプが並べられている窓際のほうへとボクをクールな眼差しで誘(いざな)う。そしてシールドをギターとベース、それぞれに接続してから入力プラグをマーシャルアンプのインプットジャックへ差し込んだ。

 電源を入れるとすぐ、「ヴゥーン」と、低周波の低い通電ノイズが唸りはじめる。左右の鼓膜を小刻みに震わされ、「これはきっと相当なワット数なんだろうな」と思いつつ、ボクは巨大アンプの下に組み込まれたスピーカーを眺めた。

「さっきの、もう一回弾いてみて」

 振り向くとボクを見つめてカナエはいった。

「えっ? 『スモーク・オン・ザ・ウォーター』?」

 思わず聞き返す。

「そう。もう一回弾いて」

 そうカナエに促され、ボクはふたたびリッケンバッカーを手にすると、「スモーク・オン・ザ・ウォーター」のイントロ・リフを弾きはじめた。――瞬時にマーシャルの巨大アンプは、部屋の空気を「ブワッ」と揺さぶり、凄まじい音圧で一気にボクの弾いたギター音を外へと押し出す。やがてカナエのベースラインがボクのリフに重なってくると、重低音が弾丸みたいに背中を叩いていった。――

 その残響が音楽準備室の窓ガラスを「ビリビリ」揺さぶる。――ボクの家にあるポータブルアンプとは、まったくもって次元の違う凄まじいほどの出力、もはやこれは単なる音ではない。音振動の衝撃波にカラダを直撃されているような感覚だった。

――――これが、……ライブの音なのか、―――― 

 ボクは、大音量で室内の空気を揺さぶり続けるこの巨大アンプの前に立ち、それまで感じたことのない快感と興奮に酔いしれていたんだ。

「じゃぁ、オレがリズム入れようかな?」

 そういって、ひとりの男子生徒がスティックを手にしながらドラムセットの丸椅子に腰かける。ボクらはふたたびイントロから「スモーク・オン・ザ・ウォーター」をセッションしはじめる。ボクの奏でるリフに、イントロ3ターン目で16ビートのハイハットが刻み込まれ、4ターン目でスネアの打音が響き出す。そして5ターン目からキックとカナエの重いベースラインが乗っかってきた。――

 それはものすごくシンプルな音だった。けれど、それは紛れもなくバンドサウンドだったんだ。実際に大音量で演奏してみれば誰でも絶対にわかるはずだ。たしかに、音楽に言葉なんていらないんだな。って、――

 けれど、ボーカルが入るAメロ直前になって、ギターを弾くボクの手がふと止まる。

「オレ、……この曲ってイントロしか知らないんだよね。つうか歌詞も知らないし」

 カナエに向かってそういうと、

「まぁ、それが普通なんじゃないの?」

 と、カナエはクールな一重を薄く細めて「フッ」と笑った。――――




【2012.03.14 記事原文】

イマサラながら感はありますが、
まだ当ブログで一曲も選曲していなかったので、
まとめてディープ・パープルを数曲チョイスしときます。


エレキフリークじゃなくとも必ず一度は弾いてみたであろう
世界で最も有名なギターフレーズ「Smoke on the Water」♪
ロックのビギナーバンドにとっては入門書みたいなもんすかね。


ハードさを追求してない「だらだら感」が良いのかなぁ?


まぁ、本当にイマサラですけどね。。。
でも・・・忘れた頃にふと聴くと、相変わらずクールです!!







Smoke on the Water - ディープ・パープル
6thアルバム『Machine Head』 1972年
アルバムお薦め度「☆名盤です☆」



【Re-Edit】 アイム・セクシー - ロッド・スチュワート 【70年代ロック】

【Re-Edit】【70年代洋楽ロックの名曲】


Da Ya Think I'm Sexy





Epi-15

 1983年4月18日(月) 中学3年の一学期
 三時限目終了の休み時間、

 担任教師がランダムに決めてしまった最初の席替えで、ボクの両隣には、どちらもこのクラスのなかではわりと真面目そうな女の子が座ることとなる。黒板に向かって右側の席に座ってる川上ナオは、小柄でふっくらしていて愛嬌のある笑顔が憎めない感じの子。そして左側に座る竹内カナエのほうは、まっすぐ伸びた長く艶やかな黒髪と、切れ長でどこか冷めた感じの一重まぶたが、とてもクールな印象を与える女の子だった。

 これはまぁ、癖みたいなものだけど、大抵、ボクが机にうつ伏し寝ているときは、真下じゃなくって左側へ顔を向けてることが多い。だから左隣に座ってる竹内カナエにしてみれば、なんだか横顔を「ジッ」と見られているような気がして、もしかしたら落ち着かないかもしれないな。

 いずれにしても川上ナオや竹内カナエとは、まだ一度もまともに話したことはない。彼女たちも、ボクの噂をいろいろと聞いてるせいかもしれないけれど、なんとなく怖がっているみたいだったし、ボクも彼女たちに対しては特に興味などはなかったんだ。


 三時限目終了の休み時間、――

 ボクはいつもみたいにカナエのほうへ顔を向けつつ浅い眠りに落ちていた。快晴の穀雨(こくう)の空から柔らかな陽射しが教室内に降り注ぐ。けれど気温はまだ20℃に届いてないだろう。少しだけ肌寒さを感じて目覚めたとき、カナエがカバンのなかから一冊のバンドスコアを取り出すのをたまたま目にする。

なんとなくそれが誰のスコアなのか、ボクは気になりはじめた。彼女が時折ページをめくるたび、その背表紙が浮きあがる。どうやらそれはビートルズのバンドスコアのようだった。

 カナエはずっと譜面を見つめ、ギターコードのようなものを、さっきからノートに書き写している。――ボクは机にうつ伏したまま、何気なく彼女へ声をかけた。

「ビートルズ聴くの?」

(この何気ないひと言が、ボクと竹内カナエとの会話のきっかけになったのは間違いない。 ――けれど彼女がやがて、絶対に失えぬほど重要な存在になってくことに関しては、まだこのとき、ボクは当然ながら気づいていない。…………)

 ふいにそう聞かれて、彼女は「ビクッ」と肩を揺らした。最初はまさか自分に話しかけられているとは思ってなかったみたいだが、確かめるよう、ボクのほうへ一重の眼差しを向けると、

「あぁ、今度、部活で何曲か演奏するから、……」

 表情を少しこわばらせ、カナエはそう答えた。

「部活って音楽部?」

 と、ボクはうつ伏せたまま、さらに訊ねる。

「軽音楽部。……」

 と、カナエはひと言だけつぶやく。

「へぇ、そんなクラブ、ウチの学校にあったんだね」

 この中学に吹奏楽部があるのは知っていたけど、軽音楽部があることなんていままで知らなかったんだ。そんな会話を右隣で聞いていいた川上ナオが、ボクのあたまのうしろから、少しだけためらいながら話しかけてきた。

「……アタシもね。最近、ビートルズ聴いてるんだよ」

 ボクはうつ伏せのまま、顔だけナオのほうへと振り返らせる。

「お姉ちゃんがねぇ、結構、洋楽のレコードを持ってるからなんとなく聴くようになったんだけどね」

 と、目を細め愛嬌のある笑顔をナオは浮かべた。

「へぇ、そうなんだ。けどオレ、あまりビートルズってちゃんと聴いたことないんだけど」

 そう、ボクが笑いかけると、

「でもさぁ、アタシはなんてったって、ロッド・スチュワートが一番好き!」

 と、急にナオは話題の対象を変化させた。

「はっ? ロッド・スチュワート?」

「え? ロッド・スチュワート知らない? 『アイム・セクシー(Da Ya Think I'm Sexy?)』とかって、聴いたことない?」

「いやいや、そりゃぁ名前くらいは知ってるけどさぁ。……でも、ちゃんとレコード聴いたことってないかな」

 すると今度は竹内カナエが、ボクのあたまのうしろから会話に加わる。

「ロッド・スチュワート、いいよね! アタシも好き」

「でしょ! すんごくカッコいいのよねぇ、これがまた!」

 机にうつ伏しているボクのあたま越し、ナオとカナエは、すっかりロッド・スチュワートの話題で盛りあがりはじめる。こうしてボクは、両隣の女の子たちとのはじめての会話を同時に成立させたのだ。

「シーナ君は? 最近どんな音楽を聴いてるの?」

 ようやく緊張がとけたのだろう。カナエは警戒色が薄らいだクールな眼差しでボクを見つめながらそう訊ねてくる。

「オレ? うーん、……まぁ、中2の頃は結構、洋楽ロックとか聴いてたけどねぇ」

 ボクはようやく上体を起こし、カナエを見つめた。

「じゃぁ、ディープパープルとか?」

 口元を微笑ませ、カナエはさらに訊いてきた。

「いや、ディープパープルよりもレインボーかな」

 と、腕を組みながらボクは少し笑って答える。

「レインボーならさぁ、アタシは『アイ・サレンダー』が好きかな」

 まさかカナエがレインボーを知ってるなんて思わなかったので、

「あぁ、まぁ、オレも好きだけどね。えっ、竹内さんってレインボーのアルバム持ってるの?」

 と、ボクは少しだけ驚いた顔で、そう問い返す。

「う~ん、アルバムは何枚か先輩に借りて録音したよ。ロジャー・グローヴァーが好きだから」

「ロジャー・グローヴァー? あぁ、ベースの人ね。オレはグラハム・ボネットとコージー・パウエルがいたときの『ダウン・トゥ・アース(Down to Earth)』が一番好きだけどね」

 そんな2人だけの世界へ、川上ナオが強引に割って入ってくる。

「アタシさぁ、あとデヴィッド・ボウイとかも好きだよ」

 ボクは、ナオのほうを振り返りながらつぶやいた。

「川上さんってさぁ、なんかさっきから『ソッチ系』ばっかだね」

「だって顔がさぁ、すごくカッコいいじゃん! 洋楽って顔でしょ? やっぱり」

 ボクはなんだか本当に可笑しくなってきてしまって、おもわず声を出して笑った。
 この真面目そうな2人が洋楽好きだったってことには驚いたけれど、このクラスのなかで、気軽に話せそうな相手が新たに見つかったような気がして、少しだけ嬉しくなった。――――





【2012.03.23 記事原文】

ロッド・スチュワートが日本で認知されたのが、
この「Da Ya Think I'm Sexy? (アイム・セクシー)」のヒットから。


当時、中学の同級生の女の子が
ロッド・スチュワートと根津甚八の熱狂的ファンでしたねぇ。。。


う~ん!!
言われてみれば、たしかにどちらもセクシーな男である…






Da Ya Think I'm Sexy? (アイム・セクシー) - ロッド・スチュワート
9thアルバム『Blondes Have More Fun』 1978年
アルバムお薦め度「一度聴いてみたら」



Masterpiece of the Western music of the 70s/70年代洋楽の名曲
If you want to cry/泣きたいとき
If you want to be healed/癒されたいとき
Drinking alcohol/お酒を飲みつつ
While driving/ドライブしながら
If you want to Fever/血が騒ぐ
Masterpiece of the Western music of the 80s/80年代洋楽の名曲
80's Ballard masterpieces/80年代バラードの名曲
80's Rock masterpieces/80年代ロックの名曲
80's Pops & AOR masterpieces/80年代ポップスの名曲
70's Dance masterpieces/70年代ダンス系の名曲
Masterpiece of the Western music of less than 70s/70年代未満洋楽の名曲
Less than the 70's classic Ballad/70年代未満バラードの名曲
Less than the 70's classic Rock/70代未満ロックの名曲
Less than the 70's classic Pops & AOR/70代未満ポップスの名曲
Masterpiece of the Western music of more than 90s/90年代以上洋楽の名曲
Ballade more than of the 90s/90年代以上バラードの名曲
Rock more than of the 90s/90年代以上ロックの名曲
Pops & AOR more than of the 90s/90年代以上ポップスの名曲
90's Dance masterpieces/90年代ダンス系の名曲
Masterpiece of the Japanese music/未来に残したい日本の名曲
Dedicated to sweethearts/恋する二人に捧ぐ
Spend the night with sadness/悲しみと共に過ごす夜
Nostalgic feelings/ノスタルジックな想い
In the room which shines with the morning sun/朝日が差し込む部屋で
While looking at the setting sun in a hotel/夕陽が見えるホテルで
Memories of youth/若かりし日々の思い出
If you want to fuss/タテノリしたい気分なとき
If you want to feel the Rock/かなりRockな気分
Masterpieces of Instrumental/インストルメンタルな名曲
 
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